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2024年2月15日 (木)

【第822回】「見上げてごらん夜の星を」牛腸 尋史 (英語)

 小学生か中学生のころだと思います。授業で音の伝達速度を表す「音速」と光の伝達速度を表す「光速」について勉強しました。みんなが良く知っている北斗七星の中で、地球に一番近い星でも80光年ほど離れているそうです。そんな話を聞いているうちに、妙なことを空想するようになりました。「今見えている光は80年かけて地球に届いているなら、あの星はもう存在していないのかも。もし自分が光の速さで移動すれば、見える景色は時間が止まって見えるの?じゃあ、光よりも早く進むことができたら、光を追い越して過去を見ることができるの?」とか。そんなことを妄想するようになってからしばらくは、夜空を眺めることがマーブームになっていました。そうなっても「せっかくだから星座や宇宙についてもっと詳しく調べてみよう」となったわけではないし、残念ながら物理が得意科目になることもありませんでした。それでも、宇宙に対する関心や憧れとかは40年以上も心の隅っこに引っかかっています。
 私が高校まで過ごした輪島の実家は、自転車で20分ほど走ると明かりの少ない海辺まで行くことができました。町はずれまで行けば、条件次第で天の川も見ることができました。本当に牛乳をこぼしたような光の筋が見えると、「ぅわぁー!」と声が漏れるくらい感動したのを憶えています。少し時間がかかるかもしれませんが、昔のように故郷でゆっくり夜空を眺めたいです。

2022年9月15日 (木)

【第747回】「ボランティア活動」牛腸 尋史 (英語)

 昨年度後期生徒会で、「生徒と社会をつなぐ活動の計画」という活動目標を掲げることになりました。その実践として、今年度から校外でのボランティア活動に取り組んでいます。6月には総合支援ボランティア団体GRANDEさんと協力して犀川河川敷の花壇整備、7月には羽咋市での海岸清掃を実施して約40名の生徒が参加してくれました。普段何気なく見ている花壇も多くの人が関わってきれいな花を咲かせていることや、よく見るとゴミがたくさんあることにも改めて気づかされました。また、海岸清掃では、2時間弱の活動で30袋以上のゴミを集めることができました。一緒にゴミ拾いをしているときに、ひとりの生徒が「自分たちがゴミを集めことには限界があるけど、自分がゴミを出さないことはできるかな」と言っていました。ボランティア活動は、「何かをしてあげる」というものではなく、関わらせてもらったことで自分の意識や行動を変える良い機会になっていたようです。その言葉を聞けただけでも、この活動を計画した甲斐があった思えた瞬間でした。これからも、金沢マラソンや街なか清掃、花壇整備などの様々なボランティア活動を計画しています。

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 花壇整備の様子
 

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 海岸清掃の様子
  

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海岸清掃で集められたゴミ

2021年3月11日 (木)

【第671回】 「やってみよう!」牛腸 尋史 (英語)

 今年度の遊学講座で「野外活動」という講座を開講しました。昨年までは、受験に関係する講座に長年携わってきたので、「やったことのないことに挑戦しよう」と考え、この講座の開講に至りました。

 コンセプトは3つ。
 ①失敗してもいいから何でもやってみよう
 ②仲間と協力して作り上げる喜びを共有しよう
 ③卒業後の人生をより豊かにできるように視野を広げよう

 薪割や燻製器の制作から始まり、テント設営、デイキャンプ、野外料理などのキャンプに関係する活動を体験しました。その他にも、屋内雪合戦やペタング、スカットボールなど、おそらく1度もやったことのないスポーツにも取り組んできました。
 薪で火を起こすためのフェザースティックづくりに苦労したり、校外活動で道に迷ったりするなどのトラブルもありましたが、無事に1年の活動を終えることができました。何よりもうれしかったのは、様々な活動を経験する中で11人の生徒が学年やクラスを超えて笑顔で協力する姿を見れたことです。料理がうまくできた時やゲームに勝った時には歓声を上げ、うまくいかないことを協力と工夫でクリアしていく様子を見て、私自身も「この講座を開講してよかった」と思うことができました。これからも、「やってみよう」精神で新しい活動に挑戦していきたいと思います。

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2019年10月31日 (木)

【第601回】受験の神様牛腸 尋史 (英語)

 秋も深まり、受験生にとってはセンター試験に向けた受験勉強に拍車を掛ける時期になりました。高校生にとって、大学受験は人生最大の試練だと言えるかもしれません。高校受験も大きな試練だったかもしれませんが、大学受験は高校受験よりも多くの科目を、どこまでやっても終わりのないような範囲で勉強しなければなりません。見えない目的地に向かって、果てしない荒野を進んでいるような気持の人もいるでしょう。きっと今は、不安な気持ちに押しつぶされそうになっているかもしれませんが、負けずに頑張りましょう。
 3月になって受験を終えてみると、私の予想を超えた結果を残す生徒が毎年います。そんな生徒は、決して運がよかっただけではありません。全員に共通していることは、「最後まで諦めずに勉強し続けた」ということです。これは間違いなく本当です。
 神様というのは、人や地域によって様々でしょう。そして、信じる人もいれば信じていない人もいるでしょう。でも、受験の神様はきっといます。最後まで諦めずに頑張った人を見守ってくれているのです。これから厳しい冬を迎えます。でも、その後には暖かな春がみんなを待ってくれています。受験生、頑張れ!!

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2018年6月14日 (木)

【第533回】 泣いてもらいます牛腸 尋史 (英語)

 進路指導部では、1学期に1年生と3年生の保護者を対象とした進路説明会を実施しています。1年生の保護者には、遊学館高校の進路状況や3年後の進学・就職を考えるに当たって、今後考えておいて欲しいことなどをお話ししました。また、今年は教務部との共催によって2年生からのコース選択についてもお話を聞いていただく機会になり、とても有意義な会合になったと思います。
 3年生の保護者に対しては、進路に応じた分科会を開き、昨年度のデータを示しながら、これから1年の流れと進路実現に向けた具体的な方策についてお話しさせていただきました。この説明会で、私にはある「重要な?役割」が与えられています。それは、「保護者へのメッセージ」を集めたムービーを作成し、上演することです。メッセージムービーを上映する目的は、ズバリ「保護者の皆さんを泣かせるため」です。
 18歳からの進路は、就職や一人暮らしなど、生徒だけでなく保護者の皆さんにとっても大きな変化になるものです。保護者の皆さんには、子どもたちからのメッセージを見ながら18年間の成長を噛みしめ頂こうと思い、5年前に始めた企画です。メッセージから、保護者の皆さんがそれぞれのご家庭で子どもたちに接する姿や愛情込めて育ててきた様子が伝わってきて、微笑ましく読ませてもらっています。その中から選抜したメッセージと学校生活の写真を組み合わせ、子どもたちが生まれた18年前のヒット曲をBGMにした15分ほどの作品です。このムービーを上映する時に、私が気を付けていることがあります。それは、「会場では絶対にムービーを見ない」ということです。なぜなら、見ると私自身が泣いてしまって、その後の進行に影響が出てしますからです。
 こんな風にムービーの紹介をしても、どんな内容なのかよくわからないと思います。すみません。できれば、今回見逃した保護者の方たちのためにも、卒業式には少し編集し直したムービーを再上映したいと考えています。また、2年生の保護者の方には、ぜひ来年度の進路説明会にご参加いただき、実物をご覧いただきたいと思います。よろしくお願いします。

 最後に、子どもたちが書いたメッセージをいくつか紹介させていただきます。

 「ママひとりでここまで育ててくれてありがとう。この家族に生まれて一度も寂しいと思ったことはありません。いつもママの優しさに助けられていました。ありがとう。」

 「3年間支えてくれてありがとう。たくさん迷惑かけてきたけど、お父さんとお母さんは私の誇りです。これからは親孝行します。」

 「大好きな部活動を自由にやらせてくれてありがとございます。お父さんのような立派な人に、そしてお母さんのような優しい人になれるように頑張ります。」

 「僕を産んでくれてありがとう。」

 「この家に生れたことが、僕にとって一番うれしいことです。」

2017年1月12日 (木)

【第460回】 ガンバレ、受験生!牛腸 尋史 (英語)

 お正月も明けて、新しい年が始まりました。みなさんはお正月をどのように過ごしましたか。お節料理やお餅を食べながら自宅でゆっくり過ごした人、両親の実家で新年を迎えた人など、それぞれが楽しい時間を過ごしたのだろうと思います。しかし、大学受験を控えた3年生にとっては、クリスマスもお正月もゆっくり楽しむ余裕はないでしょうね。
 私にとってお正月は、「図書室」というイメージがここ数年は、強くなっています。なぜかというと、遊学館高校では、図書室で年末年始の勉強会が行われているからです。年末年始は慌ただしい雰囲気で、自宅でも勉強に集中できないだろうということや、冬休みの追い込みで生活リズムを崩さないようにということで、12月29日から1月4日は午前9時から午後5時まで希望者に開放しています。その勉強会も今年で5回目になります。今年は、15名ほどの生徒が図書室で年末年始を過ごしました。
 今週末は、いよいよセンター試験です。いよいよ大学受験が本格的に始まります。この日のために、たくさんの生徒が遅くまで学校や自宅で勉強に励んできました。努力の成果を試験でしっかり発揮して、輝かしい未来を勝ち取る第1歩にしてくれることを願っています。ガンバレ、受験生!

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2015年9月 5日 (土)

【第392回】 就職戦線真っ只中!牛腸 尋史 (英語)

 就職指導を担当して今年で2年目になる。進学指導で30年やってきたため、同じ進路指導であっても勝手が違い、戸惑うことも多くある。その反面、学校関係者以外の方と接する機会が少なかったため、様々な職業に就かれた専門家の方たちとお話をさせて頂くことは、私にとって新鮮で勉強になることも多い。就職は、進学よりもスタートが早く、9月5日に応募書類の提出が始まる。9月4日にこのブログを書いているので、今はまさに就職戦線真っ只中である。生徒が就職を希望する理由は、「早く独り立ちがしたい」や「就職しなければならない」、「勉強したくない」、「やりたい仕事がある」など、様々である。理由や動機は違っても、1年後には私たちを同じ社会人になることには変わりない。
 私も、高校2年生までは就職を希望していて、その理由は「勉強したくない」か「早く独り立ちがした」というようなものだったと思う。「就職」=「大人」、「進学」=「子ども」程度の変に背伸びした考えもあったのだろう。そんな私が大学に進学することになったのは、いざ真剣に職業を考えた時に何を選んだらいいのかを決断できなかったからである。実はその頃、料理が好きだったので「コックさんか板前さんにでもなろう」と考えていた。しかし、料理を自分の職業に決断する段になって、「本当にいいの?」と考え始めてしまったのである。「自分が好きな料理は、好きなものを好きな時に食べてほしい人につくるものであり、それを職業にすることは本当に幸せなのだろうか・・」などと考えてしまうと、頭の中は完全にフリーズしてしまったのである。就職もあまり明確な意思や目標を持てていなかった上に、進学する時も「もう少し自分の将来を考える時間が欲しい」というお粗末な理由だった。これは単なる問題の先送りでしかなく、結局は就職について考えなければならないわけであるが、やはり大学生になると無計画な私でも考え方は多少柔軟になるようで、たどり着いた職業観は、「仕事そのものを目標にするのではなく、自分の性格や特長を活かした職業を選びさえすれば、どんな仕事でもやりがいや面白さはきっと見つかる」ということである。私の場合は、「たくさんの人と接して、人の助けになれたらきっとやりがいを感じるだろうなぁ・・」が出発点であった。その先に見えたのが教師だった。私の場合は、運よく最初に思いついた職業に就いて今に至っているわけである。自分の30年間を振り返ってみても、自分のやりたいことをさせてもらっているなぁと思うことができる(勝手気まま過ぎてたくさんの方に迷惑をかけてしまってもいるだろうが)。
 だから、もし「教師になりたい」と思っている人がいたら、「なぜ教師なのか」を考えてみることも大切なのではないかと思う。私と同じように「たくさんの人と接して、人の助けになりたい」と思ったのなら、それを感じることができる職業は他にもないか考えれば、選択肢はかなり増えるのではないだろうか。幅広い選択肢を持つことができれば、幸せややりがいを感じる職業に就くチャンスもきっと増えると思う。
 いずれにしても今年、就職を希望する3年生が社会人なる時の最初の一歩で少しでも力になって、大学生の時に思っていた「やりかい」を感じることができるように頑張りたい。

2014年4月17日 (木)

【第324回】 ユウガク桜牛腸 尋史 (英語)

 先日、ハードディスクにため込んでしまったテレビ番組の整理をした。昔のビデオテープの見た目で分量を実感できないため、何となく気になって録画した番組や毎週録画の設定がしてある番組があっという間にたまってしまったのである。もう旬が過ぎた番組は見ずに削除したり、大まかに内容がわかればいいものは早送りしながら見たりして、半日作業で整理した。その中で、ある番組が目に留まった。それは「ドラゴン桜」という番組だ。私が録画したものではないが、以前から気になっていた番組だった。関心を持ったきっかけは、リクルートが運営する「受験サプリ」というサイトの中にあった「ドラゴン桜直伝!大学合格の秘訣百箇条」というコーナーである。受験勉強のコツのようなものをまとめたものだが、マンガと一緒に簡潔な言葉でアドバイスしているおり、とても分かりやすいので本校の受験生にも見せたいと思い、パソコンに保存してあるのだ。そのドラマの中で、阿部寛が演じる主人公桜木建二が落ちこぼれ生徒たちに向かってぶつけるセリフのひとつに「格差や不公平が当たり前の世の中で、受験は社会を這い上がるために唯一平等に与えられた機会だ」というようなセリフがあった。私は、そのセリフを聞きながら今春に遊学館を巣立った生徒たちの顔を思い出していた。
 本校に入学する生徒の多くは、公立高校の受験に失敗して入学してくる「不本意入学者」が多くいることは事実である。特に、特進クラスに在籍する生徒たちは、そういう生徒が多い。彼らは、夜遅くまで学校に残り、休日も学校に来て勉強している。そして、その中の一人が今春、見事に合格を勝ち取って学校へ報告に来てくれた時に「僕は公立に落ちて良かった。もし、公立に受かっていたら国公立に行こうなんて考えなかっただろうし、こんなに勉強することもなかったと思う。本当に遊学館に来てよかった。」と言ってくれた。その言葉は、私たち教員にとって何よりのご褒美であり、それまでの苦労が報われた瞬間だった。彼は平等に与えられた機会を存分に活かして次のステージに進んでいったのだ。彼のように未来に向けて期待に胸を膨らませながら巣立つ生徒を一人でも多く見送ることができるように、今年頑張るゾ!

2012年12月13日 (木)

【第259回】 本箱牛腸 尋史 (英語)

 私の教室に小さな本箱があります。自分が読んでしまった本の中で、生徒にも読んで欲しいと思った本をそこに置くようにしています。特に生徒に薦めるというわけでもありませんが、誰かがその中の1冊を読んでいる姿を見かけると、自分の頭の中を見られているような照れ臭さと、関心を持ってくれたうれしさで何か妙な気持ちになったりします。
 思い返すと、私は中学2年生まで本を読むということがあまりありませんでした。それどころか本を読むことは、「苦痛」の部類に入っていたと思います。本を読むようになったきっかけは、隣に座っていた女の子がいつも熱心に本を読んでいる姿を見て、「面白い?」と何気なく聞いたことでした。「読み終わったら貸してあげるから、読んでみたら?」とその子に言われ、勧められるままに読み始めました。どんな題名の本だったか、もう覚えていませんが、それ以降、手元にはいつも何かしら読みかけの本があるようになりました。
 最近では、生徒の方から「この本面白かったよ」と薦められ、貸してもらって読むこともあります。私にとって本は、時代や世代を超えて多くのことを教えてくれる存在であると同時に、生徒とのコミュニケーションの橋渡しにもなっているようです。

・最近、本箱に置いた本
 「恋愛寫眞」 市川拓司 著
 「船に乗れ!Ⅰ~Ⅲ」 藤谷治 著
 「飛鳥へ、そしてまだ見ぬ子へ」 井村和清 著

・最近、生徒に薦められた本
 「ツナグ」 辻村深月 著
 「永遠の0(ゼロ)」 百田尚樹 著

2011年8月 4日 (木)

【第193回】打てよ、打てよ、ホームラン牛腸 尋史 (英語)

 7月27日、遊学館高校対金沢高校のカードで第93回全国高等学校野球選手権大会石川県大会の決勝が行われた。ご存知のように、遊学館高校は後半の追い上げで粘りを見せたが、甲子園大会の出場は叶わなかった。

私たち教員にとっても、そして生徒にとっても、県大会準決勝、決勝の全校応援は本格的な夏の始まりを告げる一大イベントになっている。だが、この行事も野球部が勝ち進んでくれてこそ実現できるものである。創部以来11年間で9回も全校応援ができているのは、他でもなく野球部員と監督、コーチの弛まない努力の証である。

普段の生活の中で、1000人が同じ場所で同じ思いを共有することなど、そうそうあるものではない。もちろん、学校生活においてもそれは同じである。グラウンドで白球を追う球児だけでなく、準決勝と決勝の1塁側では(もちろん3塁側も同じでしょうが)、スタンドで応援する野球部員、吹奏楽部、応援団、生徒たち、そして教職員もみんなが「甲子園に行きたい!」と、思いを一つに精一杯応援していた。

こんな幸せな時間を与えてくれた野球部に感謝である。