2014年10月 9日 (木)

【第347回】 Time is...H. J. (英語)

今日が最後の日かもしれないと考えていれば、
いつか必ずその考えが正しかったと言える日が来る。
(Steve Jobs)

今年度が始まってもう半年が過ぎました。
今の学年で過ごす時間の半分がもう終わったんですね。

振り返ってみて、
『自分は完璧だ』と言い切れる人っているんでしょうか。

もしも完璧ではないのなら、
その理由は・・??

今さらですが、時間を大切にしたいと最近考えています。

昨年、大切な父が突然の病に倒れました。
母親から夜中に電話があり、
地元北海道まで飛行機で駆けつけましたが、
乗り継ぎ待ちの羽田空港で受けたのは
『間に合わなかった』という言葉でした。

呆然としたまま地元へ戻り、そのまま数日間家族と過ごしました。
時間のはかなさをこんな形で知るとは思ってもいませんでした。

そして金沢に戻る前に仏壇を整理したとき。
奥から書類ができてきました。

何かと思えば、自分の大学の合格通知。
父が息子の大学合格を誇りに思ってくれていたのだと思うと
涙が止まりませんでした。
決して誇れる学力ではないこのバカ息子のために
多大な苦労をかけたんだろうな、と。

予測のできない未来でした。
こんな日が こんなに早く、こんなに突然来るなんて・・
今でもそう思っています。

ただ、
高校生のみんなにも予測のできる最後の日があります。
少なくとも、卒業の日や今の学年が終わる日はすでにわかっています。
その時までにやるべきことをもう一度考えてみてください。

今学年、残りは5か月ほど。
5か月もあるんです。

たとえば1日3つの単語を覚えるだけで450の単語が覚えられます。
(理想を言えばこれを3年間続けると約3200の単語が覚えられます!)

逆に、
もしも仮に1日3時間を無駄にしてしまうと
5か月で450時間を無駄にするということですね・・
およそ20日分です。

ぜひもう一度、時間の大切さを考えてみてください。

クラス替えやコース変更等もあるわけで、
僕自身も、もしかしたら来年の4月には
いまの生徒たちとの接点がなくなる可能性もあります。

だからこそ
時間の大切さを再考し
そしてみんなに出会えたことに
改めて感謝したいと思います。

いずれやってくるであろう、その日のために。

前向きになれない こんな世の中であっても
きっと僕らなら うまくやっていける

愛なんてものが 素直にやってこないこんな時代を
僕らなら 受け入れることができる

人々がなかなかひとつにまとまらない
そして心の声が届かない そんな世界かもしれない

でも こんな世界だけど
とにかく僕は 君に出会えたんだ

“In A World like This” (Backstreet Boys, 2013) 

261009_2

写真は今年のクラス、2年8組(理系クラス)です。
いろんなことがあるこの世の中で、
このメンバーはここに集まりました。
嫌なこともあるだろうし、うれしいこともあるでしょう。
あと5か月。
いっしょにがんばろう。

2014年10月 2日 (木)

【第346回】 留学生との時間のなかで西村 美恵子 (英語)

毎年ではないけれど、遊学館高校に米国やカナダからの交換留学生が約1年間通学する。お互いの都合(時間割)が合えば、私も彼(または彼女)の日本語の勉強のお手伝いをしている。日本語の勉強よりも、話し相手とか相談相手になる時間の方が長い場合もあるのだけれど。私にとっては、日本語を一つの言語として見直す興味深く、楽しい機会でもあるし、また自分の日本語力と英語力の拙さに打ちのめされたりもして、とても刺激的な時間になる。そして何よりも一人の人間と出会う素敵な時間なのだ。

 何年も前になるが、ある男子留学生が日本での生活をとてもよく心得ている気がして、不思議に思って尋ねたことがあった。彼曰く、「漫画で読んでいたから。」そしてたくさんの日本の漫画のタイトルを並べたてたのだけれど、残念ながら私の知っているものはなかった。彼に限らず、そのあとの留学生たちもみな日本に来るずっと前から日本の漫画を読んでいたとのこと。そういえば、ドラえもんやアンパンマンなどが世界中のテレビで子供たちが見ていると言われていたっけ。確かにのび太の家は平均的日本家屋だし、あんパンやカレーパン、天丼やカツ丼という言葉や形を見て育った子供たちは日本にやって来ても珍しいものは何もないのかもしれない。今や日本と言えば、TOYOTAやSONYばかりでなく、NINTENDOや漫画・アニメーションなのだ。ゲイシャ、フジヤマ、ハラキリが日本のイメージだったなんて知っている私が古すぎるのですね。漫画の彼はとても頭の良い生徒で、私にsmiles(s~sまで1マイルだから)ではない一番長い英単語を教えてくれた。映画メリーポピンズにでてくる呪いの言葉でSupercalifraglisticexpialidocious。彼はこの単語をスラスラと書いてくれた。降参!

 カナダからのある女子留学生は、泉野図書館の英語のペーパーバックを全部読み切りたいと言うほどのbookworm(本の虫:読書家)で小説の話でよく盛り上がったものだが、大学ではフランス語を専攻して教師になりたいと話していた。ただカナダも大学卒業後の就職は簡単ではないらしく、イギリスで就職するかもと言っていた。自分の将来をしっかり見定めている、とてもしっかりした考えをもっていた。それとよく弟の話をしてくれた。字が汚くて、単語のスペルを覚えないとお姉さんらしく心配していた。やはりカナダでも小学生は日本の漢字ドリルのように単語の練習をさせられているのだ。彼女の話の中で一番驚かされたのは、なんと彼女の母方の先祖は、海賊からイギリス海将になりSirの称号をエリザベス1世から与えられたドレイクだったことかも。(高校の世界史の教科書には必ず載っている有名人!)

 コロンビア出身で、母語はスペイン語、幼くして米国に移住して英語はもちろん堪能な女子留学生は日本語の勉強も熱心で、要領よく学習するタイプ。日本語の上達が速い生徒だった。周囲の生徒たちと仲良くなるにつれ、会話は特にメキメキ上手になり、外国語の上達には同年代の友達との付き合いが一番という典型的な例だと痛感した。彼女はバスケットボール部の部活動にも参加していたし、修学旅行や運動会等々の行事を楽しんでいた。仲間がいて初めて楽しめるものだから。私の方は、彼女の日本語クラスのテスト勉強のために、冷や汗流して漢字の書き順を示したり(電子辞書には書き順も載っています)、動詞の活用の練習を手伝ったりしたのだが、「切る」と「着る」はなぜ活用形が違うのかと質問され、絶句!(質問されるまでそのことに気付きもしなったなんて!)また彼女の質問に対して”金沢弁“だからと説明しているうち、彼女は日本語のテキストの問題を解きながら、答えは○○だけど金沢弁だと△△なんて言えるくらい金沢弁の達人になった。そんな彼女がある時「自分はこれまでコロンビア人でスペイン語を話すことに何の不思議もなかったのに、スペインと言う名の行ったこともない知らない国の言葉なのだと思ったら妙な気がした。」とポツリと話したことがあった。どうにも返事のしようがなく切ない!もうひとつ、日本からのお土産には是非ともニンジャブーツを買って帰りたいからどこに売っているかと尋ねられたことがあった。米国の彼女の周りは今ニンジャブームだとは聞いていたので驚きはしなかったけれど、忍者は何をはいていたのだろう???

2014年9月25日 (木)

【第345回】 「原点」中村 ゆかり (国語)

 9月3週目の連休に、第16回北信越高校生文芸道場に参加した。運動部と違って、競って順位がつくというものではないが、北信越地区における文芸の新人大会に当たる。二日間にわたって開催され、北信越地区(福井、富山、長野、新潟)から多くの文芸部に所属する高校生たちが一堂に会した。本校の文芸部員は人数が少なく、日頃の活動もかなり制限された形で行っているため、1年生にとっては初めての大きな大会となる。参加するためには必ず文芸作品を出品することが条件で、今回、参加するまでの準備を含めて生徒たちが得たところはとても大きかったと感じさせられた。

 大会初日は文学散歩からスタートし、近代文学館と21世紀美術館を訪問した。文学館では三文豪を始め、県にゆかりのある作家たちの生い立ちや作品集などが展示されており、改めて認識する内容も多々あった。またその後の交流会では、公立高校の実行委員である生徒たちが様々な工夫をし、二日目の研修に向けて、より一層充実した活動となるように親睦を図るプログラムを用意してくれた。毎年、開催県の実行委員となる高校生たちの企画で文学的要素を絡め、趣向を凝らしたグループエンカウンターが行われる。その活動を通して、参加者同士の距離が少しずつ近づいていく。二日目は各部門に分かれて、事前に提出した作品を評価したり、当日、課題を与えられて創作をするという活動を行った。本校の1年生二人は、日頃教室でも発言が少なく目立たない存在で、上手く活動に参加できるか不安はあったが、自分の考えを自分の言葉で第三者に伝えることが出来ていた。俳句部門に参加した生徒は、部門に参加する人数が少なかったこと、指導講師の先生が適切なアドバイスをしてくださったことが相乗効果を生み、活発に意見交換が出来ていた。何より、二人の1年生の知的好奇心に満ちた生き生きとした表情が印象的であった。本当に「いい顔」をしていた。

 同じ週の遊学講座、巡回先のクッキングスクールでの校長先生のお話に、御自宅で60年育てていらっしゃるマスカットのことを伺った。農家のように、こまめに手入れをしていないが毎年必ず実をつけるそうである。昨今は果物に限らず、甘みの強い食材が店頭を賑わわしている。どうやら物によっては甘さを引き立たせる肥料を与えてあるらしい。そんな中で、当たり外れはあるが「自然の味、おいしさ」を味わって欲しいとのお考えから、受講している生徒たちに「おすそわけ」をしてくださった。これから「食」は作ることも食べることも「原点」に戻っていくという言葉とともに。

260925_3

 文芸道場での生徒たちの自然な表情・笑顔を見たとき、創作も自分自身を掘り下げていく、原点に向かっていく活動だと再認識した。その活動を通して一回りも二回りも「おいしい」人に成長して欲しいと思う。

2014年9月18日 (木)

【第344回】 身近な歴史を求めてN. M. (地歴・公民)

 金沢の街を歩くと、様々な「文字」が目に入ってきます。お店の看板、飲食店のメニュー、イベントの告知・・・実に多くの文字情報があり、道行く人々の興味を誘っているように感じます。そんな文字情報の中で私の興味を引くのが「地名」です。

 私は今年4月の本校着任にともない、金沢に住むようになりました。その前は奈良県で過ごしていました。歴史学(古代史・考古学)を専攻していた私にとって地名は現在に古の歴史を伝える身近な文化財です。  奈良や京都は古代に都が置かれ歴史の舞台となっており、奈良市大安寺町や京都市上京区晴明町といった古代の寺院(大安寺)や人物(安倍晴明)に関わる地名が現在でも残っています。宅地やビルのある場所であっても、地名を見ることでその場所がかつてどのような人々の営みがあったのかを垣間見ることができます。そのため、私は時間があるとき街を歩いて(時には自転車で)回り、地名探訪を行っています。

 金沢は江戸時代の「加賀百万石」と言われた前田氏の城下町というだけあって、実に多くの武家や町人に関わる地名が残っています。金沢城公園の北には大手町があり、この場所が金沢城の正面であったことが分かります。少し東に目をやると、材木町がありすぐ横を浅野川が流れていることから、日本海を経由したり、金沢郊外で切り出されたりした材木がこの場所に集められるか、加工場があったのではないかと推測することができます。金沢は幸いなことに、地名の由来が記された石碑が建立されており、その場所がかつてどのような人々の営みがあったのか知ることができます。

 本校の位置する金沢市本多町もその由来を探ると、江戸時代初期に加賀藩に仕えていた家老本多氏の屋敷があったことに由来しています。屋敷自体は北陸放送社屋周辺にあったようですが、屋敷周辺には本多氏を支える家臣の住居や武道を磨くための施設があったかもしれません。遊学館の地下にも江戸時代に遡る遺構(建物跡)や遺物(土器や生活用具)が眠っているかもしれません。

 歴史は博物館や遺跡で展示物を見たり、本で知識を得たりするだけではなく、日常の中の目に付くところにもあります。その最たるものが地名です。
 遊学館の生徒は毎日の登下校で金沢の街を行き交っています。通学路で通る地名や住んでいる地域の地名に目を向けて、「この地名の由来ってなんだろう?」と興味を持つ機会は生徒全員にあると思います。一度、自分の住んでいる地名の由来を調べて、地名の背後にある昔の人の生活を垣間見てはいかがでしょうか。

260918

本多町の由来を示す石碑(北陸放送前)

2014年9月11日 (木)

【第343回】 『日本』N. H. (保健体育)

今年も暑い夏がやってきましたが、例年とは少し様子が違った夏だったように感じます。また、毎年実施される各地における各種のイベントなど日本は、(なんと平和な国なんだ)と感謝せざるをえません。世界では、さまざまな不幸が起こっていますが、日本は世界とは何か違うような気がします。平和な毎日が当たり前になり、身勝手な言動や不平不満ばかりで、ストレスが蓄積し、自分を見失うような状況に追い込まれてしまい、残念な結果を招いてしまうことが、多くなってきているように感じます。自分のことは大切ですが、周囲に目を向け、冷静になり、他人のために自分が今何ができるかを考えることも重要ではないでしょうか。

 まだまだ未熟者ですが、平和で幸せな環境にある自分を見つめ直し、客観的な立場から物事が正しく判断できるようになっていきたいものです。