2013年9月12日 (木)

【第296回】 灯火親しむころM. M. (国語)

 暑かった夏が終わり、暦の上では灯火親しんで読書にふける季節が来ているのに、現実はそうでもない。どしゃ降りの雨が山を崩したり、道路を川にしています。

 人間は水から離れては生きられないのに、ある日、突如としてその水が牙をむき、人間に襲いかかるのです。これは恐ろしいことですが、考えてみれば、人間はそんな現実の中で生きているのですね。

 では灯火に親しんで本を読むことにします。

 本を読むのは楽しい。至福のとき、と言ってもいいですね。なぜそんなに楽しいか。それを書いた人と、直接向かい合って、お話を聞けるからです。本を書く人は、自分の思いを、一番いい言葉、一番ピッタリした表現を選びぬいて文章にしています。

 これを味わい取れる。これが至福でなくて何でしょうか。

 さあ灯火に親しみましょう。

2013年9月 5日 (木)

【第295回】 今年度、二度目のスタート本 茂通 (地歴・公民、福祉)

夏期休暇もあっという間に終わり、2学期がスタート。
3年生のクラス担任をすることが多かったためか、久々の1年生のクラス担任は新鮮に感じながらも、これまでにない新たな発見が数多くあった1学期であったと振り返る。

誰でも、これまでのことを振り返ることで、課題が見つかり、それを克服する努力や達成することで大きく成長できる場合がある。また、その反対に、振り返ることをしない場合や、振り返りたくない場合もある。
どちらが良い悪いではないが、私の場合は、すぐに振り返ってしまうことが多い。
以前は、振り返ることに嫌さを感じたこともあり、なるべく振り返らないようにしていた。振り返ることは、どこかしら過去を引きずる弱さに感じていたためだと思う。自分の弱さを隠すために強がった行動をとる。強がることも悪いことではないが、私の中では常に違和感を覚えている。
いつの時期からかは覚えていないが、自分自身を成長させるためにあえて振り返るようにしている。自分の行動を見直し、自分に問いかけ、方向性を再確認するといったような誰にでもできるようなことである。
でもそのことで、多くの良いものを得ることができていった。
人の生き方は、人それぞれだが、
“謙虚さを忘れずに行動していきたい”この夏で強く再確認したのがこのことであった。

この2学期はどのような学期になるだろうか。みんなが頑張れることが一番。
様々な思いが交錯する中で今年度、二度目のスタートをきった。

 

今年の夏も多くの出来事があった。

来年の夏はどんないい夏になるのだろう。

2013年8月29日 (木)

【第294回】 8月7日(水)晴れ向江 大輔 (地歴・公民)

 今日は、宮城県気仙沼向洋高校との試合。この試合は石川県高等学校野球連盟が大会ごとに募金活動を行い、被災地の高校を石川に招待し、石川県の高校との試合や交流を深めるという活動だ。

 気仙沼向洋の選手が遊学館のグラウンドに入ってきた。礼儀正しく明るく元気な印象だ。

 両チームがアップ、シートノックをし試合が始まる。初回に遊学館が3点を先制。その後も追加点をとるが、3回裏、気仙沼向洋も1死から左中間を破る3ベースヒットからセンターへの犠牲フライで1点を返し反撃する。しかし、その後も遊学館が追加点を加え、14-1で遊学館の勝利であった。

 試合をしながら、劣勢でも常に明るく元気よくプレーする姿、最後までボールにくらいついていく姿が非常に印象的だった。

 試合が終わり、両チームで楽しく記念撮影を行い交流を深めた。その後、気仙沼向洋の川村監督から遊学館の選手に話をしていただいた。

 川村監督は、ゆっくりとしずかな口調で、地震のこと、津波のこと、一度地震がおさまり様子を見に動き出した人たちが被害にあわれたこと、4階建ての校舎の屋上に避難したが屋上から手を伸ばせば海面がさわれそうだったこと、死を覚悟したこと、避難した場所がちょうど「押し波(震源から遠ざかる波)」と「引き波(震源に向かって動く波)」の関係で水位が上がらず助かったことなどオープンに話してくださった。

 そして、そのひと言ひと言にとても“重み”を感じた。

 遊学館の生徒たちも、その重みのある言葉や試合を通じて自分たちの環境がいかに恵まれているか、当たり前が当たり前でないこと、感謝の気持ちの大切さなど改めて感じることができ、貴重な経験をさせていただいた。

 東日本大震災から2年5ヵ月。自分たちもだんだん意識が薄くなってきていないだろうか。もう一度、自分自身に問いかけてみたい。

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2013年8月22日 (木)

【第293回】 「静かに熱き音楽の世界」小坂 英洋 (情報)

8月11日(日)、金沢歌劇座で行われた第54回北陸吹奏楽コンクールに、遊学館高校吹奏楽部の演奏を聴き(応援し)に行ってきました。結果は見事金賞!先に行われた石川県コンクールもそうでしたが、吹奏楽の世界は運動部の試合とはまた違い、「静かな熱戦」が行われていると感じました。

 遊学館高校吹奏楽部の歴史は古く、創部83年にもなります。前身はアコーディオンを中心に編成されたリードバンド部でした。私が金城高校(女子校時代)に奉職した頃はリードバンド部として数々の出演や演奏会を開いていました。アコーディオンの音色は、優しくて暖かい、そんな印象を持っていました。(写真は昭和10年代のもの)

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 金城高校が男女共学の遊学館高校としてスタートした頃、リードバンド部は管楽器など編成を変え、吹奏楽部となりました。吹奏楽部としては今年で17年になるそうです。その吹奏楽部は、今メキメキと成長しています。文化部ではありますが、生徒たちは朝練習、昼練習、放課後の練習とハードな毎日をこなしています。礼儀も正しく、キビキビとした行動はまるで運動部員のようです。テレビで他校の吹奏楽部を特集している番組がありますが、まさに「それ」です。

 コンテスト会場の空気は、静かながら緊張感がこちらにも伝わってくるほど張り詰めています。その中で聴く人々を感動させるような演奏をしてくれた各校の吹奏楽部のみなさん、ありがとうございました。遊学館高校吹奏楽部の北陸大会での結果は、昨年は銀賞。今年は金賞。北陸大会から全国大会へ出場できるのは16校中2校。この狭き門に向かって練習を積み重ねている生徒たちに精一杯のエールを送るため、これからも会場で「静かに熱く」応援をします。

2013年8月15日 (木)

【第292回】 チョークと応援メガホンとMi. Y. (英語)

私が遊学館高校で教え始めてから5年目になります。教員として嬉しく思うのは、生徒たちが素直で明るく、教師の私は楽しく教えられることです。時々「授業の進み方が速すぎます。」と苦情を言われることもありますが、そんな時は自分の得意なフランス語の話をしたりします。例えばフランス語では語尾の子音字は読まないことが多いので、Paris は「パリス」ではなく「パリ」であり、また restaurant は「レストラントゥ」ではなく「レストラン」となることなどです。このようにして日本語・英語・フランス語の共通点や相違点に目を向けさせ、言語に対する興味を持ってもらうようにしています。

さて授業の終了チャイムが鳴って職員室に戻る全ての教員の手はチョークで汚れています。私も他の教員たちと同様に右手はチョークだらけです。そんな手を洗いつつふと思ったことがあります。チョークで手が荒れるのだから野球のピッチャーの手も荒れているのだろうな、と思ったのです。今年私はクラス会長がピッチャーであるクラスを担当しています。私と生徒たちとの接点は教室の他に野球の応援があるのです。

遊学館野球部と私の出会いは2009年の北信越大会県予選だったと思います。前年に家内を亡くして落ち込んでいた私は、休日は魚釣りに没頭していたのですが、たまたま担当クラスに野球部の選手が多かったので、その生徒たちを励ましてやろう、と思い、野球場へ出かけました。選手たちのひたむきさと保護者応援団の熱心さ、外野へ飛んでいく白球、勝利の喜び、全てが私には新鮮でした。私は選手たちに励まされている自分をみつけました。その試合から私は観客から応援団になりました。

野球場で私のいるところは保護者応援席です。私は自分を保護者の一員として考えています。試合に出ている選手たちはもちろん、ベンチ入りできずに応援に回っている生徒たちも、またマネージャーの女生徒も、みんな私の息子・娘たちなのです。私に元気を与えてくれる大切な子供たちなのです。他の保護者の皆さんと共に、彼らの活躍を願い、力一杯メガホンを振っています。

今年、本校は残念ながら甲子園に出場することはできませんでした。生徒会長のN君は涙を流しながら私の手を握り、「後輩をよろしく頼みます。」と言いました。もちろん私はこれからも遊学館野球部を応援し続けるつもりです。

私に高校野球の素晴らしさを教えてくれた2009年の野球部は甲子園への出場はできないまま卒業しましたが、彼らのうちの一人は大学野球で頑張っています。私は卒業後も彼ら野球部員たちがしっかり人生を歩んでいってくれることを願っています。