2014年8月21日 (木)

【第341回】 シンボルツリーを見あげて・・・鳥畠 正明 (理科)

 初めて本校を訪れたとき、中庭(丁度校舎の中心辺り)に大きな木が聳えているのが目に入った。見た瞬間に榎(エノキ)だと思った。そう樹名に詳しい訳ではないのだが、偶然、前々任校の校木が榎でその姿は見慣れていた。
 ただこれ程までに大きい榎は初めてだった。葉っぱを落とした枝を一杯に広げて悠然とたたずんでいる。即座に、シンボルツリーと言う言葉が頭に浮かんだ。
 言葉だけなら、当然ずっと以前から知っていた。けれども、実際にそれにぴたりと符合する風景を見た事はなかった。
 それが目前に現出していた。
 年若い生徒諸君には、ただ、中庭にある大きな木か・・・ぐらいにしか思えないかもしれない。けれども、ちょっと考えて見て欲しい。この木はいつからここにいるのだろう。
 最初から大木であったはずはない。植えられたときには、せいぜい、人の背丈くらい。ひょっとしたら、もっと小さかったかも知れない。それから何十年、おそらくは、百年近い年月を経てこの大きな木に育った。そして、初めてこの地に根を広げ始めたとき、そこにすでに本校はあったのだ。
 そして、本校と共に育ってきた。ずっと生徒を見守り続けてきた。あなたの祖母を、母を、ひょっとしたら曾祖母を見ていたかも知れない。

 木が育つのは、まことに人の育つのと似ている。一月や一年程度では、しっかりとその成長を見ることは難しい。けれども、生きている限り、少しずつ少しずつ天に向かって伸びている。そして、いつの間にか、仰ぎ見るばかりの大木となる。
 人も同様に、少しずつ少しずつ成長する。一ヶ月やそこらでは、成長は目に見えない。だけれども、確実に成長し続けている。
 ましてや、年若い頃は一番伸び率が大きい。だからこそ、しっかりと自分に栄養分を与え、大きく育たさねばいけないときだろう。他の木と比べる必要はない。昨日の、いや一年前の自分からどれだけ伸びたかが、勝負だ。少し長いスパンで物事を考え、自分を放り出さずにコツコツと学び続ける。それを大切にしていって欲しい。

 決して広くはない校地だが、本校には随分と多くの木々(それも年を経た)がある。緑を大切にしてきた先人の想いに崇敬の念を禁じ得ない。

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2014年8月14日 (木)

【第340回】 夏の修行!永平寺に行きました。寺山 いずみ (養護)

7月末に、永平寺に行って来ました。一泊二日の参籠(さんろう)です。永平寺に宿泊し、禅寺の修行生活に触れることにより、各々の信仰を深めることを目的としたものです。姉に誘われて、甥っ子と三人で行きました。
 永平寺は今から約770年前に、道元禅師によって開かれた座禅修行の道場です。厳しそうなイメージがあり、はじめは緊張しましたが、終わってみれば、何とも、すがすがしい体験でした。
 一日目16時までに上山(到着)し、説明を聴き、入浴。17時30分に薬石(夕食)。参籠研修では、食事は大切な修行で、偈文を唱え、食事に感謝しわが身の行いを反省していただきます。おいしい精進料理です。しかし、私語は厳禁!必ず器を持って食べるなど、高級レストランでも、こんなに緊張はしないでしょう、と思いました。この食事で、私が一番印象に残ったのが、「私はこの食事をいただくに値する人間か?」という教えでした。ご飯を食べる時に、考えたこともないことでした。皆さんはどうですか?
 18時50分から座禅・法話・映画です。初めての座禅です。20分ほどですが、自分の煩悩の多さにあきれながら、鈴虫の鳴き声に聞き入りました。法話は、良いお話でした。なるほどと思った教えは「霧の中を歩けば、覚えざるまに、衣しみる。良き人にちかづけば、覚えざるまに、良き人になりけり」意味はそのままなのですが、霧の中を歩いていれば、知らず知らずに着ているものが湿る。それと同じに、良い人の側にいれば、知らず知らずに良い人になっている。と言うことです。良き人を良き環境と置き換えることも出来ます。家庭・学校・職場、私は良い環境に居るだろうか?また、良き人となっているだろうか?答えは、見つかりません。21時開枕(消灯)早いけど、床につきました。
 二日目4時30分起床(この日は、休日?で、一時間遅い起床でした)5時朝課。法堂で朝の読経が始まり、見学をします。修行僧の一糸乱れぬ動きと読経は圧巻です。その後、諸堂の案内。歴史のある建物は、見応えがあり、案内するお坊さんは、さわやかなイケ面でした。7時小食(朝食)やはり、修行でした。その後下山(出発)。
 いろいろ、思うことのあった永平寺でしたが、毎日の暑さを理由に怠惰に過ごしてしまう私です。良き人を探して、良い夏休みにしたいと思います。暑い日が続きますが、みなさんも、元気に良き人になって下さい。

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2014年8月 7日 (木)

【第339回】 資格を取るぞ!Te. Y. (英語)

「『資格』と聞いて、思い浮かぶものは?」
英語検定、漢字検定、簿記検定、
ほかにも、保育士、医療事務、調理師、理容師、看護師など。

「資格って、持ってなきゃいけないの?」
保育士になりたいなら保育士の資格が、経理の仕事をしたいなら簿記の資格が必要です。
仕事に直結しなくても、英検2級と履歴書に書いてあれば、就職の際有利な場合もあります。
将来、履歴書の資格の欄に、何も書くことがないのは寂しいですよね。

私はこの夏、「学校図書館司書教諭」の資格取得を目指し、勉強しています。
7月に放送大学から教材が届きました。
300ページほどの厚い教科書が5冊も!
そして、7月22日にはテレビやラジオ授業がスタート。

ところが、3日目には遅れが出始めました。
仕事や家事、育児にプラスして、毎日5時間の勉強は正直きついです。
それが15日間も続くなんて、恐ろしい。
でも、頑張るぞ!

「お母さん、夕飯いつ作るん?」と、息子に急かされ、
「テレビの授業つまらんし、アニメ見せてや!」と、娘に文句を言われ、
「受講料6万円の元は取れるんやろうな。」
と、主人に責められながらも、まもなく締め切りのレポート作成に追われています。

教える立場から教わる立場になり、気づいたこともあります。
先生がただテキストを読んでいくだけの授業もあれば、
優れた学校図書館の取り組みをビデオで特集した、わかりやすい授業もあります。
「こんな授業は退屈だな。」とか「こういう活動はメリハリがあっていいな。」と、
自分の授業を見つめなおす良い機会になりました。

遊学館高校にも、資格取得を目指して頑張っている生徒たちがいます。
英語検定に挑戦するも、「合格まで、あと1点足りませんでした~!」と、悔しさを報告に来る2年生や、
「絶対、柔道整復師の資格をとります!」と、将来スポーツトレーナーを目指している3年生もいます。

皆さんも、自分磨きのひとつだと思って、将来の自分への投資として
この夏何かに取り組んでみませんか?

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2014年7月31日 (木)

【第338回】 引退試合土谷 悠成 (地歴・公民)

 一ヶ月ほど前の話になりますが、6月24日火曜日、県立野球場において遊学館高校野球部の3年生部員のなかで、残念ながら、メンバーに入れなかった選手たちの引退試合がありました。相手は金沢学院東高等学校。相手の選手たちも、メンバーに入れなかった選手たちです。

 日が落ちかけてきた、午後5時50分ごろにプレイボール。スタンドには、多くの在校生、教員やOB、OG、そして保護者の方々が観戦にきておりました。
 毎年恒例となっている引退試合が、練習試合や公式戦とただ一つ違うことは、各選手がバッターボックスに立つと、電光掲示板に、それぞれの選手のコメントが表示されることです。

「お父さん、お母さん、ありがとう。僕の野球人生最後の試合です」
「お父さん、お母さん、18年間支えてくれてありがとう」

 両校ともに、多くの選手たちが親への感謝の心を伝えていました。スタンドには涙を流してらっしゃる方がいらっしゃいました。おそらく、グランドに立っている選手のお母さんだと思います。

 年頃の男子生徒が面と向かって、親に感謝の気持ちを伝えるのは照れ臭いことだと思います。私自身がそうでした。
 勝っても負けてもこれが最後の試合。その試合を通して、親に感謝の気持ちを伝える。何と素晴らしい試合でしょうか。

 試合終了後、両校の選手、生徒たちが、ゆずの『栄光の架け橋』を歌っていました。恥ずかしながら、涙がでてきました・・・。

 引退試合に出場した選手は、メンバーのサポートにまわり、共に全国の頂点を目指していくそうです。

 私はこのコラムを7月18日に書いております。そしてホームページに掲載されるのは、7月28日の予定です。試合日程が順調に進めば、27日に甲子園への切符を手にする高校が決まっています。

 今年はどのような結果になっているのでしょうか。遊学館高校が優勝、そして、全国の頂点に立つことを信じております。

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2014年7月25日 (金)

【第337回】 変化万歳辻元 友視 (英語)

 私は、遊学館に来る前は中学校で勤務していました。なので、遊学館に来て中学校での教え子と再会するということがあります。久しぶりに会う教え子は、中学校のころから比べるとやはり大人になったなあと思う部分が多く見られ、嬉しい限りでした。その中でも、ある男子生徒T君について書きます。

 私は、Tくんが中学2年生のときに英語を教えたことがあり、そのあと彼が遊学館に入学してきて再会ということになりました。彼は部活動で秀でたものがあり、中学校でもリーダーシップを発揮してがんばっていました。高校生活も部活動中心になるのかなと思っていました。入学当初は、中学生のときと変わらない彼でしたが、ある時期を境に別人のように勉強し始めました。そんな彼のがんばりに比例して成績もどんどん上がっていき、今も目標に向かってがんばっています。失礼ながら、中学生のときを知っている私から見ると考えられない姿でした。

何が彼を変えたのか。

 彼の話を聞いていると、彼を変えたのは「俺もやればできる」という自信でした。苦手だと思っていたものが、がんばってみると結果につながったことが彼の自信になったのだと思います。私が彼に何か働きかけたわけではないですが、彼のがんばりや成長は自分のことのようにうれしいです。

 普段の学校生活の中には自分を変える「ちいさなきっかけ」がたくさんあると思います。そのきっかけをつかむにはそのきっかけに目を向けること。何事にも無関心では、自分を変えられません。小さなことからがんばってみましょう。変化万歳。いい意味で、今までの自分を裏切ろう。Tくんを含め変わろうとがんばっているみなさん、応援しています。

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