2016年6月16日 (木)

【第430回】 人生の選択肢Y. T. (国語)

 「人生は選択の連続である」シェイクスピアが残した格言である。これにあやかって23歳の若造が、人生を語るに値しないかもしれない。だが、たった23年の人生でも多くの選択肢に悩まされてきたような気がする。
 遊学館に来てから早二年。生徒たちの姿を見て、私が当時高校時代に味わった究極の選択を思い出した。

 高校二年の夏。進路に向けて考え始めた時だった。当時の私は美術を専攻していて、将来もこの方面で仕事がしたいと考えていた。そのために、美術系の専門資格の取得や素描や絵画などの技術を磨くことに力を入れていた。
 研鑽していた矢先に、暗雲が立ち込める事態が発生する。来年度の時間割を決める際に進路の先生から「どうしても国公立に行きたいのなら美術は諦めなさい。」という衝撃の一言が放たれる。その理由は学校のカリキュラム上の問題から生じたもので仕方がないことと分かった。それでも、私は冷静だった。国公立は行けなくとも私立の美術系大学なら進学できるかもしれないと望みを繋ごうとしていた。しかし、現実はそう甘くなかった。両親に説得した際に猛反発を受けた。美術で生計を立てられる人は少なく、一人前になるまでに何年もかかる。そういう生活より、安定した生活が出来る仕事に就きなさい。その両親の言葉に納得してしまっている自分がいた。さらに、当時の家計は火の車で県外の私立大学に進学することは経済的に厳しいと察していた。だから余計に、どうしても美術の道に進みたいという思いを伝えられなかった自分を叱責した。そして、現実と向き合い苦渋の決断で美術の道から外れた人生を歩むことを決めた。

 選択は大いに人を悩ませる。私は悩まされたうちの一人であるからこそ気付いたことがある。それは、もう一方の道の先に、素晴らしいものが待っていたことだ。

 私はこの道で良かったと思えることがある。それは、遊学生との出会いである。教員になった今でも、自分はこの仕事に向いていないのだろうかと悩み、落ち込む時がある。そんな時は、昨年度の卒業生がくれた手紙や寄せ書きを見るようにしている。そこには、私が生徒と共に歩んできた一年間の証が刻まれている。激励の言葉や感謝の言葉が並べられ、その奥に成長した生徒に感動した出来事が鮮明に蘇る。この時に、生徒たちの力になれるように必死に頑張ってきてよかったと心の底から思える。

 この感動は、美術の道では味わえなかったかもしれないと思うと、この道もなかなか味わい深い。むしろ、この道が好きだ。だから、私は今日もこの道を行く。

2016年6月 9日 (木)

【第429回】 『道具を整える』Y. I. (家庭)

家庭基礎の授業で2年生がエプロン制作を行っています。
裁縫が得意な生徒は、楽しそうにチクチクと針を動かし、裁縫が苦手な生徒は、エプロン完成後に予定している調理実習を励みに一針一針がんばっています。

裁縫箱は、学校で用意したものを班ごとに共同で使用しています。
授業終了前に、針・待ち針・はさみ・糸などの数を点検し、最後に担当教員のチェックを受けます。
もし、針の本数が足りない…などの場合は、見つかるまで休み時間返上でさがすことになっています。
最初は、針が1本足りない!待ち針が1本多い!などの班もありましたが、最近は休み時間に針をさがさなければならない班もなく、裁縫箱を丁寧に扱えるようになりました。

たかが針1本、たかが裁縫箱ですが、授業中に生徒たちの「心が整っている」かどうかを見るポイントにもなります。
裁縫箱の中に道具がきちんと整理して入っている班は、授業中も落ち着き、集中して制作しています。

「心を整える」ためにも「道具を整える」ことを見直してみませんか!

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2016年6月 3日 (金)

【第428回】 遊学講座谷内田 京子 (国語)

 私が遊学講座で「硬筆書写検定」を担当するようになり、3年目。年に3回行なわれる検定に向け、毎回、字を丁寧に書く練習と、部首や筆順など理論の勉強に取り組んでいる。
 最初の頃は、くせ字だったり、バランス良く書けなかった生徒が徐々に上手く書けるようになっていく。
 講座中、おしゃべりをする生徒はいない。毎回集中して取り組んでいるので、合格率も全国平均より高く、今年度は3級全員合格!!を目標に指導していきたい。
 「硬筆書写検定」を担当するまでは、「クッキング」「ヨガ」の巡回に行っていた。それぞれ外部講師の方が指導をしてくださっている。「クッキング」では、調理器具の使い方、味付けの基本、調理のコツなど、長年料理をしている私も、毎回「なるほど!」と思うことがあった。「ヨガ」では受講生と一緒に、基本のポーズや呼吸法を学んだ。私も毎週受講したい!と思うほど、リラックスした時間を過ごすことができた。
 遊学生のみなさん、本校の特色のひとつである遊学講座。楽しく、有意義に受講しましょう♪

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2016年5月26日 (木)

【第427回】 新M. M. (英語)

年度が始まり、はや2ヶ月が過ぎようとしている。
入生にとっては、しい環境での学校生活や、起床時刻、通学方法、帰宅時間など生活面でも様々な変化があるが、もう慣れてきただろうか。
1年生を見ていると、お互いに出身中学を尋ね合ったり、いっしょにお弁当を食べたりと、クラスや部活動のしい仲間たちとずいぶん打ち解けている様子だ。
また1年生と接していると、小・中学校やご家庭での良い習慣が身についていると感心することがいくつも見られる。
授業中に配付物を渡すと必ず「ありがとうございます」と軽く頭を下げて受け取る、集めたノートを返却しようとすると「手伝います!」と2,3人がすすんで出てくる、授業が終わると「ノートのとり方はこれでいいですか?」と確認にくる、休み時間に当番生徒が黒板を消しているとその友だちが反対側から黒板消しを手伝う...すてきな光景だ。
1年生には、これまでの良い生活習慣・学習習慣を保ちつつ、この高校3年間で先生や先輩、仲間、家族から多くを学び、さらにしい習慣を身につけてほしい。
ところで、現在1学期中間考査の真っ最中である。
1年生からは、初めての試験に緊張しつつも、目標点数を決めたり、学習方法を尋ねてきたりと意気込みが感じられた。
私は採点用のしい赤ペンを準備し、期待しながらみんなの答案を待っているところだ。
がんばれ遊学1年生!

2016年5月19日 (木)

【第426回】 教育実習M. Y. (保健体育)

 6月6日(月)から2~4週間にわたって本校でも教育実習が6名の学生によって行われる。教育実習とは、教員になるための免許状を取得するために必要な実習のことである。私自身も20数年前、母校で教育実習を受けて教員に対する思いをより強めることとなった。

 今回の実習に私が顧問をしている男子駅伝競走部の卒業生が来ることになった。彼は、金沢市の出身で中学校時代は決して県のトップクラスの選手ではなかった。1年生の頃は練習も十分にこなせなかったし、寝坊で朝練習に遅刻してくることも多かった。しかし、誰よりも自分が強くなりたいという気持ちを持っていた生徒であった。その後、力をつけエースとして、また主将としてチームを引っ張り、全国高校駅伝にも出場させてくれた。
さらに大学に進学し、1年生で箱根駅伝の山下り6区を走り、チームに貢献してくれた。箱根駅伝を1年生で走るということは非常に難しく、これは来年、再来年と走ってくれるという期待を抱かせてくれた。しかし、この2年間は怪我で走る事ができずに苦しい思いをする結果となった。それでもどんなに苦しくても諦めることなく厳しいリハビリを耐えてきた。この走れなかった2年間は彼を成長させてくれたに違いない。

 そんな彼が教育実習に来るのは本当に楽しみである。先日の打ち合わせの際も職員室で多くの先生方に声をかけてもらっていた。実習中は大学で学んだことを本校の生徒、そして駅伝競走部の後輩たちにもぜひ伝えてもらいたいと思っている。

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