2015年9月10日 (木)

【第393回】 努力はなんのためにするのかK. N. (数学)

今年の夏の甲子園で、遊学館の生徒たちがプレイをしているのを見た。
彼らが楽しそうに野球をしているのを見て、うれしく思うのと同時に、ここまでくることの道のりを思って気の遠くなる思いをした。

どれだけ苦しい思いをしたのだろう。
どれだけ辛い練習を耐えたのだろう。
本当に頭が下がる。

二回戦を勝って、三回戦で負けたけど、毎年、千人しか生まれない甲子園球児となり、一つ勝つことで、500人の中のひとりになったのである。
高校生が(男子に限れば)167万人いることを考えると、これはすごいことなのだ。
野球部に限っても、(参加)4000の高校に30人程度の野球部員がいると仮定して、
12万人のうちの千人である。いや、12万人のうちの500人になったのだ。
本当に素晴らしい。

この夏休み、三年生のある女子生徒に付き合って、数学の勉強をした。入試で必要だから、勉強をみてほしいと言われたのだ。
一年生のときの教科担当だったので、彼女の実力については、おおよその把握はできていた。正直、(数学の)できる子ではなかった。クラスの中で、後ろから数えたほうが早いような順位の子だった。「大丈夫かな」と思ったが、彼女の「こうなりたい」という強い思いに応えたいと思った。
それが、どうしたことか、驚異的に学力が伸びている。
計算の正確さが上がり、問題を解くスピードもついてきている。
「この問題を解くには、どうすればいい?」と聞くと、(たとえば)「因数分解する」と的確に答えてくる。
計算はたまに間違える。でも、問題の解き方がわかっていて、それをきちんと言葉にできる。とても素晴らしい。

本当にやる気になったときの生徒の力というのは素晴らしい。この調子で続けてほしいと、切に願う。

そういえば、昔読んだ漫画で、主人公がこんなふうに呟くシーンがあった:
「やっぱり、そこそこなのかな」
どういうことだと、主人公に詰め寄る登場人物の一人に、主人公は答える。
「できる子は自分が下手なことをしたらそれが許せなくて頑張る。できない子は、うまくきっかけを掴むと、急に力を伸ばすことがある。でも、そこそこの子は・・・努力すらそこそこなのか・・・」

遊学館の野球部の子は(どちらかと言えば)「できる子」で、自分が下手なことをしたら、自分が許せなくて頑張る子なんじゃないかと思う。

上の女子生徒は「できない子」だったけれども、うまくきっかけを掴めたおかげで、急に力を伸ばせた子だ。

どっちも素晴らしい。では、「そこそこの子」は?

努力が必要なのは、ここだ。

先の漫画の主人公は「そこそこの子」に向けていう:
「努力の先にあるもう一つ上の世界、それを君らに見せたいんだ」

何のために努力するのか。そう。
「努力の先にあるもう一つ上の世界をみるために」

確かに、どんなに努力しても報われないことはある。挫折することもある。
でも、長島茂雄氏によれば
「挫折してもプライドは失われない。努力しているからだ」
さあ、二学期が始まった。季節もいい。たくさん努力しよう。

2015年9月 5日 (土)

【第392回】 就職戦線真っ只中!牛腸 尋史 (英語)

 就職指導を担当して今年で2年目になる。進学指導で30年やってきたため、同じ進路指導であっても勝手が違い、戸惑うことも多くある。その反面、学校関係者以外の方と接する機会が少なかったため、様々な職業に就かれた専門家の方たちとお話をさせて頂くことは、私にとって新鮮で勉強になることも多い。就職は、進学よりもスタートが早く、9月5日に応募書類の提出が始まる。9月4日にこのブログを書いているので、今はまさに就職戦線真っ只中である。生徒が就職を希望する理由は、「早く独り立ちがしたい」や「就職しなければならない」、「勉強したくない」、「やりたい仕事がある」など、様々である。理由や動機は違っても、1年後には私たちを同じ社会人になることには変わりない。
 私も、高校2年生までは就職を希望していて、その理由は「勉強したくない」か「早く独り立ちがした」というようなものだったと思う。「就職」=「大人」、「進学」=「子ども」程度の変に背伸びした考えもあったのだろう。そんな私が大学に進学することになったのは、いざ真剣に職業を考えた時に何を選んだらいいのかを決断できなかったからである。実はその頃、料理が好きだったので「コックさんか板前さんにでもなろう」と考えていた。しかし、料理を自分の職業に決断する段になって、「本当にいいの?」と考え始めてしまったのである。「自分が好きな料理は、好きなものを好きな時に食べてほしい人につくるものであり、それを職業にすることは本当に幸せなのだろうか・・」などと考えてしまうと、頭の中は完全にフリーズしてしまったのである。就職もあまり明確な意思や目標を持てていなかった上に、進学する時も「もう少し自分の将来を考える時間が欲しい」というお粗末な理由だった。これは単なる問題の先送りでしかなく、結局は就職について考えなければならないわけであるが、やはり大学生になると無計画な私でも考え方は多少柔軟になるようで、たどり着いた職業観は、「仕事そのものを目標にするのではなく、自分の性格や特長を活かした職業を選びさえすれば、どんな仕事でもやりがいや面白さはきっと見つかる」ということである。私の場合は、「たくさんの人と接して、人の助けになれたらきっとやりがいを感じるだろうなぁ・・」が出発点であった。その先に見えたのが教師だった。私の場合は、運よく最初に思いついた職業に就いて今に至っているわけである。自分の30年間を振り返ってみても、自分のやりたいことをさせてもらっているなぁと思うことができる(勝手気まま過ぎてたくさんの方に迷惑をかけてしまってもいるだろうが)。
 だから、もし「教師になりたい」と思っている人がいたら、「なぜ教師なのか」を考えてみることも大切なのではないかと思う。私と同じように「たくさんの人と接して、人の助けになりたい」と思ったのなら、それを感じることができる職業は他にもないか考えれば、選択肢はかなり増えるのではないだろうか。幅広い選択肢を持つことができれば、幸せややりがいを感じる職業に就くチャンスもきっと増えると思う。
 いずれにしても今年、就職を希望する3年生が社会人なる時の最初の一歩で少しでも力になって、大学生の時に思っていた「やりかい」を感じることができるように頑張りたい。

2015年8月27日 (木)

【第391回】 熱い夏の便り小坂 英洋 (情報)

 暑い夏が終わろうとしています。今年の夏は「暑い」夏であり、「熱い」夏でもありました。このブログを見ている皆さんも御存知の通り、遊学館高等学校硬式野球部の甲子園出場です。2回戦は見事な逆転勝利、3回戦は残念な結果でしたが、他校が0点に抑えられている中、2点をもぎ取った意味は大きかったのではないかと思います。
 さて、話は変わりますが、2年生は夏休みの宿題として、日本郵便主催の「手紙の書き方」(http://www.schoolpost.jp/)教材を利用した「暑中見舞い」の提出を行いました。
 最近はブログやラインなどで直感的なやりとりが可能なため、はがきに文章を書いて郵便物として出す、ということはほとんどないかもしれません。しかし、社会に出れば、手紙やはがきを出すことはよくあることだと思います。
 実際に私に届いたクラスの生徒からのはがきには、部活で大変だったこと、旅行へ行ったこと、ケガが治ったこと、もちろん、勉強を頑張ったことなど、テキストにならって形式張った文章を書いてある中にも、個々の夏休みの生活が伝わってきます。これは、書いたら瞬時に反映されるラインなどとはまた違った良さがあるのではないでしょうか。
 2年学年会の先生方も、2年生からの「熱い」便りに一喜一憂しながら、2学期の準備をしています。2年生のみんな、ありがとう。2学期もがんばろう!

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2015年8月18日 (火)

【第390回】 夏の余韻...刑部 純至 (国語)

毎年思うことですが、
      「夏は暑い。」
夏はどこにいっても暑くて、日焼けはするし、寝苦しいし、海水浴は楽しいけど、サメがいるし・・・。それならショッピングだとショッピングセンターへ行くと逆に寒くて体調を崩してしまったり。
もう夏という季節はいらないのでは?と思うところではありますが、
      「夏は熱い。」
変えるとちょっと魅力的な季節になります。私は「暑さ」は苦手ですが「熱さ」は大好き!

今年は、硬式野球部、男女卓球部、女子駅伝競走部が全国大会に出場。他の部活動も次は自分たちだと日々汗を流しています。また、特進クラスを始め、夏休みも学校で、自宅で、勉学に奮闘している生徒たちも多くいます。その中で私が見てきた生徒たちの奮闘をご紹介したいと思います。

2年生の特進クラスは夏合宿を山中温泉で行っていました。とても良い環境の中で決まった日程のもと取り組んでいました。私は夕食ごろを見計らい、どんな感じでやってるんだろうとブーンと車を走らせお邪魔させていただきました。
いつもと違う環境と自然の開放感なんかも混じって生徒たちはのびのびと取り組んでいるようにみえました。
「え?刑部先生なんでおるん?」とか(学校で言われたらなんか自信なくしちゃいますね)「こんにちは」を連呼したりとか(「返事は1回!」のごとくつっこみたくなりました)
なんと私の顔を見るだけで大笑いする子もいたりして・・・。素敵な子たちなのだけれど、本当に大丈夫かー?なんて思ったりもしたのですが、そこはさすがの特進クラス!メリハリがきくんですね~。勉強タイムになったとたんに、「先生バイバイ!」「先生ありがとうございました」といって奥の部屋へ向かっていきます。(今の今まで楽しく話してたのに・・・)外の窓から中をみるとさっきとは違った顔をする生徒たち。その表情は「真剣な大人小人」といった感じ。学校では見れない顔をみた気がしてとってもいい気持ちで帰ることができました。生徒の皆お疲れ様!これからまだまだ頑張っていくよ~!!引率・指導の先生方もお疲れ様でした。生徒を見つめる先生方の目をみて、ちょっとほっこりしました。

そして、引率で一緒に応援させてもらった硬式野球部の甲子園大会。
二回戦、熊本県代表 九州学院高等学校 三回戦、神奈川県代表 東海大相模高等学校

2試合とも様々な感情が沸き起こるものとなりました。
ただ一つの白球という勝利を掴もうと一生懸命プレーする選手たち。
少しでも力になろうと力の限り声を出すベンチの選手たち。
ベンチには入れなかったけれども、気持ちを一つに喉がどれだけ潰れても声を出し続けるスタンドの選手たち。
魂のこもった吹奏楽部の演奏。
それを後押しするかのように声を出す生徒たち。卒業生。保護者の皆さん。ファンの人たち。

掴んだときの喜び。掴まれたときの悔しさ・・・。

ちょっとだけ関わっている私でさえこんなたくさんの感情をもらえるとは。
やっぱりいいですね~。高校球児。
硬式野球部の皆さん、本当にお疲れ様。感動をありがとう。

   この日々を自信にして、

       3年生は次なる世界へ。

           1・2年生は新たなる道をつくるために。

ちょ~~~~っとだけ休息の後...おし!プレイボ~~~~ル!

2015年8月 6日 (木)

【第389回】 あがくK. R. (地歴・公民)

「あがく」とは、活路を見出そうと必死になって努力すること。
一般的には、かっこ悪い、みっともない、情けない・・・きっとマイナスなイメージを持つ人が多いかと思います。

「NHKのプロフェッショナル」この番組を視聴することが私の楽しみの一つです。料理人、ホテルのコンシェルジュ、羽田空港の清掃員…職種は多岐にわたり自分の知らない世界、変わった職業も知ることができます。
 その中でも、一番私が印象に残っているのは「俳優 渡辺 謙」です。55歳にしてブロードウェーへの挑戦です。数々の映画やドラマに出演してハリウッドデビューしているにも関わらず「俳優」を突きつめて、いまだあがいているのです。
 渡辺 謙さんが挑む「王様」の役は、かつてユリ・ブリンナーさんという俳優が演じ、伝説として語り継がれています。既に役の印象が定着してしまっている中の挑戦です。 稽古では同じシーンを何度もやり直し、そのたび新しくアレンジを施して役の心情を表す方法を模索し、「試しては捨てる」を繰り返す日々です。そんな苦しい中にいても俳優として毎日を迎えれる日々を渡辺 謙さんは大切にしています。
 部屋の壁には、受験生のように英語の和訳を書いた紙が貼られており、寝ても稽古の音楽やセリフが頭の中をまわっていたそうです。
 そんな中、本番初日を迎え見事、スタンディングオベーションで幕を閉じ、メディアでは「ユリ・ブリンナーさんの影を脱し愉快で威厳ある王様を自分のものにしている」と好評価を得ました。更には、アメリカ演劇界最高の栄誉とされるトミー賞の主演男優賞にノミネートされました。
 それでも、まだ自分は未完成と話す渡辺 謙さんはさらにあがき続けるのです。
 「あがく」という言葉への印象は変わりましたか?冒頭のマイナスなイメージから前向きで自分自身を成長させるプラスなイメージに変わりませんでしたか?
 皆さんは、何か突きつめて毎日考え、あがいているものはありますか?
 部活で勝利に向けてあがいたり、今出されている夏休みの課題にあがいているのかもしれません。もしくは、将来への夢を見つけるためにあがくということも。
 あがくということは、それだけ頑張っている証拠だと思います。
 遊学生のみんなも学校を卒業して、いつかは社会人となります。就職した最初は与えられてた課題・任務をただこなすだけになるかもしれません。でも、ただこなすだけではなくて与えられた以上の結果を出せるように考えて努めることも必要です。
 どんな仕事に対しても、プライドを持ってできる人こそがプロフェッショナルだと思います。私自身もまだまだ「未完成の人間」として常にあがいていきたいと思います。