2020年3月12日 (木)

【第619回】 「休校中の校内にて」土谷 悠成 (地歴・公民)

 コロナウィルスによる感染拡大に伴い、遊学館高等学校においても、在校生は3月2日より休校となっております。本来ならば3日から2年生は東京隊・九州隊に別れての修学旅行、16日は遊学生の主張コンクール・後期生徒総会、17日・18日には1・2年生の球技大会、19日は終業式・離任式・表彰伝達が予定されておりました。これらの行事がすべて中止となり、当然ながら授業・部活動も実施することが出来なくなりました。
 休校期間中、教職員は生徒の自宅学習のための課題準備、年度末における成績処理、来年度に向けての教科会、校内の清掃、教材研究などを行っております。
 コロナウィルスの感染拡大が連日報道されており、事態の収束が不透明ななか、教職員一同、生徒たちの元気な姿が一日も早く戻ってくることを心より願っております。

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静けさが漂うバスケットボールコート
先生方が各教室の清掃を行っている様子
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第二学館2階 第二学館3階
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第二学館4階  

2020年3月 5日 (木)

【第618回】 「確かな情報と確かな判断」T. T. (理科)

 2月に日本を含むたくさんの国で問題となり、現在も混乱が続いている新型コロナウイルスについて皆さんはどう考えていますか?騒ぎすぎだと思いますか、それともそれほど深刻なことだから妥当だと思いますか?私は少し不安をあおりすぎではないかと考えています。
 日本国内だけで見ても、マスクが売り切れ、トイレットペーパーなどの日用品も売り切れ、医療機関等などでもマスクが手に入らない現状があります。その状況を利用し、高額でマスクを売りつけたり、スポーツジムなどでは置いてある除菌用アルコールを盗んで持って帰るなどの犯罪も発生してしまっています。本当に必要な時に必要な場所に物が提供できない現状や犯罪が起きてしまうくらいの混乱は、報道機関の情報やネットの書き込みによる情報が影響してると思います。
 現在は携帯やパソコンでいつでもどこでも調べたいことが調べられる世の中になりました。インスタグラムなどのSNS関連での情報もあり、数えきれないほどの情報が溢れています。この情報をそのまま鵜呑みにしていませんか?新型コロナウイルスの情報に限ったことではないですが、不用意にひとの不安をあおってくる人や嘘でひとを利用しようとしてくる人など、間違った情報や心無い人が残念ですが存在しています。そのような情報や人に引っかからないように、自分自身でしっかりと考え、いくつもの情報を寄せ集め、本当に信憑性のある内容なのかを見定めて行動することが必要だと思います。自分の間違った情報や言動で他人を傷つけたり振り回したりしているかもしれません。
 確かな情報をもとに冷静にものごとを考え確かな判断をしてください。

2020年2月27日 (木)

【第617回】 「憧れの矢となれ」辻元 友視 (英語)

 大学時代に出会った印象的な言葉がある。「憧れの矢となれ」正確ではないかもしれないのだが、確かこのような言葉だったと記憶している。私は大学時代に教職のゼミに入っていたのだが(正確には勝手に行っていた)、そこのゼミの先生に教えていただいた言葉だったと思う。元ネタはドイツの哲学者ニーチェの言葉「君は君の友のために、自分をどんなに美しく装っても装いすぎるということはないのだ。なぜなら、君は友にとって、超人を目ざして飛ぶ一本の矢、憧れの熱意であるべきだから。」この言葉の、「憧れの熱意」という響きが気に入っている。大学時代のゼミの先生曰く、人間は何かに憧れた時にものすごいエネルギーを発揮する。生徒の皆さんには何か憧れるものや人があろうか。それが皆さんの友人であってほしい。家族であってほしい。身近にいる人であってほしい。そして願わくば皆さん自身が憧れられる存在であってほしい。皆さんは皆さんの家族や友人にとってどんな存在であろうか。家族や友人の成長を妨げるのではなく、お互いに成長できる関係が理想的だ。そこで皆さんに送りたい言葉「憧れの矢となれ」熱意をもって何かをやってみる。イメージはエネルギーに満ち溢れて跳ぶ一本の矢である。遊学生の皆さん、小さなことでもいい、この高校生活で何かを成し遂げよう。熱意を持って突き進め。

2020年2月20日 (木)

【第616回】 「生命」T. M. (英語)

 昨年の11月に娘が産まれました。

 初めてエコーを見たときは白い点にしか見えず、これが自分の子供という実感はありませんでした。休みの日には検診に付き添い、経過を一緒に見に行くようになり、白い点はだんだん人間の形になっていきました。鼻は高い、足の骨が太いなど子供のことを聞くことが次第に楽しみになっていきました。産前1か月ごろには胎動も激しくなり、足で蹴っているのがわかるようになると、お腹の中に生命があることが現実になってきました。

 出産当日、帝王切開だったので手術の時間も決まっており、その時間に病院に向かいました。手術中のランプが点灯し、医師が何人か入っていきました。予定時間になっても中から何の反応もなく次第に不安になってきました。出産時に大量出血をすることもあると聞いていて不安なことばかりが頭の中を巡り、時間が本当に長かったです。「何か聞こえた、おめでとうって言っていない?」と義母が言いました。すると中から大きな産声が聞こえ、医師から中に入るように言われました。小さな台の上に小さな赤ちゃんが大声で泣いていました。初めて見る我が子はかわいいというより一生懸命に声をあげて泣いている様子が、力強く見えました。声をかけると必死に目を開けようとしていました。母子ともに健康でそのことが何よりもよかったです。

 産まれたばかりの赤ちゃんは3パターンに分類されるといわれています。ガッツ石松タイプ。朝青龍タイプ。笑福亭鶴瓶タイプ。娘は朝青龍タイプでした。皆さんは何タイプでしたか?我が子はまだ3か月程度しかたっていませんが、首がしっかりしてきたり、あうあう言うようになったりと日々成長が楽しみです。

 学校の保健の授業で習う生命、講話などで聴く生命の大切さはその場で言われていることは理解できるものの、現実味が今まではないものでした。しかし親になって、自分の子供が産まれて、初めてその大切さや尊さに気づくことができたように感じます。

2020年2月13日 (木)

【第615回】 「期待していないから」T. M. (数学、情報)

 教員になって2回目の全国高校駅伝。7人で襷をつないだ合計タイムで競うこの競技。選手は1年の365日中、この1日のために日々の練習に励む。その成果として、一昨年の2018年の全国大会では、2:07’43”のタイムで石川県高校記録を塗り替えることができ、昨年の2019年の全国大会は、2:06’11”で前回大会の石川県高校記録をさらに更新することができた。しかし、大きな大会で自分の力を発揮することは簡単ではない。トレーニングが不十分だった時の不安、周囲からの期待とプレッシャー。その中で自分を奮い立たせ、力を発揮しなければならないのだ。駅伝の場合はそれを7人全員ができなければ戦えないのだから本当に難しい。
 私はそこである言葉を選手に言うようになった。「大丈夫、期待していないから」。これを読まれている皆さんはこの言葉を言われた時、何を思うだろうか。本来これはネガティブな発言として認知されている。しかしこれを選手に言うと、表情が和らぎ、過度のプレッシャーから解放されて良い表情をする。なぜなら、選手はその裏に隠された真意を分かっているからだ。私が言った言葉の裏には、「少しでも過度の期待から解放して、思う存分楽しんできなさい」という想いがある。石川県の子どもは他県の子どもと比べて、大人しく真面目な性格が多い気がする。競技的な傾向もあるが、自分で自分にプレッシャーを与えることがよくある。その中で監督やコーチ、保護者からの期待は過度の期待になってしまうのだ。だから、生徒には「大丈夫、期待していないから」という言葉をかけている。もちろん人間は十人十色だ。その言葉が本人にどう影響するかを熟考する必要がある。しかし、ネガティブと捉えている言葉もその裏に隠された真意を知れば、捉え方は変わるのではないだろうか。表面的な部分だけを鵜吞みにするのではなく、客観的な視野を身につけることが現代の子どもには必要なのではないだろうか。そうすれば噂や第三者から不利益な情報を聞いたとき、冷静に対処することができるかもしれない。
 保護者や指導者にとって、子どもに期待をしたくなる場面は多々あるかもしれない。しかし、過度の期待は時にプレッシャーとなり、子どもを苦しめてしまうこともある。その時、肩の荷を下ろしてあげる言葉を伝えられれば、最大限のパフォーマンスを発揮できるのではないだろうか。「期待していないから」。少しでも良い結果を残せることを現代の子どもに期待している。