2022年8月11日 (木)

【第742回】「負けて知る。」N. A. (保健体育)

 私は8年前にお隣の県立工業を卒業した。

バレー部に所属し高校3年間で春高バレーを3回、インターハイを3回、国体を2回経験してきた。3年生の頃、目標を全国ベスト4と掲げ練習に取り組んでいた。本気で練習をしない仲間と何度も喧嘩をしたり、練習がきつくて吐いたこともあった。夏休みのオフは8月31日の1度だけ。冬休みのオフは1月1日の1度だけ。楽しい事だけではなく、苦しい事も多かったが、それほどにバレーに熱中し全力で取り組んできた。

しかし、最高順位は国体の5位と目標のベスト4にはわずかに届かなかった。頑張ってきた自分たちよりも更に頑張っている相手がいて、常に全国制覇を目指して練習している相手がベスト4には残っていた。

私は今になり正直、負けてよかったと思う。そこで考え方が大きく変わった。
しんどい時には、「もっとしんどい人は沢山いるんだ。」
頑張っている時には、「もっと頑張っている人は沢山いるんだ。」
そんな風に周りを見るようになれたからだ。
これは他人と比較するのとは別だ。
誰かを、うらやましく思い、自分を卑下するのとは違う。

自分が思うよりも全力は先にある。
負けたことで、それを知ることができた。
勝っていたら自分の全力は、高校生の頃で終わっていただろう。

人生はまだまだ長い全力で人生を生きていきたい。

2022年8月 4日 (木)

【第741回】「還暦を迎えて」K. Y. (国語)

 干支で言うと寅年の今年、私も晴れて還暦を迎えることになります。中原中也の詩「頑是ない歌」の一節に「思えば遠くに来たもんだ」とありますが、高校生の十代半ばで、このフレーズを耳にした折、なにか『はるかなる人生の厚み』というものを感じ取っていました。ここで第一連から第四連まで抜粋してみると、

 (頑是ない歌)
 思えば遠くに来たもんだ
 十二の冬のあの夕べ
 港の空に鳴り響いた
 汽笛の湯気は今いづこ

 雲の間に月はいて
 それな汽笛を耳にすると
 竦然として身をすくめ
 月はその時空にいた

 それから何年経ったことか
 汽笛の湯気を茫然と
 眼で追いかなしくなっていた
 あの頃の俺はいまいづこ

 今では女房子供持ち
 思えば遠くに来たもんだ
 此の先まだまだ何時までか
 生きてゆくのであろうけど

 となり、このあと第9連まで続きます。
 私は地方の港町で生まれ育ちました。十二歳・寅年の冬はまさに、汽笛の音に竦然として雪降る街を彷徨し、母の愛に守られていた、そういう時代でした。おとなになれるなんで思いもしなかった。けれど、たまに響いてくる汽笛の音は、遠くの街、遠くの未来へつながっている、そういう期待もありました。
 二十四歳・寅年の冬、都会の片隅で彷徨していました。竦然と雑踏の中でもがいており、希望の道に進むには能力も乏しく、さりとて鍛錬することもなく、電車の音に身を任せていた、そんな時代でした。ただ、思いがけない旱天慈雨の出会いもありました。加藤晃現学園長との出会いです。このことが現在の私につながってきます。

 あれから36年、還暦、人生6度目の寅年がめぐってきました。彷徨しているのは相変わらずですが、それほど人の道を踏み外すことなく歩んで来られたのは、ひとえに金城学園のおかげだと思っております。
 おかげさまで、生徒に教えられ育てられ、それなりに成長をしながら、有意義な人生を送ることができたと実感しています。一期一会の人生、かかわってくれたクラスや部活動の卒業生並びに在校生には感謝感謝感謝です。

 思えば遠くに来たもんだ さあれど
 遊学館の隆盛が励みの 一つの生きる指針はできました。
 とくにたくさんの思い出を作ってくれた 硬式野球部 応援しています。頑張れー!!!

2022年7月28日 (木)

【第740回】「高校時代の夏の思い出」K. K.  (理科)

 7月ももうじき終わり、生徒の皆さんにとっては待ちに待った夏休みになりますね。皆さんの様子を見て、自分の高校時代の夏を振り返ってみました。
 まず、7月の頭、4日間で文化祭がありました。前夜祭、1日目、2日目、後夜祭の4日間で、そのための準備が6月末からもしくはそれよりもっと前から行われていました。文化祭ではダンスコンテスト、吹奏楽・室内楽・現代音楽部による演奏会、ミニ運動会、各部活の実演や発表(英語部や演劇部など)、花火の打ち上げなど多種多様なイベントが行われていました。そんな文化祭は準備から当日、後片付けですらすごく良い思い出です。文化祭ではいろいろなドラマがあったり…、良いこともあまりよくないことも(笑)、どこを切り取ってもそれぞれが青春の1ページとなっています。イベントや時期は異なりますが、また秋の文化祭では今の生徒の皆さんにもよき青春の1ページとなる、そんな文化祭になったらいいなと心から思います。はめを外しすぎず、楽しんでください!
 思い出は文化祭だけではありません。夏は毎日のように部活をしていました。自分は剣道部だったので、毎日のように剣道場で稽古を行い、時には合宿をし、時には合同練習、練習試合がありと、休む日もなくひたすら剣道をしていました。剣道というのは合計4~5 kgほどの防具を身にまとい、激しい運動を行います。夏の稽古はただでさえ暑いのに、そこに顔をぎゅっと覆う面をかぶるので非常に辛かったです。ですが、地稽古と呼ばれる、試合を模した稽古で相手から1本が取れると嬉しかったり、命を削って真剣勝負を行えるという点においては素晴らしいスポーツであると感じています。また、稽古終わりに仲間と遊びに行ったりなど、そういった面も今思い出すと感慨深いです。

 夏はまだまだ続きます。バテている暇はありません。毎日、毎時間、毎秒を大切にして、有意義な時間の使い方をしましょう。今しかできないことを社会や学校のルールの範囲で行い、良い思い出を作れたらいいなと思います。

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2022年7月21日 (木)

【第739回】「自分だけのStory」K. M. (家庭)

 本校合唱部は、今年度8月に東京芸術劇場で行われる全国高等学校総合文化祭「とうきょう総文2022」の合唱部門に金沢西高等学校合唱部の皆さんと一緒に石川県代表として参加させていただくことになりました。全国高等学校総合文化祭は、全国から各都道府県を代表する高校生が集結し、芸術・文化を披露する高等学校の文化の祭典で、演劇、合唱、吹奏楽、日本音楽、郷土芸能、書道など19部門で構成されており、コロナウィルス感染症拡大を乗り越え、今年度は東京で開催されることになりました。この文化祭で本校は「Story」を歌う予定になっています。この曲は、AIが作詩、2SOULが作曲したもので映画「ベイマックス」の主題歌になった曲です。合唱は、言葉と音楽の力によってメッセージを伝えることができる芸術であるため、歌詞の内容を理解し、思いを馳せることが大切です。歌詞の中にある「私が君を守るから あなたの笑う顔が見たいから」という部分に、私は情熱とエネルギーを感じ勇気付けられます。自分のために頑張ることはもちろんのこと、「誰かの笑顔のために」頑張れることはとても素敵なことです。皆さんも「自分のため」に、そして「誰かの笑顔のために」頑張れるものを見つけ、努力を重ね、そして、「染まる色はそれぞれ違うけど」自分色に染められた「自分だけのStory(人生)」を作っていってほしいと願っています・・・・。

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2022年7月14日 (木)

【第738回】「教師生活32年、こんな経験したことがない。」尾谷 力 (地歴・公民)

「教員ブログ」、今回は地歴公民科の尾谷 力が担当です。

皆さんは「ど根性カエル」というアニメを知ってますか。私が小学生の時に放送されたアニメなので知らない方も多いと思いますが、その後再放送やリメイク版、ドラマで実写化もされた人気のアニメです。

ストーリーは、主人公のひろし(中学生)が転んだ際に胸で潰してしまったカエルが「ど根性」でひろしのTシャツに貼り付いて、平面ガエル「ピョン吉」としてTシャツの中で生き延びて、仲間達と繰り広げるドタバタを描いたものです。

そのアニメの登場人物に町田先生という白髪混じりの歴史の先生がいます。ひろしたちの巻き起こすトラブルに、この町田先生が号泣しながら「教師生活25年、こんな経験したことがない。」と嘆くシーンが度々登場します。


前置きが長くなりましたが、私は先日生徒会主催の「千里浜清掃ボランティア」に声をかけていただき、教師生活32年目にして初めて「ボランティア」に参加してきました。

作業予定の海岸に到着したのは10時前。海水浴やバーベキューを楽しむグループや家族連れがちらほら見える中、いよいよ作業開始です。

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暑い中での作業はきつく大変でしたが、参加した生徒たちは指示を受けるまでもなく積極的にゴミを拾ってまわり、僅か2時間で相当な量のゴミを拾い集めることができました。

終わってみるとあっという間で、部活動とは一味違った充実した時間を過ごすことができました。ど根性ガエルの町田先生ではありませんが、「教員先生32年、こんな経験したことない。」といったところです。

その上でこういった生徒会活動でも頑張る生徒たちの存在を改めて再認識できた、貴重な1日となりました。

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遊学館高校というと「部活動」というイメージが強いかもしれません。しかし遊学館の実態は部活動だけではありません。

部活動で活動する生徒たちとともに、

学校の部活動にはない競技で頑張る生徒、
受験の目標を達成しようと頑張る生徒、
生徒会活動で頑張る生徒、

多くの生徒が、さまざまな場面で、いろいろな形で頑張っています。(手前味噌ですが)そんな生徒たちを支え、応援する先生方もたくさんいます。


集めたゴミの山と綺麗になった海岸を眺め、久しぶりに爽やかな汗をかいて心地よくなっていると、ふと部活動の引率で行った夏合宿を思い出しました。


夢に向かって頑張る皆さん。汗がだらだらと流れる夏の勉強や練習、さまざまな活動を楽しんでください。地味で何の変化もない毎日の活動を楽しむことができたら、あなたは夢を叶えることができるはずです。

この原稿を書く放課後のひと時。ボールの弾む音に交じって、野球部の応援に向かう吹奏楽部の練習する音楽が今日も校舎に響いています。

頑張れ、遊学館の仲間たち!