【第822回】「見上げてごらん夜の星を」牛腸 尋史 (英語)
小学生か中学生のころだと思います。授業で音の伝達速度を表す「音速」と光の伝達速度を表す「光速」について勉強しました。みんなが良く知っている北斗七星の中で、地球に一番近い星でも80光年ほど離れているそうです。そんな話を聞いているうちに、妙なことを空想するようになりました。「今見えている光は80年かけて地球に届いているなら、あの星はもう存在していないのかも。もし自分が光の速さで移動すれば、見える景色は時間が止まって見えるの?じゃあ、光よりも早く進むことができたら、光を追い越して過去を見ることができるの?」とか。そんなことを妄想するようになってからしばらくは、夜空を眺めることがマーブームになっていました。そうなっても「せっかくだから星座や宇宙についてもっと詳しく調べてみよう」となったわけではないし、残念ながら物理が得意科目になることもありませんでした。それでも、宇宙に対する関心や憧れとかは40年以上も心の隅っこに引っかかっています。
私が高校まで過ごした輪島の実家は、自転車で20分ほど走ると明かりの少ない海辺まで行くことができました。町はずれまで行けば、条件次第で天の川も見ることができました。本当に牛乳をこぼしたような光の筋が見えると、「ぅわぁー!」と声が漏れるくらい感動したのを憶えています。少し時間がかかるかもしれませんが、昔のように故郷でゆっくり夜空を眺めたいです。