2018年10月 4日 (木)

【第548回】 「恩師」T. M. (英語)

 7月下旬、金城大学のテニスコートで私はそのことを知らされました。どこかで覚悟していたような、それでも信じられないそんな感覚がしました。自分にとって大事な人が亡くなりました。

 滝本先生は私が教員を目指すきっかけをくれた先生のそのまた先生でした。とにかく元気で明るく前向きで一度話し出したら止まらなくなる人でした。そんな先生との一番の思い出は亡くなる2ヶ月ほど前にした大喧嘩です。

 きっかけは些細なことでしたが、そこから授業や英語に関する話になり、お互いに引かず言いたいことを言い合いました。大人になってあんなに本気で言い合ったのは今までなかったかもしれません。しかしその言葉一つ一つは先生から自分への叱咤激励であり、そのとき言われた言葉は今でも忘れることができません。「そんなこともわからないの」「あなたがやらないで誰がやるの」ストレートで重い言葉でした。そのときは私もむきになっていましたが、後になってそこまで自分に対して言ってくれる存在がいるということは幸せなことだと感じました。

 葬儀の際、部活で応援してもらっていた生徒、遅くまで残って英語を教えてもらっていた生徒、いつもは少し突っ張っているけど本当は素直で優しい生徒、みんな泣いていました。その中に予備校時代に私を担当していた先生(滝本先生の教え子であり私にとっての先生)もいました。二人で先生の思い出を話しているときに「滝本先生は君のことをかわいがっていたと思うよ、だってあの人は興味ない人や期待していない人にはそんなこと言わないから」と言われ、生徒がいるので我慢していましたが、その言葉でいろんなことを思い出し、涙が止まりませんでした。もっと休むように強く言っておけば、もっと話を聞いてあげていれば、いろんなことを考えましたが、それでもきっとあの人は元気でいる自分を証明したくて教壇に立っていたと思います。

 「人の成長に間近で関われる仕事」それが教員という仕事だと私は思っています。そして私も含め、多くの人が滝本先生に成長させられていたのだと思います。葬儀の後、予備校の先生から連絡があり、当時の資料や教材がすべて送られてきました。そして「超えてもらわないと困る」と言われました。正直、プレッシャーはありますが、少しずつ自分も誰かに影響を与えられるような存在になりたいです。

 先生のご冥福を祈っております。

※この先生ブログを書いている日に、京都大学の名誉教授の本庶佑(ほんじょ たすく)さんがガン治療の研究でノーベル医学・生理学賞を受賞しました。もっと早くにこの技術が普及していれば、生きている時代が違ったらと、たられば話をしても仕方がないのですが、一人でも多くの人がやりたいことができずに終わることがないように願っています。

2018年9月27日 (木)

【第547回】 「1年目」T. M. (数学、情報)

 私は、中学1年~大学4年までの10年間を、陸上の長距離を専門にして部活動を続けてきました。高校の3年間は遊学館高校男子駅伝部に所属し、厳しい練習に耐えながら日々練習に励みました。これまでは、指導を受けながら日々走り続けていましたが、今年の4月から走る者を指導する指導者に立場が変わりました。

 指導者の立場になってからは、様々な出来事に対して日々悩みが尽きません。走っていた10年間は、ほとんど自分の身体や精神と戦うことが多かったように思います。しかし、指導者となり、選手を走らせ、記録及び人間性を向上させるには、自分自身が走っている頃には考えられなかった苦労があるのだと痛感しています。なかなか人を導くというものは、思い通りに行かないことも実感しています。その中でいかに、選手の様子を見ながら臨機応変に指示を出していくかが、重要になってきます。生徒も指導者も、日々悩みながら目の前に立ちはだかった壁に果敢に挑みます。

 しかし、苦労ばかりを話題にあげましたが、それだけではありません。それは、選手がこれまでの自分を超えた時です。駅伝部は、春と秋に積極的に遠征に行き、それぞれの選手が自己記録更新に挑戦します。特に秋~冬にかけては、駅伝をチーム一丸となって、自分としても、チームとしても記録に挑戦していきます。もちろん屋外スポーツのため気象条件によっては厳しい条件化の中走らなければならないこともあります。その中でも今までの自分の限界に挑戦し、それを超えたときは、選手もそうですが、指導者としても何事にも変えがたい喜びがあるのです。特に走り終わり、限界を超えた選手の清々しい顔は、指導者にとって格別な褒美だと思っています。その裏には厳しい練習に取り組み、日々練習に励む姿を知っているからこそ、より一層喜びも膨らむのではないでしょうか。

 様々な苦労や葛藤の中で、楽しさや喜びを感じることは今後の人生にとって大きな財産になると思います。まだ指導者として1年目の経験が浅い私ですが、10年間の経験を活かして、選手を成長させてあげられるよう、そして様々な感情を共に分かち合えるように、日々精進していきたいと思います。

2018年9月20日 (木)

【第546回】 「自分の心を守ること」T. E. (国語)

 前に先生ブログを書いたのはいつだったかな、とホームぺージを見直すと去年の春でした。
うーむ、私が遊学館に来てあっという間に1年と半年が過ぎたんだとしみじみ感じています。
思い返してみると、この1年半の間に私は随分大きな変化がありました。
 みなさんはここ1年半の間に「あ~変わったなあ」と思うことはありましたか?

 ちなみに、私が一番大きな変化だと感じているのは「自分の心との付き合い方」です。
キッカケはたまたま本屋で見つけた一冊のカウンセラー本でした。今回は、子どもの頃から悶々と考え込んで落ち込むことが多かった自分が、ハッとさせられた、生き方が変わった本を紹介します。

さて、それがこの本!
「いつも誰かに振り回される」が一瞬で変わる方法  著者:大嶋信頼

 みなさんは怒りや不安を感じたとき、それをどう対処するのでしょう。
 相手の言動に過剰に反応してしまったり、漠然とした不安にモヤモヤする…そんな時は少なくありません。なぜかずっと考えてしまい気が付いたらこんな時間。周りから「気にしなくてもいいよ」と言われても、なかなかそれを自分の心に言い聞かせられない!自分の心ってどうコントロールすればいいの~!なんて経験が、みなさんにもあるのではないでしょうか?
 この本は、怒りや不安を作り出す心の仕組みをわかりやすく解説し、根本的に解決しちゃおう!という本です。どこから読んでも問題なし。文面も堅苦しくなく、なにより見やすい!
「えっ!不安の原因ってそんな場所にあったの!?」と目から鱗の内容ばかりでした。

 自分の心と向き合うってむずかしそう。カウンセラー本って自分には関係ないかも…と思う人もいるかもしれません。実際、私もそうでした。しかし、普段私達が何気なく感じていた不安の仕組みがわかるだけで、自分が思っている以上に心は軽くなりますよ。

 感情をコントロールするというのは、決して気持ちを押し込めることではありません。自分自身の本音と向き合って、冷静に受け止めることです。そしてそれは、心を守ることに繋がります。
「もうダメだ」、心が悲鳴を上げる前に自分でその声に気が付けられるといいですよね。

興味があったら、ぜひ一度本屋で探してみてください!

2018年9月13日 (木)

【第545回】 「視点の転換」髙橋 李句 (国語)

 現代文の授業の中で「見方を変える」「視点の転換」に関する教材を扱うことになった。教えるにあたって考えたのは、「実感」や「体験」がないとしっくりこないだろうということである。初めに、「スポーツを見ている時と実際にやる時では、まったく違う」という話をしたが、しっくりこなかった。そこで行ったのが「実感」を持つための、マイナスの表現をプラスの表現に変えてみようというグループ学習だった。

 方法としては、10個のマイナスな言葉を板書してから、生徒に「とらえ方を変えて、プラスの表現にしてみよう。」とだけ言い、そこからグループごとに考えてもらった。例としては、「短気」「(態度・言動が)軽い」「消極的」「頑固」などである。生徒達は、言葉の意味を確認しあいながら、プラスの表現にうまく変換していた。発表の時間になると各グループから様々な意見が出てきた。(教える側としては、最高の瞬間)

「短気」…情熱がある、信念を曲げない、こだわれる、芯がしっかりしている
「軽い」…コミュニケーション力がある、場の雰囲気を良くする
「消極的」…聞き上手、相手を思いやれる、空気が読める
「頑固」…周りに流されない、目標が明確にある

 若い時から、固定化した視点や考え方で生きていくと自分の可能性を狭めてしまうと思う。高校時代の私はまさしくそうであったと思う。無難な生き方ではあったが、楽しさやワクワクはなかった。正直、生徒にはそうなってほしくない。自由な発想や考え方で物事を見ていく力が現代社会では求められていると思う。

 ブログと言えるのか?という文章になったので最後に。

常に視野を広く持ち、色々なことに目を向けてみましょう!

2018年9月 6日 (木)

【第544回】 新アイテム登場!T. Y. (英語)

 「おおー、すごーい!」
 スイッチを入れるとみんなの興味しんしんの目が輝きました。そうです、2学期から全教室に配置されたプロジェクター。待ちに待っていたものがついに使えるようになりました。私、板書が大の苦手。パソコンで作った資料を黒板に投影できれば板書にかかる時間をもっと有効に使えるし、重たいプロジェクターとパソコンを持ち歩かなくてもいいし、英語の音声データも簡単に聞かせてあげられるし、いいことがたくさんあるのです。

 「これ、先生が作ったん?すごいじー。」
 何人かの生徒から授業に使ったパワーポイントをほめてもらいました。実は見かけによらずパソコンは得意なのです。「なんで先生になったんですか?」と、これまで何人もの生徒に聞かれましたが、大学生の頃「教員」は一番なりたくない職業でした。就職活動していくつか面接に落ちて、たまたま入れた会社がコンピューターソフトを開発する会社だったのです。パソコンの電源の入れ方もわからないまま入社してプログラマーをやっていました。決してやりたくて始めた仕事ではなかったのですが、パソコンやインターネットが身近になったこの時代、コンピューターの会社に入れて幸運だったなあと思います。そして今、あんなになりたくなかった教員という仕事が楽しくて、パソコン技能を活かして仕事ができるなんて、人生何がどうなるかわかりませんね。高校生のみなさん、今やりたいことがない人もとりあえず目の前にあることにどんどん挑戦してください。そのときは興味がなかったり役に立ちそうもなかったりするかもしれませんが、世の中もどんどん変わります。きっとそのあとの人生に無駄になることはありませんよ!

 せっかく入ったプロジェクター、どのように英語の授業に活かしていけるのかまだまだ手探り状態ですが、いろいろな使い方を考えてもっと英語に興味を持つ生徒が増えるように工夫してみたいと思います。