【第657回】 「支える」飯田 小次郎 (地歴・公民)
私は遊学館高校から巣立った卒業生の一人です。あれから4年の月日が流れ、今、教員という立場で母校に帰ってくることができました。
私が此処、遊学館高校で過ごした3年間という時間は人生の中で最も濃密な時間でした。また、私自身の人生において何にも代えることのできないかけがえのない財産となっており、遊学館高校で過ごした日々に誇りを持っています。
今、教員という立場に立ち、生徒を見ていると私自身の学生生活が思い出されます。クラスメイトと先生の話に耳を傾けた授業、休み時間に笑顔が溢れた教室、学校全体で盛り上がった体育祭などの学校行事、そして、毎日必死になって打ち込んだ部活動。4年が経った今でも鮮明に思い出されます。それと同時にあれだけの濃密な時間を過ごすことができたのは多くの方々の「支え」があったからなのだと、つくづく実感しています。
私は現在、硬式野球部のコーチをしており、生徒とともに日本一を目標に、日々練習に打ち込んでいます。「1年目で結果を出す」それが今年の私の目標でした。しかし、現実は甘くなく、私の未熟さ、脆さが多く出た1年となり、とても悔しい気持ちでいっぱいです。そこで自分自身を見つめ直し、自分に足りないところは何なのかを考えました。そして私が出した答えは「支える」力でした。生徒が悩んでいるとき、苦しいときに支えることができたか。嬉しいとき、楽しいとき一緒になって喜べたか。成長の手助けをできたか。まだまだです。
遊学館高校で過ごした学生時代をよく振り返ってみると、冒頭でも書きましたが学校生活において部活動の先生、クラスを持っていただいた担任の先生、私自身に携わってくださったすべての先生方の「支え」のおかげで充実した学生時代を過ごすことができました。
現代社会は、新型コロナウイルスの影響により新しい生活様式を強いられ、学生の部活動では甲子園大会の中止やインターハイの中止など、未だに混乱が続いています。また、高度情報化などにより生きやすくもあり、生きにくくもある時代に我々は直面しています。しかし、そんな現代社会に私たちは対応し、変わり続け、現実を受け入れて生きていかなくてはいけません。そんな現代社会を生きる高校生は、不安や焦り、恐怖など様々な感情が入り乱れていると思います。このような現代社会で今度は私が、満開の桜に囲まれた体育館から多くの生徒が「遊学館高校に来てよかった」と言い、巣立っていけるよう、生徒と向き合い「支える」ことのできる教員になりたいと思います。