2024年9月12日 (木)

【第852回】「備えあれば憂いなし」H. Y. (英語)

 日本は地震や台風などの大きな災害だけでなく、このところの「令和の米騒動」も起きており、ニュースを見て備蓄を進められているご家庭も多いのではないでしょうか。これからというかたにおすすめのサイトを見つけましたのでご紹介します。もう済んだ、という方も確認のために覗いてみてください。

 ● 東京備蓄ナビ (東京都)
   https://www.bichiku.metro.tokyo.lg.jp/

 このサイトでは3つの質問(家族の性別・年代別構成、ペット有無、戸建てか集合住宅か)に答えることで各家庭に合わせた備蓄品目と必要量の一覧を作成してくれるだけでなく、その品目の詳細説明と購入できるECサイトへのリンクも提供してくれます。スマートフォンからも簡単に操作できてECサイトからの商品の調達までスムーズに行えます。品目は多岐に渡り、食品等、衛生用品、生活用品、女性用品、ペットに必要な備蓄に分かれて表示されます。以下は「大人1人家族+ペットなし、集合住宅」の条件で7日分の必要な品目の抜粋です。

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 災害の規模や内容により、さらに必要となるものや役に立たないものもあるでしょう。日数も1週間どころか数か月となるかもしれませんが、このサイトの出力を1つの目安として、できるところから少しずつ整備したいと思います。今日、改めてこのリストを眺めてため息。まだまだです。痛い出費とはなりますが、「備えあれば憂いなし」。

2024年9月 5日 (木)

【第851回】「5年ぶりの観戦」H. H. (芸術)

 パリオリンピックに沸いた夏、日本勢の活躍に一喜一憂している最中にも、阪神タイガースが密かに調子を上げてきているのは嬉しかった。春からチケットを予約していて、ようやく取れた京セラドームでの対ヤクルト戦。なんとか3位に喰らい付いていて、ファンとしては見応え充分のまま観戦できる事に安堵した。甲子園とはまた違った雰囲気のホームゲームで、空調が整った中での観戦もまた新鮮だ。席は三塁側の一階の1番奥の席でも、周りは阪神ファンで埋め尽くされている。殆ど空席がなく満席に近い。座席の感覚は甲子園よりも狭い感じがして、肩と肩がぶつかり隣りの熱気が伝わってくる。コロナ禍以来5年ぶりの観戦で、この雰囲気も懐かしく高揚感が増してきた。
 試合はタイガースが全員安打を放ち、先発ピッチャーは最少失点で抑え、順調に7回の攻撃を迎えた。外野の一角のビジター応援席からスワローズの応援歌が流れ始めたその時、隣りの席の男性がゴソゴソと鞄の中から何やら取り出している。ビニール傘を2本。正確には大きい傘1本と、小さい傘が2段に繋がっているもの。思わず二度見して、なんだ?あれ?もしやこの人ヤクルトファンなんだ!と、初めて気がついた。同席している母親らしき人はタイガースのユニフォームを着用していたので、てっきり阪神ファンと思い込んでいた。遠慮がちに取り出した傘は、とても可愛いくて、特に2段に繋がった方は、子供が持って親子で応援できるサイズで、微笑ましい印象。生ビニール傘応援グッズを始めて目にして、思わず見入っていた私に気づいたのか、一緒にどうですか?と。一瞬戸惑ったが思わず手にして応援歌に合わせて傘を振った。後部座席にいた若い男女も(阪神選手の個別応援歌を全部歌えるほどの筋金入りの2人でも)可愛い傘と応援歌に拍手して、その場は和やかな雰囲気になった。相変わらず阪神ファンのヤジは凄いが、こんな一瞬が楽しくて、年に一度の球場での観戦はやめられない。
 今回のオリンピックでも、国を超えて、日本の善戦を応援する地元フランス人の姿が印象的だった。試合では敵同士であっても、相手に敬意を払って、互いを尊重する姿勢は胸を熱くする。

2024年8月29日 (木)

【第850回】「心にズキューン!」N. A. (保健体育)

私の心にズキューンと来た話を4つ聞いてください。

①先日、体育の時間に外に置いてあるバケツが倒れているのを直していると野球部2年生
左利きピッチャーの生徒が手伝ってくれました。ありがとう!と言うと彼は
「もちろんです!野球部なんで!」
と言い私の心の中にズキューンと刺さりました。
部活に所属している事に誇りを持ち胸を張って「〇〇部なので!」と言える生徒に
久しぶりに会いました。こんな生徒が是非増えてほしいです!

②昨年、卒業式の校歌斉唱をいくつかの運動部に歌ってもらいました。
甲子園や全国大会をイメージさせるような大合唱を聞いた時、私の心にズキューーンと刺さりました。エネルギーがエネルギーを呼び、部活動で高めあい、頑張って歌う事を
恥ずかしがっている方が恥ずかしい空気感に包まれていました。このパワーが日頃から発揮されれば学校はどんどん良くなる!そんな感覚にしてくれました。

③体育での体操の時に体育委員が体操をしてくれると思います。女子卓球部の生徒は体操で
「1・2・3・4!」と大きな声で掛け声をかけてくれます。皆さんは「5・6・7・8」と返ってこなかったらどんな気持ちでしょうか。恥ずかしい?つらい?面倒くさい?
女子卓球部の生徒はなんと自分で「5・6・7・8」と掛け声をかけ
私の心にズキューーーンと刺さりました。
全国制覇を狙う子供たちの対応力・頑張る姿に自分自身が学ばせてもらいました。

④サッカー部の3年生でケガをしてしまった生徒がいます。もともとキャプテンをしていた生徒で元気よく挨拶をしてくれ、活発なイメージです。他のサッカー部員は知らないかもしれませんが、その生徒は同じ部員が怒られている場に居合わせると、代わりに部員がすみませんと伝えたり、〇〇がご迷惑をおかけしました。と言っているのを何度も見たことがあります。
その彼の姿を見た時、心にズキューーーーンと刺さりました。
チームのためにプライドを捨て行動できる彼はまさに漢だなと感じます。

 「集団心理」という物があります。
大勢の意見に流されたり、周りがしていないと自分がするのは恥ずかしい・しなくていい、周りがしてるからする・周りと合わせないと恥ずかしいそんな感情になります。
この集団心理は良い方向に働くこともあれば、悪い方向に働くこともある。

嫌な事を書くつもりはないですが悪い方向に働いていることは非常に多くある。
1人ぼっちだとしても正しい選択・行動をすることが出来る。
そんな集団が増えていき、良くない行動をする人が逆に浮いてしまう雰囲気を学校に作っていきたい。そして、お互いを高めあい一生付き合っていく仲間を是非つくってほしいです。

来年もズキューンな教員ブログを書きたいと思っている。
そして、私もズキューンを与えられる教員になっていきたい。
生徒の皆さんありがとう。

2024年8月22日 (木)

【第849回】「日本語を教えていると・・・・・・」西村 美恵子 (英語)

 遊学館高校でケニヤからの留学生に日本語を教え始めて4年になります。
日本語を教えるとはどんなことをしているのだろう、と思ったことはありませんか。
私の日本語教室では、はじめに、日本語の簡単な挨拶の言葉と、身の回りの事物、動作、様子を表す言葉など日常生活で出会う言葉(名詞、動詞、形容詞)を学びます。日付、時間、曜日は学生の生活ではすぐ必要となる事柄ですので、数の読み方、月の言い方、日にちの言い方(一日から十日までがとても難しい)、曜日の言い方を練習します。天気を表す言葉も暮らしには欠かせません。言葉を学ぶと同時に、それらを用いて質問に答える練習もして、簡単な文を言う練習をします。しばらくは日本語を音だけで学習します。日本語の母音は数が少ないほうなので難しくはありませんが、「っ」や伸ばす音、高低アクセントがあり学習者には難しいものです。そのあと、文字の学習をはじめます。ひらがなとカタカナを読む練習をして、文を読めるようにします。そうすれば、テキストを読んだり、問題を解いたりができます。
 ここで思い出してみてください。私たちはどうやって日本語を学んだのでしょうか。おそらくほとんどの人が小学校入学前にひらがなとカタカナを書く練習をしたのではないでしょうか。中には少し漢字を勉強している子もいたかもしれません。つまり日本に生まれ、育った私たちは、日本語の文字の練習を生まれてから5~6年で始めますが、そのころには幼いながらもみな日本語を聞いたり話したりできるようになっています。確かに語彙数はまだまだ少ないですが、日本語を使えます。どうやって身に付けたかさえも覚えていないけれども、聞いて理解できて、話すことができる、それが母語というものです。母語話者が、学習ではなく、習慣の積み重ねで(長い時間慣れ親しんで)身についてしまった言葉の使い方、これがそれを外国語として学ぶ時にはとても難しいところになります。
 日本語の初級学習者が特に難しいと感じるのは、日本語の助詞(が、の、に、を、と、へ、で、は…等々)の使い方と動詞の活用だと思います。例えば、“ わたしは かぞく(1   )とうきょう(2  )しんかんせん(3  )いきます。” 1~3に助詞を入れて文を完成させるという問題。私たちにとって当たり前すぎて考えるまでもないことなのですが、助詞は使う時の意味(何を示すためのものか)が複数あるので、初級学習者は混乱してしまうようです。また動詞の活用では 例えば“こないで”“きます”“くれば”“くる時に”“こっちにこい”。これらも日本語を母語とする私たちは難なく言えますが、型(パターン)があっても動詞の数が多いですから、学習者は何度も口にして、耳でも覚えることが必要なのです。
 日本語を教えていていつも思うことは、自分が日頃当たり前に使っている母語をいかに知らないか、言葉の説明をすることがいかに難しいかということです。日本語を教えているとたくさんのことを気付かせてもらっています。

2024年8月15日 (木)

【第848回】「出会い」中村 ゆかり (国語)

 先日、県図書館協議会主催の合同読書会に助言講師として参加する機会を得た。
合同読書会は助言講師が課題として提示した図書を読み、感想を始め、個々人の考えをぶつけ合って「読み」を楽しむ研修会である。会に参加希望をする県下の高校生が一堂に会して、それぞれ選んだ分科会にて侃々諤々(かんかんがくがく)の議論を重ねる。ここ数年は様々な事情のため、参加を希望する生徒の数が減っているのが現状である。今年度も10人程度の参加者数ではあったが、三つの分科会を設けることができ、有意義な活動となった。
 私が担当する分科会には、進学校の生徒が3人参加してくれた。3人とも課題図書をしっかり読み、読後の感想も各自がワークシートに丁寧にまとめてくれていた。もともと同学年で同じクラスの級友同士ということもあって、和気あいあいと楽しみながら話し合いを重ねていたことも印象的であった。
 まずは一人ひとりの感想を踏まえて、読み終わった直後、胸中に湧いてくる感情について話してもらった。理屈で理解して分析しながら読むのではなく、小説を作者の「物語り」として純粋に楽しんでもらいたいと考えたからであるが、それぞれが自分の言葉で自分の思いを伝達してくれた。それを皮切りに、徐々に内容を読み深めていく。話し合いの段階では極力介入しないように、私は生徒たちのやり取りを見守る。「?」や「!」も三者三様ではあるが、共感場面や登場人物の捉え方が共通することもあり、意見交換を重ね、読みをすり合わせていくうちに深みを増す。

「答えのないものに対して考察する挑戦、知の活動に(ひた)れることへの喜び」

が輪には入らなくとも空気として伝わってくる。たまたま出会った他校性とこのような機会を設けられたことは、私自身にとっても学ぶべきことや考えさせられることが多くあった。本校の生徒もこの3人のように、阿吽(あうん)の呼吸でお互いの考えを理解して話し合えるとはいかないかもしれないが、授業でアクティブ活動を展開するときは実に多様な能力を発揮してくれる。「学ぶ姿勢」が準備され活動につながるとき、「考えが深まったことへの喜び、気づいたことへの喜び」へと還元される。「知」に対する満足感、達成感は大きい。
 この夏一年生には、読んだ図書の中で心に残った「一行」を選び、自分の思いを書く課題を設けた。「どの図書を選び、どの一行に心()かれ、どんな思いを持つのか」、そしてそれを「どのように言語化し、表現してくるのか」、とても楽しみである。
 たまたま出会った「本」から多くを得られる「学びの夏」にしてほしいと思う。