2017年11月 9日 (木)

【第503回】 国 際 交 流Y. H. (英語)

 昨年、遊学館高校はフランス・ナンシー市のノートルダム・サン=シジスベール校と姉妹校提携を結びました。それを皮切りに国際交流化をはかる活動が盛んに行われるようになり、その1つ目としてケニアから留学生のJ君を迎えました。2つ目にはアメリカ出身のM氏がALTとして赴任し、3つ目にはアメリカ・フロリダ州から留学生のHさんを迎え入れ、校内では英語が飛び交う光景が見うけられるようになりました。

 今回はケニア出身のJ君の話をしたいと思います。彼は遊学館高校・男子駅伝競走部を強化するために迎え入れられた新入生です。県外の高校では留学生選手がいるのを何度か目にしましたが、実際本校ではそのような選手を受け入れるとは思っていませんでしたが、今年5月ついに現実となり本当に驚きでした。そしてなんと、私がその留学生の担任に任命されたのです。好奇心と大きな不安でいっぱいでしたが、その日がくることがとても楽しみでもありました。

 今年の5月ゴールデンウィーク明けに関西国際空港まで彼を迎えに行ってきました。到着予定時間になっても、到着ロビーに現れないJ君、二人の監督と私はとても不安になりソワソワしていました。ようやく1時間半遅れで現れたJ君は想像していた以上に細くて華奢な少年でした。ちょっとはにかんだ笑顔からのぞく白い歯がとても印象的でした。

 日本に来てようやく6ヶ月が過ぎましたが、彼にとって学校での生活は想像以上に大変だったと思います。言語・文化・生活習慣など全てが、母国ケニアとは異なりフラストレーションがたまる生活を送ってきたと思います。そのような状況の中で少しずつですが、日本語が理解できるようなっており、時々はっきりとした日本語で答えてくれると、とても嬉しくなります。また、1人での行動範囲も広くなり生活環境にも慣れてきている様子です。
 ともあれ、彼はまだ高校1年生です。ケニアから誰も知合いがいない日本に留学する心境は計り知れません。彼はとてもシャイな少年で、クラスの中に打ち解けるのも時間がかかっていますが、焦らずに見守っていこうと思います。J君の存在自体が10組の生徒に大きな影響を及ぼしているのは確かです。このことを通して、両者が国際交流の意義を理解して、もっと世界に羽ばたいて、世界から日本を、また日本からケニアを見る大切さを分かち合ってほしいと思います。

 先日、全国高等学校駅伝競走大会石川県予選会があり、初めてJ君の走る姿を見ることができました。スラリと伸びた長い脚、ケニア人ならではのあのスタイルはとてもかっこよく、頼もしい姿でした。石川県予選会を突破し、次は全国大会の舞台である京都・・・・いざ、出陣。

 J君が自分の夢を日本で実現できるように、応援し続けていきたいと思っています。

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2017年11月 2日 (木)

【第502回】 祖母の33回忌から山本 雅弘 (保健体育)

先月、29日私の祖母の33回忌の法事がありました。
祖母は旧姓木谷好子で大正11年に金城女学校を卒業した14回生です。
卒業後、小学校の教師として働きながら結婚し、私の父親を含む5男・2女の子宝に恵まれ、明治・大正・昭和の時代をたくましく生きた方でした。
私が小学生の時、通知表を祖母に報告する儀式?があり、成績が良くても、悪くても必ず祖母の恩師である加藤せむ先生の名前から始まります。
「せむ先生は・・・・とおっしゃっていました・・・」
まったく面識のない「せむ先生」の名前が私の小学生の思い出として強く残っていました。
祖母にとって「せむ先生」は想像以上の存在だったことを感じさせられました。
そして現在、私が金城学園に勤めていることが不思議な縁として感じさせられます。
遊学館高校が野球部を創部するあたり、たまたま私が監督の候補に挙がったことからです。
金城学園に勤め始めたのが17年前、その時祖母の墓前で「金城学園で働きます・・力を貸して下さい」とお願いもしました。
その結果、甲子園に何回も出場する結果につながったようにも思います。
勝負事には勝ち負けがつきものですが、「人と人の縁」「野球の神様」「つき」など、目に見えないけど大事にしなければいけないものがたくさんあると思います。
これからもいろんな流れに逆らうことなく生きていきたいと思います。

2017年10月26日 (木)

【第501回】 絵本制作Y. I. (家庭)

 1年生の家庭基礎「保育」の授業で絵本制作を行いました。
 少子化・核家族化の中、なかなか乳幼児とふれあう機会のない高校生たちですが、絵本を制作するために、自然と幼児の遊びに関心を持ったり、発達段階を理解したり、幼児の生活や成長に役立つものを考えながら幼児とのかかわりを想像していました。
 何を題材にし、ストーリをどのような絵で表現するのか悩みながらも、楽しそうに制作している様子がどのクラスにも見られました。
 大好きだった絵本を思い出したり、久しぶりに絵本を読んでみたと報告を受けたり、幼稚園保育園の頃の記憶がよみがえり懐かしさに浸ったり、絵本制作中は童心にかえり柔らかい表情をしている生徒が多かったです。

 出来上がった絵本はクラス全員で交換して読み、全作者にコメント・アドバイスを書きました。さらにクラスで良かった絵本を選びました。
 完成した絵本を分類してみると、
  ・オリジナルの物語
  ・四季や動植物の成長など自然の変化
  ・食べ物や動物
  ・教訓を伝える物語
  ・子どもの好きなキャラクター
 また、ブラックユーモアで高校生は楽しめるけれど幼児には理解できないかも。と完成後に気づいたものもありました。
 クラスメイトの制作した絵本を読み、友達の意外な創造力や描写力に感心したり、自分の作品の改善点が分かり作り直したくなったり、多くの発見がありました。

 各クラスの優秀作品はこの後家庭室前に展示しますのでお楽しみに!

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2017年10月19日 (木)

【第500回】 同窓会準備中!!谷内田 京子 (国語)

 先日、遊学館高校19期生の同窓会幹事会が行なわれ、学年同窓会の準備が始まり、代表幹事を務める二人を中心に、積極的な話し合いが行なわれたようです。
 その話を聞いた、19期生の3年次の担任で、卒業アルバムを見ながら、当時のことを懐かしく思い出していました。
 19期生は、人懐っこくてユニークな生徒が多く、学校行事は大いに盛り上がった学年でした。

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体育祭では、一生懸命になるあまりに意見がぶつかり、何度も話し合いをして最高の応援合戦にしたり、学園祭では、楽しい企画をたくさん考え、全校生徒を笑いで包んでいました。時に羽目をはずして、先生方から注意を受けると、素直に謝ることができる生徒が多かったように思います。

 私が受け持ったクラスは、金城大学コースと一般進学コースで編成されたクラスでした。学園祭のアピールタイムでは、泣きながら記者会見をしていた議員のものまねで、見事最優秀賞を受賞しました。球技大会では、お揃いのフットサルシューズ(オレンジだったよね)で、優勝を目指し、真剣に練習に取り組んでいました。残念ながら準優勝でしたが、決勝戦の戦いぶりは、今でも鮮明に思い出すことができます。

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そんな19期生の同窓会、とっても楽しみにしています。幹事のみなさん、いろいろと大変だと思いますが、よろしくお願いしますね♪

2017年10月12日 (木)

【第499回】 杭を見て… M. M. (英語)

 コーン、コーン、と中庭で杭を打つ音が響き、小さな囲いが造られていた。それを見て「あの囲いの中で動物でも飼ったらかわいらしいですね。」などと冗談交じりで話をしているとき、ふと思い出した。かつて、金城高校には愛犬部があったという話を。

― 金城高校には最盛期で親犬が6匹、子犬が13匹いたという。その頃には、高校に愛犬部があって生徒たちが世話をしていたが、シェパードは月夜に鳴くらしく、近所から「うるさい!」と苦情の電話がかかってきたそうだ。そのたびに、加藤と母の津禰が頭を下げに回った。

「加藤晃回顧録 遊学のこころ」より ―

 校舎敷地内に犬舎をつくり、生徒たちにも呼びかけ、情操教育の一環として犬舎の掃除や犬の世話、散歩、訓練などをさせた。金城女学校時代に二代目となる加藤二郎先生が、ユニークな活動で生徒たちに愛校心を植え付けたいと考え、この活動をとり入れた。ハーモニカやアコーディオンを中心としたリードバンドや大阪-金沢間の350㎞を自転車で走破する自転車隊もその活動のひとつだ。加藤二郎先生は「生徒が夢中になれるもの」を学校生活にとり入れたいと考えたそうだ。

 現在、始業前や昼休み、放課後には、当時はシェパードたちが走り回っていたのかもしれないこの中庭で、生徒たちはスペースをフル活用して部活動等に励んでいる。そう、彼らは「夢中になれるもの」を持っている!
 金城高校の生徒のときから長い年月を経ても、今も変わらぬ遊学生の姿があるとは素敵なことである。同時に、遊学生たちには学校の歴史や創始者の思いを理解し、さらなる愛校心を抱いてもらいたいと改めて感じた。

 ところで、杭を打った囲いは、中庭の中央に高く広くそびえる榎(えのき)の幹を保護するためのものだった。しかし、この榎もこの場所から長い間生徒たちを見守ってきたことであろう。

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