2008年9月17日 (水)

【第55回】鳥肌が立つ中川 光雄 (保健体育)

「先生、惜しかったね。」
「あの子達、良く頑張ったね。」
「感動しました。」

 学校関係者、地域の方々、また、全国各地の高校野球を愛している方々からたくさん声をかけていただいた。みなさん口をそろえて言ってくださるのが、「鳥肌が立ったよ。」 ということだ。

 前回のコラムにも書いたように6期生(現3年生部員)は、甲子園大会に出場したことがなく、秋季県大会において1回戦負けを喫した時点で残りのチャンスはあと1回。ひと冬越し、彼らは期待通り成長を遂げ、春季県大会準優勝、春季北信越大会優勝を果たした。彼らの夏に懸ける想いは、ひしひしと肌で感じていた。

 決勝戦。試合の中盤で思いもよらぬ大差がついた。スタンドの雰囲気は完全に負けムード。しかし、ベンチは諦めていない。何点差つけられようが、彼らの目は輝いていた。ベンチに入れなかった3年生部員を必ず甲子園に連れて行く。9回表、2年生の選手がチームの想いをすべてのせた同点スリーラン!!応援してくださった方々はこの場面で鳥肌が立ったのだと思う。残念ながらあと一歩及ばず、惜敗し、3年生の目標は夢と終わった。

 私自身、鳥肌が立ったのはここからだ。

 閉会式後、グラウンド整備を終え、球場の外に行くと、保護者の方々が出迎えてくれたのだが、キャプテンが3年生全員をあつめ、保護者の前でひと言。
 「僕たちは残念ながら甲子園には行けませんでしたが、遊学館高校で野球ができて本当に良かったです。これまで僕たちを支えてくださって本当にありがとうございました。」
 3年生全員が深々と頭を下げ、「ありがとうございました。」と。

 試合に勝つ、負けるということだけでなく、私がいちばん学んでほしかった感謝する気持ちを持つことができた6期生は、先輩達が残した偉大な記録と同じくらいの功績を野球部に残してくれた。彼らの歩んできたこの2年半のプロセスはきっと今後に生かされるであろう。

私は、今もあの日のことを思い出すと鳥肌が立つ。

2008年9月10日 (水)

【第54回】学園祭での私の楽しみ中川 都 (国語)

Viewimg01 9月5日と6日に学園祭が行われました。

 学園祭で、私がいつも楽しみにしていることがあります。それは中庭の飾り付けです。中庭にはいつも模擬店が出されます。その模擬店の飾り付けを見るのを楽しみにしているのです。

 今年も3年生全クラスが模擬店を企画し、中庭に店を出しました。それぞれに趣向をこらし、楽しい飾り付けがされています。そのいくつかを紹介します。

 焼きおにぎりを企画したクラス。
店名の『あっ晴れ俺の飯』という看板のほかに小さめで『鬼切屋』という看板もありました。このクラスは、福祉コースと美術コースに在籍している生徒で構成されており、小さな看板は美術コースの生徒が担当したそうです。『鬼切屋』と文字がデザインされた看板は完成度が高く、さすがだと感心しました。作った生徒いわく、文字を大きく書くことが難しかったそうです。もちろん、焼きおにぎりも、とてもおいしそうでした。

 担任の先生の特徴を上手に生かした看板もありました。これを見たときは思わず噴き出してしまいました。このクラスは自分たちのクラス写真を大きくしたものも飾ってありました。

 あるクラス。そのクラスの担任の先生に、4日にお子さんが生まれました。その朗報を聞いた生徒は、看板におめでとうの文字を書き入れました。なかなか粋なはからいです。

 たこせんのクラス。ポップでかわいい看板を作りました。 

 そして今年の中庭の飾りつけの最大の作品。それは、円筒校舎のデコレーションです。本校の美術教諭のアイディア(下イラスト参照)から始まり、1年5組のクラス企画として制作されました。北國新聞6日の朝刊県内ニュースの欄などにも取り上げられましたが、来春には取り壊される円筒校舎をケーキに見立て、飾り付けがされました。牛乳パック集めを全校生徒に呼びかけ、竹山から竹を切り出し、その準備は大変なものでした。

間に合うのか心配でしたが、学園祭当日には、竹を組み合わせて大きないちごが五個、ろうそく2本、ベニヤ板で作られたホイップクリームが2個、チョコレート板に見立てられたメッセージボード、円筒校舎の塔屋から紙パックをつなげたものが何本も吊り下げられ、巨大なデコレーションが作り上げられていました。1年5組の生徒を中心として、1年学年会協力のもとできあがった大きな大きな作品です。

 円筒校舎をケーキに見立てるというアイディアは、先生のアイディアでしたが、生徒たちの発想も豊かで感心します。いろいろ工夫し協力しながら、楽しい作品を作り上げる。今から来年の学園祭が楽しみになるのです。

 最後に、学園祭にはいつも卒業生が尋ねてきてくれます。それも私が楽しみにしていることの一つです。
卒業生が言ってくれる「遊学館大好き」という一言、なんとも嬉しいものです。

Viewimg02
Viewimg03

2008年8月27日 (水)

【第52回】善因善果・悪因悪果・自因自果竹田 剛 (理科)

Diary0005900000001
犀川の朝

さすがに朝夕は涼風が吹くようになりました。私は、この時期になると、ある一人の生徒のことを思い出します。

 それは今から七年前、一年生の特進クラスを受け持っていたときのことです。クラスの中には、勉強だけではなく部活動にも一生懸命がんばっている生徒が何人もいました。

 その中でも、奥能登から本校の野球部の一期生として入学してきたTさんという生徒がいました。彼は、勉強・部活動は勿論、ともすれば手を抜きがちな清掃活動においても、誰が見ていようがいまいがいつも率先して取り組んでいました。

 私は、HRの時間にクラスの生徒に対し、彼の例を出して、「良い行いをしていれば必ず良いことが身に振り返ってくるものだ。受験の場合であれば、択一問題で偶然正解になることもありうるし、スポーツの場合であれば、ピンチになったときでも相手からミスをしてくれることもありうる。」といったようなことを話したことがあります。

 実際に、そのようなことが起こったかどうかはわかりませんが、彼は野球を最後までがんばりながら、勉学面でも手を抜くことがなく、見事、早稲田大学法学部に現役合格を果たしました。

 不思議なもので、人生とは利己的な行動を取ったり、楽をしたりすればその分、後で苦労を強いられ、一方、常に周囲を思いやり、地道に努力をすればその分、思いがけず後で報われることがよくあるものです。

 3年生は受験勉強で忙しい日々を送っていると思います。しかし、時間だけは誰に対しても平等であり、空しいくらいに確実に過ぎていきます。毎日の努力を怠らないことは当然のことですが、人として正しい行いを心掛け、運を味方につけることも進路目標を達成するために大切なことだと思います。がんばってください。

2008年8月20日 (水)

【第51回】7年振りの再会嶋田 司 (数学)

 今年の正月、7年前の卒業生の同窓会に出席した。30名ほどが集まったから、クラスのほとんどが参加したことになる。正直に言うと、このクラスの同窓会は想像していなかった。

 このクラスは理系クラスで、私は彼らの2,3年次を受けもった。クラス経営には、色々苦労が絶えず、まとめることが難しかった。私が未熟で、彼らに迷惑をかけたことも事実である。しかし、一人ひとりは個性的で、魅力的であったことは間違いなく、忘れられないクラスの一つだ。彼らが卒業式するとき、「このクラスで集まることは、ないだろうな」というのが正直な感想だった。

 7年振りに会った生徒は、誰もがたくましく見えた。仕事の話、結婚する話、それぞれの近況報告に話を弾ませ、そして、高校時代の思い出話になっていく。本当に、楽しい時間だった。何より、みんなが酒を飲み交わしながら、賑やかに話をしている姿が嬉しかった。高校は、新たな出会い、新たな環境での勉強・部活動、そして進路決定…と凝縮された3年間だ。この3年間を同じ空間で過ごした者同士は、お互いにかけがえのない存在なのだと感じた。

 今は夏休み。しばらくすると2学期が始まり、3年生はいよいよ受験である。3年生は、同じ不安や悩みを抱えながら学校生活を送る。これを乗り越えたとき、さらなる絆で結ばれるのだと思う。

2008年8月13日 (水)

【第50回】夏休みS. Y. (理科)

ある夏休み中の私の一日…。

朝、8時過ぎに学校に着く。すると、中庭からはバトントワリング部、体育館からはバレー部の部員たちの声が聞こえる。職員室に向かい、9時から始まる3年生の夏期補習の準備をする。9時から10時20分まで大学受験を眼前にした3年生に化学の補習授業をする。(私の担当は理科です)

それが終わると今度は12時過ぎに自分のクラスの生徒が数人、
「教室で勉強していってもいいですか?」と聞きに来る。(私自身、1年9組の担任です)
私が「分かったよ」と答えてから、しばらくして
「先生、教室、吹奏楽部が使ってるんですけど…」とまた同じ生徒。
私は「じゃあ、特別教室で勉強しなさい」と伝える。

13時から男子バスケットボール部の練習が始まる。(さらに、私は男子バスケットボール部の顧問です)夏のバスケットボールコートは蒸し暑く、部員たちもこの暑さに負けじと一生懸命、汗と声を出す。地球温暖化といわれる昨今、こまめに水分補給はしているが熱中症にはならないかといつも心配しながら見守っている。

16時くらいに部活動が終わり、自分のクラスの生徒が勉強している教室へ向かう。そこで質問を受け、分からなかったら一緒に考える。(生徒たちの質問はほとんどが理科以外です…)

そして、17時。完全下校時刻を30分オーバーして、生徒たちと慌てるように学校を後にする。これが夏休み期間中の私の日課である。

遊学館には、夏休みであろうとそれぞれの目標を持った生徒たちが毎日出入りしている。
私一人が接しているだけでもこんなにたくさんの生徒が頑張っているのである。県外へ遠征に行っている運動部員、家で一人、夏休みの課題に黙々と取り組んでいる生徒もいるだろう。

遊学館のみんな、頑張れ!