2021年10月 7日 (木)

【第700回】 「アスリートの気持ち」H. H. (芸術)

 この夏、賛否両論の中、東京オリンピック、パラリンピックが開催されました。始まればきっとTV、ラジオに釘付けになるであろう、、、案の定、家のBGMはオリンピック一色に。私自身、8月末の展覧会に向けてアトリエに籠る日々ですが、耳はその動向を気にしながらの制作でした。
 この一年半、各種いろんな大会やイベント等が中止延期に追い込まれ、私共の美術活動も大きく影響を受けました。作品の搬入審査も終え、翌日から開催というところで美術館が閉館。そのような事態が2年連続して起こりました。もう誰のせいでも無いのですが、一年間掛けて準備した作品が東京の国立新美術館で日の目を見ることなく、自宅に帰って来るのです。中止延期の連絡がまた来るかもしれない、それでも作品は作り続ける、休む事なく作り続けなければなりません。先の日程が決まればいつでもそこに作品が用意出来る様にです。厚かましいですが、アスリート達もきっと同じ思いなのだろうと、自身と重ね合わせて。そうすると一段と胸が熱くなり、ひとりで気持ちを盛り上げてました。自分を鼓舞するみたいに、です。
 スポーツも絵画芸術活動も、それを披露して発揮する場所や機会がなければ前に進めません。多くの人に触れたり観てもらう事で、人々に勇気や感動を与え、人生の励みになるなど、社会に及ぼす影響力も大きいはずです。そうあるべきだと願っております。こんなご時世だからこそ、それらに携わっている私達は、微力ながらその大切さをお伝え出来れば、と思っています。
 コロナ以降、久しぶりに忘れていた気持ちを思い出しました。悔しがったり喜んだりと。目標や夢に向かって、人生を掛けて頑張ってきた姿に心が揺さぶられてしまいました。彼等の姿が、コロナ禍で多くの方の命を支えている医療従事者や、先の見えない困難に不安を持つ全世界の人々にとって少しでも励みになっている、と願いたいです。私自身も多いに励まされたひとりです。困難を乗り越え、そこに立ち向かった末に学んだことは、全てのアスリートが語った、お世話になった沢山の人への「感謝」という思い。この先の人生において、一番の宝物を得たのかもしれない彼等は幸せだなぁと思いました。そんなアスリートから、私も沢山のことを学ばせていただきました。季節はもう晩秋。私も絵筆を止める事なく、この先何が待ち受けてようとも、目標に向ってコツコツと前に進むのみ!です。

2021年9月23日 (木)

【第699回】 「拾う」中村 ゆかり (国語)

 コロナ禍に見舞われ約一年半、日々暗いニュースが続く中、オリンピック・パラリンピンクでの日本人選手団の活躍ぶりに、多くの感動と勇気を貰った夏となった。
 これまでの競技人生を4年に一度の祭典にかける各国選手のことを思うと、感染拡大の懸念はあったが、一年の延期を経て実施されたことは本当に良かったと思える。私個人としては国内開催というメリットもあってか、想定外のメダルの獲得数に正直驚いた。ただ前評判が高かった競技でメダルがとれなかったことはとても残念ではあるが…。それでも朝夕もたらされる選手の勇姿に沸く国内の様子を目にするたび、スポーツの持つ「不思議な力」を改めて感じるとともに、世界と戦うための並々ならぬ努力が実を結んだのだなぁとしみじみ思う。
 スポーツ界で輝く日本人の中でも今、もっとも注目されているのはメジャーリーグに所属する「大谷選手」であろう。高校野球は別だが、プロ野球に強く興味がない私ですら日々のニュースでその活躍ぶりを目にすると「すごいな」と感心する。つい先日、実践での活躍とは異なるところでの称賛を耳にし、勝手ながら強く親近感を覚えた。彼は試合中であっても、フィールドやベンチのゴミを拾う。「他人の落とした運を拾う」という。高校球児であったころの習慣をいまだに実践しているとのことであった。海外メディアもその振る舞いを、こぞって称えていた。
 本校の部活生たちも運動部、文化部に関係なく練習前後に校内外で清掃活動をしている。大谷選手同様、「運を拾っている」のである。大会や練習もままならず、いろいろと制限が続く中、それでも生徒たちは「元気」である。練習帰りの生徒たちに出会ったとき、私との遭遇に驚きながらも「先生、さようなら」としっかり挨拶をしてくれる。そんな生徒たちのガンバリが収束に繋がってくれたら…と願うばかりである。
 「他人が落とした運を拾う」ことで自分たちのウンキを高め、コロナに負けない学校生活を送ってほしい。

2021年9月16日 (木)

【第698回】 「HANABI」中村 裕行 (地歴・公民)

 私はこの夏、ミスチル(Mr.Children)の「HANABI」という曲にハマってしまった。ほとんど聴いたことのないミスチルの曲(2008年発売らしい)がなぜ耳に入ってきたのかは思い出せないものの、詞も曲も心に染み入り、以後何回、何十回となく聴いている。恋愛をテーマにしたような歌詞だが、“誰も皆 問題を抱えている だけど素敵な明日を願っている”など、人生のツボを押さえたようなフレーズが所々に散りばめられている。

 さらに心動かされたのは、YouTubeのコメント欄に「この曲を聴いて救急救命士になろうと思った」とか、「コロナ禍で大変な中、看護師として頑張る」とか、「私は弁護士を目指しているので、“命を守る人”を守る人になる」などの声が溢れていたことである。(この曲は、救急救命士のチームを主人公としたテレビドラマのテーマ曲だったそうである。また、この文章が当初掲載されるはずだった一週前の9月9日は“救急の日”というのも、何かの巡り合わせだったのか…)

 かくなる私も先生(教員)になろうと思ったのは、当時盛んに放映されていた学園ドラマによる影響が大きい。以後、この仕事を続けて今年37年目となった。未だに教師と書けない未熟者の私だが、「倫理」の授業で教えるサルトルの言葉“実存は本質に先立つ”といったところであろうか。私は本質に迫れないまま終わってしまいそうだが、皆さんにはぜひ本質・本物を目指してほしい。

 就職に至る道筋は人それぞれで、私が携わる就職指導を通しても、生徒が様々な仕事を選んでいく様子はまさに様々である。就職に限らず、先のオリンピックやパラリンピックでも選手が競技と出会うきっかけは人それぞれで、中には“運動音痴を自認する選手が金メダル!”、“50歳女性がパラリンピック初出場で金メダル!”など、奇跡に近いようなニュースもあった。それこそオリンピックやパラリンピックの選手達は、順風満帆ではなく波瀾万丈の人生を歩んでいるのだろう。何が人を動かすことになるかはわからないゆえ、人生は面白い。たとえ事が上手く運ばなくても、「HANABI」の歌詞でくり返される、“もう一回 もう一回”と手を伸ばす気持ちで困難に立ち向かっていきたい。

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2021年9月 9日 (木)

【第697回】 「2学期が始まりました!」N. H. (保健体育)

 2021年度の2学期が、始まりました。昨年より新型コロナウイルスによる甚大な影響で、世界中で現時点でもこの先どのようになっていくのか見えない状況が続いております。少しでも早く、収束して以前の日常生活を取り戻せたらなと毎日思います。
 本校の1学期においては、学校行事など昨年からさらに強化し、引き続き実施している感染対策の徹底によりスポーツテストや体育祭などの学校行事、あるいは県高校総体(インターハイ県予選)や高校野球県予選など昨年は中止された行事やさまざまな各種大会など実施されてきました。ただ、残念なのは、7月頃からの全国だけではなく石川県内においても感染状況が、短期間で急激に拡大し、学校行事で大きなイベントである『学園祭』が2年連続で中止になったことです。
 1学期より生徒会が中心となり厳しい制約がある中、いろいろな企画などを計画していたように思います。生徒たちが楽しみにしている『学園祭』が実施されないのは、長い教員生活においては、残念で仕方ありませんが、学校としても生徒の健康における「安全・安心」を考慮してのことと苦渋の決断だと思われますので、このような状況がいつまで続くのか誰もがまったく予測がつかない事態となっているのではないかと思います。
 このような状況でも、生徒たちが、勉強や部活動など今自分ができることを精一杯努力している姿勢に(自分自身も頑張っていこう)と元気づけられるとともに生徒たちが逞しく成長していくことを感じられ、私としては頼もしく思います。
 今後、状況がどのように変化していくのか予想は難しいですが、生徒ともども置かれた状況の中で出来ることに最善を尽くしていきたいと思います。
 一日も早く、以前の日常生活に戻れるよう願っております。

2021年9月 2日 (木)

【第696回】 「ZEST(強い意志)」中川 都 (国語)

 8月9日(月)にツエーゲン金沢のV・ファーレン戦の噴水前広場(西部緑地公園の陸上競技場前)イベントステージに出演する高校生ユニット『ZEST』のステージを見に行きました。

 『ZEST』は、本校の3年生の女子生徒2人よるユニットで、1人は私の担任クラスの生徒です。彼女の歌を聞けるチャンスだと、同僚と3人で出かけて行きました。

 『ZEST』のステージは素晴らしかったです。まず、歌が良い。声は、若々しくのびやかで、声量も十分です。難しい楽曲だなと私は思ったのですが、彼女たちは難なくこなし、感情をこめて歌い、歌に表情が出てきます。聞き入ってしまいました。
 歌う前の挨拶や、自分たちや楽曲の紹介も堂に入ったもので、安心して聞いていられました。
 そして、ステージへのこだわり。出だしの音が合わなかったのか、やり直したのですが、そこに彼女の真剣さが感じられました。
 彼女たちのステージに、サッカーを観戦に来た人たちも引き付けられ足を止めていました。

 彼女たちは、1年生の時に遊学講座で『ゴスペル』講座を受講したことで知り合い、同じ夢を持つ同士、意気投合し、ユニットを組んだそうです。主に町中の小さなステージに呼ばれて活動していたそうですが、新型コロナウイルス感染症の拡大とともに呼ばれることが減ったので、新たな活動場所を自分たちで探し、今回のイベントに出演することになったそうです。

 このステージを通して、彼女たちの学校だけでは見られない一面、歌に対する情熱や真剣な思い、知らない人たちを前にしても臆さない勇気、聞いてくれる人に対する感謝の気持ち、新しい活躍の場を見つけようとする行動力、ユニット名に込められた強い意志、そういった素敵な面をたくさん見ることができました。

 高校生活の3年間は、どれだけでも成長できる貴重な期間なのだと実感させてくれた彼女たちのステージでした。

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