2007年10月 3日 (水)

【第8回】「○○の秋」小坂 英洋 (情報)

 九月の終わり頃から、朝晩が急に冷え込むようになり、やっと「秋」を感じるようになりました。
このさわやかな季節が、私は好きです。

 「○○の秋」とよく言われますが、皆さんにとってはどんな秋になるのでしょうか。
毎年巡り来るこの季節を、私は「読書の秋」にしたいと思っています。

 アメリカの市場調査会社GfK NOPの調査(2004年と2005年に実施)によると、1週間あたりのテレビ視聴時間が17.9時間(31国中10位)に対し、読書時間は4.1時間(同30位)と、日本人の活字離れが進んでいるようです。

 また、高校生では読解力が低下していること(8位→14位)が国際調査(PISA2003年…http://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/001/04120101.htm)で明らかになっています。

ある研究者はこの結果に対して

「自分の興味のある本を片端から読めばいい。雑誌でもいい。先生がこの本がいいといって無理に本を薦めると逆に読む気をなくしてしまう可能性もある。あくまでも自分から読みたいと思うことと、とにかく文字に接することが大切。また、読んで新しく得た知識を友人との会話の中で話題にして的確に説明する力をつけよう。たくさん読書をしている人に知識ではかなわない。が、本を読んでいて、分からない単語があればすぐに調べて、じっくりと時間をかけて根気よく知識を増やしていけば良い。」 と述べているそうです。

 本校には「朝読書の時間」があります。

毎朝、クラス朝礼前の10分間を、静かに心落ち着けて読書することで、読書によって読解力や文章力がついていくのではないか、またクラス朝礼ギリギリに登校するのではなく、この時間があることで、一日に余裕を持ったスタートができるのではないか、などの効果があると考えています。

 毎日10分間という時間を、月曜日から金曜日まで積み重ねても、日本の読書時間には遠く及びません。

この時間は私も一緒に読書をしていますが、読書時間終了を知らせるチャイムが鳴り、クラス朝礼の時間になっても、数名は集中力を切らさずに読書を続けており、強制的に読書を終了させることがかわいそうに感じることもあります。この10分間がきっかけとなって、もっと読書の時間が増えれば、プラスの面が多く現れるのではないでしょうか。

 こういう私も、読書が苦手です。子どもの頃からコンピュータやゲームばかりに熱中していたもので、読書の習慣は全くありません。だからこそ、文頭にあげた「読書の秋」を計画したのです。

また、時代の流れか、インターネットで6千以上の作品を読むことができる、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)や最近発売されたゲームソフトにも、文学作品を読むことのできるものが登場しています。

このような紙とは全く違ったメディアでの読書などは、今の高校生にはなじみやすいのではないでしょうか。

 この秋に何冊の本を読むことができるか。生徒と共に挑戦したいと思っています。

2007年9月26日 (水)

【第7回】リベンジK. R. (地歴・公民)

2000年 11月7日(日)
「ピッーピッピィー」・・・(笛の音)
「負けた・・・」
(高校サッカー選手権石川県大会 決勝 vs星稜)
自分の高校サッカーはその瞬間終わった。
悔しかった。
自分が情けなかった。

・・・遊学館高校を卒業して7年後・・・
2007年 9月末日
あの時、全てが終わったはずだったが、あの時が新たなスタートの始まりだった。
遊学館高校の教員となって3年目、9月から始まった高校サッカー選手権石川県一次予選を突破し、10月1日に抽選会、そして14日から石川県大会が始まる。

相手はどこであれ、目指すところはただひとつ、
自分が叶えることのできなかった「国立」である。
選手を信じて、今、一緒に戦う。
自分にとっては「あの日」のリベンジだ。

2007年9月12日 (水)

【第5回】GREEN IN YUGAKKAN牛腸 尋史 (英語)

 遊学館高校の敷地は木々に溢れている。

 桜やザクロ、銀杏、金木犀、藤、そして松など、実に様々である。初めて高校を訪問された方からよく伺う声に、

「街中にあって緑が豊かな環境ですね。」

というものもある。

 春には生徒門の脇で桜たちが薄桃色の花で新入生を迎え、秋にはバスケットコート前から第2学館に向かうたびに、金木犀が甘い香りが漂わせている。狭い校舎の中にいても、様々な木々が豊かな彩りや香りで私たちに季節の移り変わりを教えてくれる。

 そう言った木々の中でも、敷地中央に泰然と立つ榎(えのき)は、やはり遊学館高校のシンボルではないかと思う。風が通り抜けるたびに枝葉をサワサワと鳴らす様子からは、自然の雄大さと包容力を感じる時もある。

 100年以上にわたって金城学園の生徒達を見守ってきた。

 一体何百、いや何千人の高校生がこの木の下で昼食を食べ、語らってきたのだろうか。もし、榎と話す言葉があれば、どんな話しを私に聞かせてくれるだろうか。

 100年前に瞳を輝かせ金城遊学館の門をくぐる女学生の姿。戦時中に校庭で農作物を栽培しながら汗を流す女学生たち。

 そして、共学になった遊学館高校で過ごす現在の生徒達のことは、どんな風に話してくれるだろか。尽きることのない思い出をいつまでも話してくれることだろう。そんなことを想像するだけでも、楽しくなってくる。

 遊学館高校が緑豊かでいられるのは、「本多の森」と「犀川」の役割が大きいのでないかと思うことが時々ある。遊学館高校の木々は、豊かな本多の森と地中深く根を結び、犀星が「美しき川」と謳った犀川から水を受けて伸びやかに育っているのではないかと。

 それはまるで、彼らが金沢の豊かな自然と遊学館高校を結びつけているかに思える。毎日何気なく過ごしている校舎のあちこちで、季節の移ろいと共に姿を変えながら、草木たちは今日も遊学館高校を静かに見守っている。

Viewimg_17
遊学庭の榎 その1
Viewimg_18
遊学庭の榎 その2

2007年8月28日 (火)

【第4回】テヘンニムヤクタO. S. (国語)

Viewimg_19  みなさん、こんにちは。

暦の上ではもう秋に入っているはずなのですが、厳しい残暑が続いていますね。

もうすぐ新学期が始まりますが、生徒諸君は充実した夏休みを過ごすことができたでしょうか?特に3年生は進学補習に就職講座にと、忙しい夏休みだったことでしょう。

さて、私は就職指導を担当していますが、この夏休み中、生徒諸君が受験を希望している企業へ企業訪問に行く機会がありました。その際に訪問先の採用担当の方とお話をしていると、

「企業訪問に来る遊学館の生徒さんたちは挨拶がしっかりとできていますね」

とほめていただく事がたびたびありました。学校訪問にいらっしゃる方からも、同様のお言葉をいただくことがあります。

(ちなみに、「挨」という漢字には「押す」、「拶」という漢字には「迫る」という意味があり、もともとは「禅宗の師が門下の僧と問答をして、その悟りの深さ浅さを試すこと」が「挨拶」でした。それが次第に、「人に会ったときや別れるときなどに取り交わす、礼にかなった動作や言葉」という意味へと変わってきました)

初めてお会いする方やお世話になった方などに「挨拶をする」ということは当たり前のことですが、なかなかできていない高校生が多いのでしょう。実際に、遊学館の生徒諸君は挨拶がよくできているなと感じます。

中学生の時には、なんとなく恥ずかしかった挨拶も、遊学館へ入学してしばらく経つと、先輩や先生方につられて、抵抗なくできるようになったという人も多いのではないでしょうか。


登校した時には 「おはようございます」、

授業や部活の始まりには 「おねがいします」、

終わりには 「ありがとうございました」、

昼間に校内ですれ違うときには 「こんにちは」、

下校するときには 「さようなら」……。


もし、この挨拶がひとつも交わされない学校だったら、と想像すると、どうでしょうか。
とても寂しく暗い学校になってしまうのではないでしょうか。逆に、遊学館の生徒諸君がいつも明るいのは、この辺りにも原因があるのかな、とも思います。

当たり前のことが当たり前のようにできる。

挨拶だけに限ったことではありませんが、これはとても大切なことだと思います。この先輩方から受け継いだ良き伝統を、今後も継承していって欲しいものです。

また、間もなく3年生は進学・就職シーズンの本番に入ります。新学期が始まり学校に登校する際には

「おはようございます!」

と元気な挨拶で弾みをつけ、もうひと踏ん張りして、この時期を乗り切っていきましょう。

2007年8月21日 (火)

【第3回】 「遊学」とは−新しい人との出会い、つながり?中村 裕行 (地歴・公民)

 遊学館高校の生徒諸君、残り少なくなった夏休みを元気に過ごしていますか?

 この文章を読んでいる本校の生徒は、私が1学期の終業式で

「本校のホームページが8月10日にリニューアルされます。
全国の高校で最も多くアクセスされるように、いろいろな仕掛けがしてありますので、お楽しみに…」

と話したことを覚えていますね。

 私は8月10日、クラブの遠征で学校を離れていたため、ホームページがリニューアルオープンされた前後の反応を直接確かめることはできませんでした。
しかしながら、この作業に携わった一員として、内外の反応はたいへん気になるところです。情報が不特定多数の人々に発信されることの魅力と怖さを、今さらながらに感じています。

 ホームページの魅力という点から話をすれば、特に県外出身生徒のご家庭にとっては、遠く離れた場所から子どもが通っている学校の情報をほぼリアルタイムに把握できることは、有り難いことではないでしょうか。

昔、テレビカメラを向けられ
「故郷のお父さん、お母さん見てるー?私は元気に頑張っているから安心してー!」
などとピースしている姿などをよく見かけたものですが、このホームページがそんな役割を果たしてくれれば、こちらも有り難いと思っています。

 現在、本校には100名近くの県外出身生徒が在籍し、主に運動部で活躍しています。校名にある遊学とは、異郷の地で学ぶという意味ですから、まさにその通りの状況が生まれているわけです。

入学して間もない頃は、クラスに2、3名いる県外出身生徒との言葉の違い、文化の違いなどが新鮮な驚きとなりますが、時がたてば県外出身生徒も自然にクラスへとけ込んでいく、これは本校の魅力の1つだと感じています。

先生方にも県外出身者は多く、いろいろな縁で本校に赴任し、「チーム遊学館」を構成しているという感じです。

 私も県外出身者の1人で、東京都多摩市という所で育ったのですが、系列の金城大学職員に同じ出身地の方がいらっしゃるということを先日知りました。

さらに驚くべきことは、私が大学生の時にボランティアで通っていた学童クラブに彼が児童として通っていたらしいということです。まさに遠く離れた石川の地で、20数年ぶりの再会を果たしたことになります。

教え子とか師弟関係というには及びませんが、本当に何という縁だろうかと感動してしまいました。

 「私学は人」だと、よく言われます。

建学の精神の下に集い、学び、巣立っていく-受験の現実を考えれば理想に過ぎるのかもしれませんが、このような生徒が1人でも多く集まってくれればと思います。

全国には、1万名を超える卒業生の方々もいらっしゃいます。
このホームページを通じて、「チーム遊学館」の輪が外野にまで大きく広がることを願っています。

 最後に一言。

「東京の親父、おふくろ、元気ですか?私は、遊学館で頑張っています。
学校のホームページも見てください!」