【第634回】 「ありがとう」干場 光将 (保健体育)
4月から遊学館高校に赴任してきた干場光将(ほしばこうすけ)と申します。
金沢市で3年間、小学校の教員をしておりましたが、この度ご縁があり、母校である遊学館高校に帰ってきました。
母校での教員生活に胸を弾ませていましたが、
4月は、緊急事態宣言が発令され休校。
5月は、緊急事態宣言延長で休校期間が延長 などで新年度のスタートが遅れました。
6月から授業が再開されると思った矢先、ある出来事が起こります。
それは、父の死です。
約7年前に「多発性骨髄腫」と診断され、医者から「余命2年」と言われていました。
当時、大学生だった私は「余命2年」と聞いて泣いたのを覚えています。
しかし、父の病気は悲しいことだけではありませんでした。
父の病気をきっかけに家族との時間が増え、1日1日を大切にしようと思えました。
それから父は、抗がん剤、輸血、ドナーなど、様々な手段の治療をし、入退院を繰り返しましたが、5月に再入院しました。
そこで医師から「今週が山場です」と伝えられます。医師の言葉に家族が出した答えは、
「最後は自宅で家族みんなに見届けさせてください」でした。
病院から自宅までの道中で息を引き取ってもおかしくない状況でしたが、
父は無事、自宅に戻ることができました。
病院では寝たきりで喋ることもやっとだった父が、久しぶりの自宅で家族がいることに気づいたのか、自分の力で起き上がり話かけてきました。
その姿に私は、父に最後まで父親であるべき姿を見せられました。
そんな父が私に言った最後の言葉は「ありがとう」でした。
6月が始まり、少しずつ新しい環境での教員生活に慣れてきました。
新しい環境でもすぐに溶け込めるのは、遊学館高校の先生方と元気に登校してくれる生徒がいてくれるからです。
そんなみんなに「ありがとう」という感謝の気持ちを持ちながら、これからの教員生活を過ごしていきたいと思います。