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2024年2月 1日 (木)

【第820回】「言葉で子どもは育つ」窪 泉 (保健体育)

皆さんに詩をひとつお伝えします。


子 ど も

批判ばかりされた子どもは 非難することをおぼえる

殴られて大きくなった子どもは 力にたよることをおぼえる

笑いものにされた子どもは ものを言わずにいることをおぼえる

皮肉にさらされた子どもは 鈍い良心のもちぬしとなる

しかし、
激励をうけた子どもは 自信をおぼえる

寛容であった子どもは 忍耐をおぼえる

賞賛をうけた子どもは 評価することをおぼえる

フェアプレーを経験した子どもは 公正をおぼえる

友情を知る子どもは 親切をおぼえる

安心を経験した子どもは 信頼をおぼえる

可愛がられ抱きしめられた子どもは 世界中の愛情を感じることをおぼえる

出典:「あなた自身の社会 スウェーデンの中学教科書」から抜粋
川上邦夫訳 新評論

 私は教員として、親として、これを肝に銘じておきたいと思います。(なかなか出来ない時もあるけれど…)
 子どもは言われたように、扱われたように育ちます。高校生は子どもと大人の間くらいですね。皆さんの周りにいい言葉があふれるように、素敵な振る舞いが増えるように、少しずつ意識してみてはいかがでしょうか。私も頑張ります。

2022年9月 1日 (木)

【第745回】「遅れている?!日本の〇〇教育」窪 泉 (保健体育)

 ICT教育、英語教育、マネーリテラシーなど、海外では当たり前のように行われている教育が、日本では遅れているものがいくつもあります。その中のひとつが、「性教育」です。
 日本では小学校3,4年生の保健の授業で初めて月経や射精について学びますが、海外では小学校1年生から、なんとオランダでは0歳から始められているとも言われています。ということは、性教育はまず家庭で行われるということが分かります。
 一方で、昨年度私が担当した2年生の4クラスを対象にアンケートを行いました。その中で「将来自分の子どもに性教育を教えたいと思うか」という質問に対して、下記の図のような回答の結果になりました。(2年生4クラス分、回答数:121)

202209011

 この結果から、自分の子どもに性教育を教えたいと思う生徒は3割にも満たないことが分かります。おそらく、生徒自身も自分の親や家族から性教育を教わってないのではないかと考えられます。
 私たち大人の立場からしても、「性教育」と聞くと何となく恥ずかしいような、蓋をしたいような、できれば避けたいような、そんなイメージかもしれません。大人が秘密にするもんだから、「聞いちゃいけない」「恥ずかしいこと」と子どもも思ってしまうのではないでしょうか。
 これからの時代を生きていくうえで、最も怖いことは無知なことです。ますます情報化社会が進む中で、正しい知識を身につけておくことは非常に重要だと考えられます。これは性教育においても言えることであり、性教育先進国のオランダは、15歳までの性行為体験率は40か国中36位と低いのです。私は保健体育科の教員として、生徒たちがいずれ子どもを産み育てるようになったときに、性教育を教えたいと思える授業を目指していきたいと思っています。

202209012_4  ←おススメの本です。
フクチマミ・村瀬幸浩:「おうち性教育はじめます 一番やさしい!防犯・SEX・命の伝え方」,株式会社KADOKAWA,2020

2019年10月10日 (木)

【第598回】 「家族」窪 泉 (保健体育)

 今年度は、2年生の保健の授業を担当しています。その授業の中で、「家族計画と人工妊娠中絶」という単元があり、担当する3クラスにアンケート※)を実施しました。

◎この中で、家族だと思うものに丸をつけてください。いくつでも構いません。

20191010

 3クラス分のアンケート結果(投票数)は以下の通りです。

  ②・・・91票 ⑦・・・88票 ①・・・82票 ⑧・・・75票 ④・・・41票
  ⑤・・・35票 ⑨・・・32票 ⑥・・・31票 ③・・・7票

 ②が最も多く、⑦、①、⑧が続きます。さらに、「家族の定義」について質問すると、最も多い記述が「血のつながりがあること」でした。他にも、「同じ家に住んでいる」や「自分が家族と思えば家族」などの記述が見られました。この絵や文章は、実際の血縁関係にはほぼ触れてはいないものの、生徒たちが考える家族の在り方というものが少し見えました。

 生徒たちには、それぞれに家族のカタチがあり、今の家族のカタチに満足している人もいればそうでない人もいるかもしれません。
 しかし、生徒たちはこれから自分で家族を作っていくことができます。異性と結婚する人もいるでしょうし、同性のパートナーを見つける人もいるかもしれません。ペットと暮らしていく人もいれば、1人で生計を立てていく人もいるでしょう。
 これからも時代は目まぐるしく変化していき、多様な家族のカタチも作られていくであろうと考えられます。どのようなカタチでも、自分やその家族の幸せを願い行動できる、そんな大人になれるように、その手助けが保健という科目でできたらいいなと思います。

※引用・参考文献
橋本紀子・田代美江子・関口久志編:「ハタチまでに知っておきたい性のこと」,大月書店,pp.153-155,2017.(イラスト・蝶野行音)

2018年5月17日 (木)

【第529回】 「恰好いい大人」窪 泉 (保健体育)

「俺たちは奇跡を起こすんだ」

 これは伊坂幸太郎さんの「チルドレン」という作品に出てくる,家庭調査官の陣内のセリフです。物語には,さまざまな事情を抱えた少年少女が登場します。そんな少年少女たちを更生させるのは奇跡だ。しかし,その奇跡を起こすと陣内は奮闘します。
 陣内はその少年少女のことをこう言います。
 「誰だって自分だけはオリジナルな人間だと思っているんだよ。誰かに似ているなんて言われるのはまっぴらなんだ。」
 「調査官は,担当する少年が『他の誰にも似ていない,世界で一人きりの奴』だと思って向かい合わないと駄目なんだよ。」
 家庭調査官と教員,職業は違いますが,私が目の前にしている生徒たちは,唯一無二の存在であり,家庭環境も考えていることも全く違います。同じ授業や同じ対応の仕方はないのだと,陣内の言葉にとても共感しました。

 物語の中で,他の家庭調査官は断言します。
 「地球の自転が止まることがあっても,スティーブン・セガールが悪役に負けることはあっても,非行少年が更生することはない。」と。でもそれに対して陣内はこう言います。
「大人が恰好良ければ、子供はぐれねえんだよ。」

 奇跡を起こすのはなかなか難しいかもしれませんが,恰好いい大人になることは,私にも少し可能性がありそうです。思えば,私が出会った人たちの中には,「恰好いい,こんな人になりたい」と思える人がたくさんいました。
 恰好いい大人になるために,日々勉強です。
 まずは,小さなことで怒らないように・・・


 もうすぐ県総体・総文ですね。
 出場される生徒の皆さん,先生方,ご健闘をお祈り申し上げます。

2017年7月20日 (木)

【第487回】 「なりたい自分」窪 泉 (保健体育)

 皆さん,こんにちは。
 初めてなので簡単に自己紹介をします。この4月から遊学館に参りました中山泉(なかやまいづみ)と申します。覚えていただきたいことは「バスケットボールがかなり好きな奴」。これだけです。昨年からBリーグが開幕し,石川県の金沢武士団(金沢サムライズ)もB3からB2に昇格しました。また,先日オリンピックの新種目として決定した「3×3(スリー・バイ・スリー)」という競技があります。日本にも3×3のプロリーグがあり,石川県にはZETHREE(ゼッスリー)というチームがあります。少しでも興味を持ってもらい,応援していただけたら嬉しいです。
 さて,タイトルの「なりたい自分」ですが,ここ最近テレビでも聞き覚えがあったのではないかと思います。ある方のブログにあった言葉です。以前勤めていた小学校でも子どもたちによく言っていた言葉だったのですが,遊学館に勤めてから私の「なりたい自分」像がぼんやりとできたので2つのエピソードと一緒にお話したいと思います。
 1つ目は,遊学館には卒業生がたくさん遊びに来ることにとても驚きました。同時に,「卒業しても会いに行きたい」と思われる素敵な先生方が多いということにも気付いたのです。私も「また会いたい」と思ってもらえる教員になりたいと思いました。
 2つ目は,私の姉の友達が遊学館の卒業生だそうで,「○○先生はまだいる?」と現在もいらっしゃる先生のことを話してくれました。また,「こんな風に怒られた」などの話を聞き,当時の某先生の姿が容易に想像できました。このように,何年経っても生徒たちの印象に残る教員になりたいと感じました。
 以上,わたしの「なりたい自分」は生徒の印象に残り,また会いたいと思われる教員です。そのために一体何をしなければならないのか,計画し,行動に移さなければなりません。
 何歳でも「なりたい自分」をイメージすることは可能ですし,皆さんの中にはもうすでに「なりたい自分」に向けて努力している人も思います。まだ「なりたい自分」が見つけられていない人は,この夏休みに「なりたい自分」について考え,少しだけでも行動してみるのはいかがでしょうか。