【第883回】「初心忘るべからず」I. I. (国語)
新入生の皆さん、入学おめでとう!
さて、表題の言葉は、室町時代の能楽の大成者である世阿弥の言葉だとされています。
「然れば、当流に、万能一徳の一句あり。
初心不可忘(しょしん わするべからず)
この句、三箇条の口伝あり。
是非初心不可忘(ぜひの しょしん わするべからず)。
時々初心不可忘(じじの しょしん わするべからず)。
老後初心不可忘(ろうごのしょしん わするべからず)。」 『花鏡』奥段より
「初心忘るべからず」は、「何事においても、始めた頃の謙虚で真剣な気持ちを持ち続けていかねばならない」という意味で使いますが、世阿弥が花鏡の中で説明している意味は、違っています。
世阿弥がいっている「初心」は「初心者」の初心のこと。つまり、まだ未熟な状態のことです。
「なにかを始めたときの下手だった記憶や、そのときに味わったくやしい気持ちや恥ずかしさ、そこから今にいたるまでのたくさんの努力を忘れてはダメですよ」という意味です。
さらに世阿弥は、過去の未熟な状態だけを思うのではなく、今の自分も「未熟」な状態であると自覚しなさいともいっています。
皆さんは遊学館高校に希望や目的を持って、入学してきたと思います。
皆さんの一人ひとりがそれぞれ持っている「初心」を忘れずに努力を続けていきましょう。
謙虚であること、そして素直であること。これらが大切です。
これからの3年間、遊学館高校での皆さんの活躍を心から祈っています。
もちろん先生たちも「初心忘るべからず」でみなさんを指導していきますからね。