【第769回】「お礼参り」寺山 いずみ (養護)
「お礼参り」と言えば、願いが叶ったお礼として、神社や寺に参拝を行うこと、または、不良たちが、卒業後に学校や教師に嫌がらせをするや、やくざが刑期を終え、自分たちを告発した者に仕返しをする。などありますが、保健室にも、私が「お礼参り」と呼ぶ現象があります。
1月も半ば過ぎ、3年生の学校生活も残りわずか。こんな時期になると「あら、元気だった?進路は決まったの?最近どう?」と、久しぶりの3年生が保健室に来ます。
「あの子、元気かな?」とか、「保健委員だった彼は、進路決まったかな?」と、思っていると不思議と顔を見せに来てくれるのです。
今でも思い出される数年前の「お礼参り」があります。
ちょっと大人っぽいJKで、1年か2年の時に保健室横のトイレ掃除の担当でした。(今は、コロナ感染対策のため、トイレ掃除は業者がしています)掃除の時間以外は顔を合わせることもなく、3年生になってからは、見かける程度でした。
そんな彼女が、3学期の期末テストの時に保健室に来て、卒業後の話などをしていたのですが、私の机の周りを見て、「先生、黒板の書類ぐちゃぐちゃやね、ありえんし。トイレ掃除の時は、あんなに厳しかったのに・・・」と言い出しました。ごもっとも!と、苦笑いする私に、「先生、一緒に片付けてあげようか?」と。優しい言葉を続ける彼女。素敵な大人になったなぁ~と思い、「一緒に」がうれしくて、心が温かくなりました。
そして、今!モネちゃん、一緒に片付けて~と思いながら、成長しない自分を反省中です。
今年も、「ああ~お礼参りだな~」と、思うことが2つ3つ。ありがとう。