【第913回】「無題」谷口 克也 (数学)
賛否両論あった関西万博は成功裏に終わった。私もご多分に漏れず10月初めに駆け込み見学をしてきた。人の群れに酔ってしまって、2時間ほどでそそくさと退散した。パビリオンには一切入れず、大屋根リングを人の流れに沿って廻ってきただけで終わった。
振り返れば1970年、大阪万博が開催され、兄は修学旅行で、父は中学校教師として修学旅行の引率でそれぞれ大阪万博に行ってきた。専業主婦の母と小学校4年生の私は、父の「人を見に行くだけだ」という強い反対で、大阪万博には行けずじまい。泣きながら悔しい思いをした。
確かに今回、「人を見に行くだけ」の関西万博だったが、日本国中が大きな夢と希望を持って開催したイベントに参加でき、家族で記念撮影ができたことだけでも、とてもいい経験ができた。
いろんな考えがあるだろうが、やらずして諦めるよりも、体験して評価した方が悔いが残らないだろうと感じた。
