2010年1月20日 (水)

【第117回】幕張メッセに応援に行って中川 都 (国語)

 今年も幕張メッセで開催された、バトントワーリング全国大会の応援に行ってきました。
結果は準優勝、連覇はなりませんでしたが、優勝したPL学園とは1.9点の小差、34校中2校しか受賞しなかった金賞を受賞しました。

 優勝したPL学園は、大編成の中でも39名という群を抜いて人数が多いのですが、流れるような動きで、誰一人として和を乱すことがなく、これぞ大編成の醍醐味といった演技でした。他の団体では、リフトがあったり宙返りがあったりと、運動能力の高い個人のパフォーマンスが観客を沸かせる場面がありました。しかし、PL学園は一人を目立たせるということがありませんでした。わっと会場を沸かせることはなかったように思われましたが、選手一人ひとりの技の難易度が高く、それを全員が精確に美しく決めていました。

 PL学園には、熟練したものが持つ優美さ、堂々たる風格が感じられました。でも、私は遊学館の演技が好きです。演技の始まりに会場から声がかかります。掛け声と拍手は演技の間中途切れることはありません。それに応えるかのように、選手たちが高難度の技を決めてゆきます。三味線の曲「疾風」の力強いリズムに乗り、息の合った演技で、会場を魅了していきます。選手と会場の一体感、それはPL学園にはなかったように思われます。遊学館の演技には、躍動感が感じられました。今の彼女たちの精一杯の輝きが、会場を巻き込んでゆく勢いがありました。

 遊学館の選手の多くは、高校に入学してからバトンを始めます。顧問の先生いわく、「もとより技量を持つ素質ある選手の集団ではありません」と。その選手たちが、金賞を受賞しました。それは、選手一人ひとりの技の精確さが評価されてのことだと思います。その成果をおさめるまでの選手たちの努力は、たいへん貴いものに感じます。

 「疾風」の演技は県大会、北陸大会でも見ましたが、全国大会で披露した演技が、やはり一番素晴らしかったと思いました。選手の一人が、「12月に入ってから本当に苦しい時期が続いた」と言っていました。その時期をみんなで乗り越えたからこそ、一番大きな舞台で、最高の演技を披露することができたのでしょう。

 大会には去年優勝した先輩たちが応援に来ていました。先輩たちは後輩の演技の間中声を出し、後輩の演技を信頼していることが伝わる、心のこもった応援をしていました。遊学館バトン部の歴史と強い絆を感じられる瞬間でした。

 大会が終わった後の選手たちに会うことができました。V2ならずということで、どんな顔をしているか、心配でした。でも、心配は必要ありませんでした。みな笑顔でした。ここに至るまで努力を惜しまず、勝負の場でベストを発揮できた、清清しいきらきらとした笑顔でした。こんな素敵な笑顔を見せられるようになった彼女たちの成長を、とてもうれしく思います。

 

2010年1月13日 (水)

【第116回】THINK TWICE!I. I. (国語)

「親譲りの無鉄砲で子供の時から損ばかりしている」

おなじみ夏目漱石「坊ちゃん」の冒頭部です。
僕はこの小説が大好きで、主人公の坊ちゃんと同じく無鉄砲な自分とを重ねて、長年何回も愛読しています。ただ、自分の性向ゆえに、「損ばかり」というよりむしろ「後悔ばかり」しています。これを心配した母は、いつも僕に「考えてから行動しなさい」と半ば呪文のように説教していました。いつも坊ちゃんの無鉄砲さを心配して、苦言を呈していた清(きよ)のようですね。

それでも何度も繰り返し同じことを言われると不思議なものです。事を起こす前には考えるようになってきました。もちろん、性向は簡単には改まるものではなく、そそっかしく無鉄砲であることは変わりませんが、年を経るごとに少しは落ち着いて行動できるようになってきたと思います。

人生において人は時に大きな決断をしなければならないことがあります。それは多分に取捨選択に迫られると言っていいでしょう。どちらかを捨て(あきらめ)、どちらかを選ぶのは、つらいことです。時には、その重大さに気後れし、泣き出したくなるような決断もしなくてはなりません。その時に、失敗しない確率を上げるためにも、正しい道に進むためにも、常日頃から、安易に刹那的に行動に起こす前に、小さな事でも「よく考えて行動する」ことが大切だと理解しています。

さて、昨年亡くなったマイケル・ジャクソンの「ビリージーン」の歌詞にこういうのがあります。
 So take my strong advice. Just remember to always think twice.
(だから、僕の強い忠告を受け入れなよ。いつも二度は考えなきゃって思い出してくれよ。)

僕が明確に教員を志した二十歳のころに流行していた歌です。レコード(CDはまだなかった!)を買って繰り返し聴いていました。「ビリージーン」の歌詞は衝撃的で全文をここに載せるのはふさわしくありませんが、すでに数多くの歌をヒットさせていたマイケル・ジャクソンは、その溢れんばかりの才能に溺れることなく、ひたすら努力することによってスターダムにのし上がりました。「ビリージーン」の入ったアルバム「スリラー」が記録的な売り上げ記録を残したことは、多くの方がご存じのことと思います。同年代の彼の活躍は僕を奮い立たせ、その後の僕に大きな影響を与えました。

この歌詞の中の「think twice」こそが母から諭されていた「考えてから行動しなさい」なんですね。以降、「think twice」は僕の座右の銘となり、ことあるごとにこの言葉を基に、総合的に判断し慎重に行動するように努めるとともに、今の自分でいいのかと省みるようにしています。そして、生徒たちにも忠言として教えています。「考えてから行動しなさい」よりも「think twice」のほうが、その意味をかみしめるうえで心に刻まれやすいと考えたからです。

でも本当は、自分自身に忘れないように言い聞かせているんですね。

2010年1月 6日 (水)

【第115回】受験生のみなさんへ松田 淳 (地歴・公民)

勉強の方はどうですか?進んでいますか?
「今のままで受かるかな…」「だめだったらどうしよう…」と不安な気持ちになっているみなさんへ。みなさんの気持ちは私たちも通過してきているのでよく分かります。大人たちも日々、良い結果に喜んだり、また、挫折も味わったりと山あり、谷ありです。

今は、まず限られた時間を精一杯使って、できることに集中しましょう。今、机に座っているその目の前にある参考書や問題集に集中しましょう。「たくさんあって手がつけられない…」と焦らず、一週間の中で、一日の中で時間を割っていき、計画的に、とにかく動きましょう。

格言(1)『悩む前に動け・悩んでも動け』

遊学館高等学校バトントワリング部は、今週1月8日~10日・千葉幕張メッセにて開かれる全国大会に出場します。この冬休み期間中、大晦日・元旦と練習は365日切らすことはありません。なぜなら、それがまず不安という自分との戦いに勝つ最善の方法だからなのです。それで成果が出なければ、自分たちの努力不足だったという客観的かつ冷静な結果のみが残るのです。

自分たちのチームより、さらに厳しく多くの練習をしたチームがいたという事実なのです。まず“今できること”に最善を尽くす…これが最良の不安解消です。「自分はできるだけのことをして臨んでいる」という自分なりの自信と準備を持てるかどうか。日頃の中間試験や期末試験に際しても部員たちに言い続けています。「最後の1分まで答案を見続けよ。簡単な問題ほど気を抜かず確実に積み重ねよ!」と。勝負に100%の保証というものはない。保証は自分自身でするしかないのです。

格言(2)『自分を支えるのは自分』

そして、あきらめないこと・投げ出さないことです。同じ実力を持つ者同士、最後は気持ちや信念が強い方が優ります。鉄則です。遊学館高等学校バトントワリング部は全国大会へ遠征に出かけた際に、前日そして当日の午前まで(出場は当日の午後なのですが)会場とは離れた体育館にこもって、ギリギリまで練習をします。365日のうちのそれが最後の1日でも、当日の1日でも、とにかく練習時間を確保します。

相手が問題なのではなく、まず自分たち自身がベストを発揮できるかなのです。遊学館高等学校バトントワリング部はもとより技量を持つ素質ある選手の集団ではありません。高校に入学してからバトンを始める選手が多くいます。昨年は全国制覇、今年はV2をめざしていますが、絶対的な自信があるわけではありません。

格言(3)『限られた条件の中でベストを尽くす。
     (不平や不満は自分を成長させる糧にならない)』

いよいよという最後の場では、自分を信じることです。自分自身に集中することです。受験も試合も、相手あってのことですが、得てして自力の100%を出し切ることは難しい。健康状態、不安、緊張…多くの原因で多くの人たちが100%にいたらない例が普通です。

その中で、100%の力を発揮できる人は素晴らしいと思います。ましてや120%の力を発揮することは普通の人ではできないと思います。100%=完全なのです。めざすなら100%に一歩でも近づこうとする気持ちだと思います。残された1日のために、残された1時間のために最善の方法を考え、集中する…。それが私たち遊学館高等学校バトントワリング部の考え方です。

中学生のみなさん、「兄弟が多いから家の中がうるさい」「通りを走る車の音がうるさい」などと、いろいろな不平や不満があると思いますが、心を落ち着け、前を見て、手元に集中しましょう。

それぞれの志望校をめざして頑張るみなさんを心から応援したいと思います。私たちも全国大会から戻ってきたら、またこのホームページで結果を報告します。それでは、お互いにファイト !!

2009年12月23日 (水)

【第114回】自主性城丸 哲宏 (地歴・公民、福祉)

 私は、女子卓球部を16年間指導させてもらっています。
ついこの2ヶ月程前に知人を通して、体の使い方の理論である「○○○○○理論」(名称を出すのは良くないらしいので)という考え方に出会いました。この考え方を実践してみると見事に選手の動きが変わり、まさに「目から鱗」といったところです。

私自身、長年悩まされていたものも解消され、「どうして今までこんな簡単なことに気が付かなかったのだろう?」と反省もしました。そして、こんな良いものがあるのなら皆にも知らせてあげようと思い、同僚の運動部の顧問に紹介してみたところ皆の反応は一様に意外なものでした。

それは、「へぇーそうなんですか?」、「ふぅ~ん」、「なるほど」などです。私はもっともっと良い反応を期待していたので、「あれっ?」という感じになり、しつこく話をしていると、「どうしたんですか?」や「はまってますねー」などと言われる始末です。もちろん興味を持ってくれた方もいましたが、私にとってはとても意外でした。

 この出来事から気付いたことは、「人に言われたことでは身に付かない」ということです。簡単に言えば、「自主性」が必要と言えるでしょう。私もよくよく考えてみれば、人からアドバイスをされても素直に聞いていない時も多くありました。自分がその気にならないと身に付かないということがこの経験で再確認できました。

 これは指導をしていく上でも全く同じであって、生徒に押しつけるのではなく「その気にさせる」ということの大切さを身を持って感じることができました。

 先日、大会があり新しい理論を取り入れた成果が多少はあったかなという手ごたえがありましたので、今後が楽しみだと思っております。

2009年12月16日 (水)

【第113回】グライダーと飛行機中川 光雄 (保健体育)

先日、一年の世相を表す今年の漢字に「新」が選ばれた。
民主党の政権発足、型インフルエンザの流行、イチロー選手の
大リーグ9年連続200安打の記録などへの人々の関心と期待を反映した。

私自身も今年は外山滋比古氏の「思考の整理学」という本を読んで
しい考え方が身に付いた。

なぜこの本を読んだのかというと、表紙に「東大・京大で一番読まれた本」と書かれていた。
最近どの本にも興味をもたせるためカバーに付いている文章に、私はいとも簡単に興味をもち、東大生、京大生が理解できて、私にはできないのかという勝手な負けず嫌いな性格も重なり、一気にこの本を読破した。

グライダーと飛行機は遠くから見ると似ている。空を飛ぶのも同じである。ただグライダーは自力で飛ぶことができない。受動的に知識を得るのがグライダー能力である。
飛行機はエンジンがついているので自力で飛ぶことができる。自分で物事を発明、発見するのが飛行機能力である。

人間にはグライダー能力と飛行機能力がある。両方の能力を人間は持ち合わせている。という内容がある。

私は野球部の顧問をしていて、部員達に私生活では…学校生活では…部活動では…と教えている。素直な子達ばかりなので、グライダー能力はどんどん身につけている。しかし飛行機能力はどうか。テスト前や部活動中で自由な時間を与え、好きにしていいよと助言するとかたまってしまう。自力で行動することをためらう。受動的に知識を得る能力が高ければ高いほど自力で行動するのに時間がかかる。

これからの世の中、自分で物事を発明、発見する飛行機能力がより重要である。教えてばかりでは駄目だと気付いた。注意を与えて導いてあげることだけでなく、自分自身で判断し、あらゆる壁を乗り越えていけるようにアドバイスをしていくことがより大事だと気付いた。

部員達にはグライダーにエンジンを搭載した飛行機人間になってほしい。