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2020年1月 9日 (木)

【第610回】 「ひとりひとりが主人公」園下 真史 (数学)

 私は小学生低学年の頃、「この世界は自分の人生のために用意されたもので、自分はその世界の主人公である。」と考えていた節がある。父にこの話をしたら父も幼い頃は同じようなことを考えていたようなので、おそらく世の中皆子供の頃は自分を「主人公」とみなしているのだろう。
 私は中学生までは勉強も学年で上位だったし、背も高いからスポーツもそこそこできたし、運動会で団長も務めたので間違いなく主人公をしていたと思う。しかし、高校生になると勉強はついていけないし、体育祭の幹部に立候補しても「いや、お前はいらん」と言われるしで、私は「ああ、自分は所詮モブキャラに過ぎないのだな…。」と思ってしまった。要するに挫折を味わったわけである。
 そして現在、世の中を見渡してみると自分と同年代の人が富や名声を得てキラキラしている姿を見ると、「この人達は紛れもなく主人公をしているなあ、モブキャラの自分とは違うなあ。」と嫉妬してしまう自分がいる。しかし、彼らだってどこかで挫折を味わっているし、私と同じような感情を抱いたことはあるのだと思う。反対にツイッターやyoutubeなどで馬鹿なことをやっている人達は「主人公になりたいけど方法を間違えている人」なのだと思う。しかし現実では「ドラゴンクエスト」の主人公が民家のツボを割ったりタンスを勝手に開けるように何でもして良いわけではないのだ。
 私も他の主人公達を見習って自らをモブキャラと卑下することなく胸を張って自分の人生の主人公として人に恥じぬ物語を作っていきたい。