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2025年8月21日 (木)

【第901回】「家の冷凍庫に何個アイスクリームがありますか? 《探究》」済田 風愛 (国語)

 皆さんは金沢市のアイスクリームの消費金額が全国の県庁所在地の中でも上位であることを知っていましたか?具体的にいえば、2012年から2022年の間に1位を7回記録、そして2018年以外のすべての年で4位以上を記録しているのです!私の実家の冷凍庫にも、常にアイスクリームが常備されています!
 大学院の授業で、ペアで地域調査をする授業がありました。テーマは自由ということで、何を調査しようかと話していた時、ペアの友人が言った「石川県民ってよくアイスを食べるよね」という一言から私たちの「アイス調査」が始まりました。はじめは、「『石川県民』ではなく、『アイス好きな私』がよく食べているだけでしょ(笑)それはただの偏見。」と笑っていました。しかし、手始めに簡単な調査を始めると、確かにそのような傾向がみられることが明らかとなったのです。

《問い》

そこでまず生まれたのが「いつから金沢市のアイスクリームの消費金額は多いのか」、「なぜ金沢市のアイスクリームの消費金額が多いのか」という問いでした。

《調査》

授業では様々な調査を行いましたが、ここでは一部を紹介したいと思います。まず先行研究を調べました。そこでは、金沢市のアイスクリーム消費が多い理由として気候や加賀国の経済力と商人の消費文化など、歴史的側面も含む多面的な考察がなされていました。次に、総務省統計局の『家計調査年報』に記載されているアイスクリームに関する1965年から2022年のデータを整理しました。

《結果》

『家計調査年報』の調査で明らかになったこととして、金沢市のアイスクリームの消費金額が全国で上位であるという傾向は約30年前からみられるものであり、それ以前の1965年から1992年はアイスクリームの消費金額が全国の県庁所在地と比較して多いとはいえないということです。

《再設定》

上記の調査から、新たに生まれた問いが「なぜ約30年前から金沢市のアイスクリームの消費金額が多くなったのか」でした。

《考査(深める)》

20250821 次の調査では、「マルエー」本社のアイスクリーム販売担当者へインタビューを行いました。その中で、「アイスクリームの半額販売」という言葉が出てきました。お話を聞いていると、それはお客さんを呼ぶための戦略として始めたもので、約30年前から開始したことが分かりました。その後、1か月間スーパーマーケットの広告を調査し
ましたが、金沢市のスーパーマーケットでは「アイスクリームの半額販売」が定期的に行われていましたが、少なくとも私の通っていた学校のある新潟県には見当たりませんでした。

《考察》

「アイスクリームの半額販売」が始められた時期と家計調査において金沢市のアイスクリームの消費金額が多くなった時期が一致しているため、金沢市のアイスクリームの消費金額が多い背景には「アイスクリームの半額販売」が大きく関わっているのではないかと考えられ、先行研究の歴史的要因は一要因ではあるかもしれないが、直接的な要因とはいえないのではないかと考察しました。

 今回の調査による考察が必ずしも正しいとは限りません。しかし、些細なことでも自分で調べ、深め、「もしかしたらこうかも!」と思えた瞬間、新しいことに気づけた瞬間が私はとても好きです。