2018年6月14日 (木)

【第533回】 泣いてもらいます牛腸 尋史 (英語)

 進路指導部では、1学期に1年生と3年生の保護者を対象とした進路説明会を実施しています。1年生の保護者には、遊学館高校の進路状況や3年後の進学・就職を考えるに当たって、今後考えておいて欲しいことなどをお話ししました。また、今年は教務部との共催によって2年生からのコース選択についてもお話を聞いていただく機会になり、とても有意義な会合になったと思います。
 3年生の保護者に対しては、進路に応じた分科会を開き、昨年度のデータを示しながら、これから1年の流れと進路実現に向けた具体的な方策についてお話しさせていただきました。この説明会で、私にはある「重要な?役割」が与えられています。それは、「保護者へのメッセージ」を集めたムービーを作成し、上演することです。メッセージムービーを上映する目的は、ズバリ「保護者の皆さんを泣かせるため」です。
 18歳からの進路は、就職や一人暮らしなど、生徒だけでなく保護者の皆さんにとっても大きな変化になるものです。保護者の皆さんには、子どもたちからのメッセージを見ながら18年間の成長を噛みしめ頂こうと思い、5年前に始めた企画です。メッセージから、保護者の皆さんがそれぞれのご家庭で子どもたちに接する姿や愛情込めて育ててきた様子が伝わってきて、微笑ましく読ませてもらっています。その中から選抜したメッセージと学校生活の写真を組み合わせ、子どもたちが生まれた18年前のヒット曲をBGMにした15分ほどの作品です。このムービーを上映する時に、私が気を付けていることがあります。それは、「会場では絶対にムービーを見ない」ということです。なぜなら、見ると私自身が泣いてしまって、その後の進行に影響が出てしますからです。
 こんな風にムービーの紹介をしても、どんな内容なのかよくわからないと思います。すみません。できれば、今回見逃した保護者の方たちのためにも、卒業式には少し編集し直したムービーを再上映したいと考えています。また、2年生の保護者の方には、ぜひ来年度の進路説明会にご参加いただき、実物をご覧いただきたいと思います。よろしくお願いします。

 最後に、子どもたちが書いたメッセージをいくつか紹介させていただきます。

 「ママひとりでここまで育ててくれてありがとう。この家族に生まれて一度も寂しいと思ったことはありません。いつもママの優しさに助けられていました。ありがとう。」

 「3年間支えてくれてありがとう。たくさん迷惑かけてきたけど、お父さんとお母さんは私の誇りです。これからは親孝行します。」

 「大好きな部活動を自由にやらせてくれてありがとございます。お父さんのような立派な人に、そしてお母さんのような優しい人になれるように頑張ります。」

 「僕を産んでくれてありがとう。」

 「この家に生れたことが、僕にとって一番うれしいことです。」

2018年6月 7日 (木)

【第532回】 「今の自分にできること」五嶋 祐佳 (地歴公民)

「今の自分にできることはなんだろう?」
 このような質問をされたとき、あなたは何と答えますか?すぐに答えられますか?この質問に答えることができる人は、自分自身を把握している人です。どんな目標・希望があるのか、自分はどんな人間になりたいのか、自分に足りていないのは何か、など少しでも自分を把握している人。
 自分自身を把握するためには、客観的に自分を見つめなければいけません。これを聞いて、「客観的に見るとか無理!」と思う人もいるでしょう。しかし、高校生は“青年期”という段階に属しているため、自己そのものに対する関心が高まり、自然と自分を客観視している瞬間があるのです。例えば、自分自身を客観的に見つめ、他者と比べて劣っていると感じる劣等感(コンプレックス)だ。
 「羨ましい」「妬ましい」という感情を抱いたことのある人は、自分を客観視できている証拠です。「こんな気持ちになりたくない!」と思う人もいるだろうが、私は悪い感情ではないと思う。問題は、その感情を抱いてしまった後に自分がどのような行動を取るか。
「われわれが努力するのは、劣っていると感ずるからである。」
 劣等感を克服しようとする力が、人間を成長させる原動力となる。劣等感から今の自分にできることは何か、と答えを探してみるのもひとつの手である。
 では、話を最初に戻しましょう!「今の自分にできることはなんだろう?」
 今の私にできることは何か。それは、「言い続けること」だ。
 生まれた環境、育った環境が違うため、その人の意識を変えようとすることは非常に困難である。しかし、私が言うことで“そうしなければいけない環境”をつくってあげることはできる。この環境が自分のものになれば、意識の変化にもつながるだろう。
 という、「期待」を込めて毎日毎日、小言を言うわけです。(笑)ですから、この先生ブログでも、思ったことや気づいたことを書いてみました。この毎日の小言が自分たちの意識改革につながれば幸いです!これをきっかけに考えてみてください。今の自分にできることってなんだろう?って。

300606

2018年5月31日 (木)

【第531回】 「国際理解は金沢から」小坂 英洋 (情報)

 5月22日、遠足の日 。2年生は今までにない遠足を行いました。
 それは「金沢探索」。
 金沢は伝統文化や歴史・芸術で知られる街です。また偉人や文化人も多く排出しています。遊学館高校(金城高校)の創立者である加藤せむもまた、金沢の偉人の一人とされています。金沢の中心部に位置する遊学館高校周辺には、これらを紹介する施設が数多くあり、すべてを訪問ことはできなくても、生徒たちの学び舎の街である金沢について知ることはとても大切なことと思い、この企画を実施しました。
 生徒はグループをつくり、コースを選び、コース内に設定された施設を計画を立ててめぐります。施設までの道のりでの発見、施設での発見、そして友人との親睦などさまざまな経験・体験を持ち帰り、後日レポートにしました。コースに設定した施設は以下の通りです。

① 石川四高記念公園 ・ 金沢能楽美術館 ・ 尾山神社 ・ 足軽記念館
② 金沢市老舗記念館 ・ 前田土佐守家資料館 ・ 室生犀星記念館 ・ にし茶屋街
③ 鈴木大拙館 ・ 金沢くらしの博物館 ・ 石川県歴史博物館
④ 金沢ふるさと偉人館 ・ 金沢市中村記念館 ・ 金沢21世紀美術館
⑤ 加賀本多博物館 ・ 石川県立美術館 ・ 石川県伝統産業工芸館
⑥ 徳田秋声記念館 ・ ひがし茶屋街 ・ 金沢安江金箔工芸館 ・ 金沢文芸館
⑦ 泉鏡花記念館 ・ 金沢蓄音機館 ・ 寺島蔵人邸 ・ 金沢文芸館


 これらの施設のほとんどは、高校生以下が無料となっています。有料区間がある場合でも、事前申し込みをすれば、無料(条件あり)となるのです。
 生徒にとって見れば、普段は(おそらく)立ち入ることのない施設を訪問し、金沢についての知識や教養、そして友人との親睦が深まれば、素晴らしい思い出になるでしょう。
 話は変わりますが、私は今年の3月にオーストラリアでホームステイをして来ました。これは遊学館高校インターアクト部(国際ロータリー2610地区主催)の国際交流プログラムの一環として引率で同行したのでが、夕食などでの会話では「金沢はどんな所?」や「金沢で有名な人は?」「金沢の歴史・文化は?」などの話題が必ず出ます。私は、わからないことはタブレットで調べて答えていたのですが、話の途中で「あなたの知っていることを教えて。No,IPad.」と言われ、大変困った思い出があります。
 レポート作成は、訪問施設の感想に写真やパンフレットなどを交え、さすが2年生という出来栄えで、掲示板は他学年の注目を集めていました。
 国際理解はまず足元から。私たちの街を知ることで、世界が見えてくるかも知れませんね。

300531

2018年5月24日 (木)

【第530回】 新1年生へK. S. (国語)

 最近、朝の出勤時間を15分早めています。地元の小学校の新1年生の登校時にかち合わないようにするためです。自由で屈託のない子供たちは、時としてとんでもない行動をとります。道路に大の字でねっころがるは、急に飛び出すは・・・・、本当にはらはらします。それを回避するためです。まだまだ幼稚園の延長かな・・・、机の前に時間が来るまでじっと座っていられるのかな・・・? ただ、みんないい表情です。
 さて、わが遊学の新1年生はというと、まだ2か月も経っていないのにクラスにも学校にも馴染んでいるようです。やっぱり高校生。きらきらとした笑顔が素敵で、意欲に満ちています。中間試験の結果をみて実感しました。よく頑張りました。
 吸収する力は人それぞれ、自分以外の人と比べる必要はありません。私自身とわが子で認識しました。なにせ理解するまでに二倍三倍の時間を必要とする親子だから・・・。 社会人となった今でも彼らは試験に苦しんでいます。そんな中で、ただただ根気よく継続していくことが何より大事なのだと悟ったようです。得た知識はあなたの人間性を高めてくれます。考える力を養い、たしかな行動力を生みます。高校時代は悩める年頃だと思います。友人関係・勉強・部活・将来等に感じている胸のつかえをそのままに、その解決を後回しにしていると不安はどんどん膨らんでいきますよ。何とかなるさ・・・、いいえ何ともなりません。あなたが行動を起こさなければ進展は望めませんよ。投げないで、諦めないで、何とかしようよ。今がチャンス!!飛躍の時です。どうか決して「朽木糞墻(きゅうきふんしょう)(やる気のない者のたとえ)」といわれないようにしよう。
 「屈託なく笑って生きる」が理想の生き方です。「屈託」があると喜びも楽しみも集中も気力も、大事なことすべてが半減してしまいます。笑いには余韻があり、連鎖があります。道行く人の思い出し笑いを目にすることがあります。どんな楽しいことがあったのだろう、想像するだけでこちらも幸せを感じ、ついつい微笑んでしまいます。そうあることがあなた自身を、そして、あなたの周りの人をも幸せにします。わたしはそう信じます。
 素晴らしい3年間でありますよう・・・ 応援します。

※「屈託」・・・一つの事ばかり気にかかってしんぱいすること
        退屈や疲労などで精気を失っていること

2018年5月17日 (木)

【第529回】 「恰好いい大人」窪 泉 (保健体育)

「俺たちは奇跡を起こすんだ」

 これは伊坂幸太郎さんの「チルドレン」という作品に出てくる,家庭調査官の陣内のセリフです。物語には,さまざまな事情を抱えた少年少女が登場します。そんな少年少女たちを更生させるのは奇跡だ。しかし,その奇跡を起こすと陣内は奮闘します。
 陣内はその少年少女のことをこう言います。
 「誰だって自分だけはオリジナルな人間だと思っているんだよ。誰かに似ているなんて言われるのはまっぴらなんだ。」
 「調査官は,担当する少年が『他の誰にも似ていない,世界で一人きりの奴』だと思って向かい合わないと駄目なんだよ。」
 家庭調査官と教員,職業は違いますが,私が目の前にしている生徒たちは,唯一無二の存在であり,家庭環境も考えていることも全く違います。同じ授業や同じ対応の仕方はないのだと,陣内の言葉にとても共感しました。

 物語の中で,他の家庭調査官は断言します。
 「地球の自転が止まることがあっても,スティーブン・セガールが悪役に負けることはあっても,非行少年が更生することはない。」と。でもそれに対して陣内はこう言います。
「大人が恰好良ければ、子供はぐれねえんだよ。」

 奇跡を起こすのはなかなか難しいかもしれませんが,恰好いい大人になることは,私にも少し可能性がありそうです。思えば,私が出会った人たちの中には,「恰好いい,こんな人になりたい」と思える人がたくさんいました。
 恰好いい大人になるために,日々勉強です。
 まずは,小さなことで怒らないように・・・


 もうすぐ県総体・総文ですね。
 出場される生徒の皆さん,先生方,ご健闘をお祈り申し上げます。