2015年1月 8日 (木)

【第360回】 君かと思いてM. M. (国語)

 最近は、君かと思いて、という言葉に胸打たれることが多いです。この言葉は昭和時代の映画の題名にとられていたそうで、中学生だったころの夫は、よくおぼえているというのです。
 先月、二学期の古典の学習は、「万葉集」を選んでいました。この「君かと思いて」の出典をみつけることができます。

   帰りける人来たれりといひしかば
   ほとほと死にき 君かと思いて
                <万葉集十五・三七七二>

 ゆるされて帰った人が来ているということだったので、あまりの嬉しさにあやうく死ぬところでした。あなたかと思って。帰ってきたと思った時の歓喜が大きかっただけに、そうでなかった時の落胆の甚だしさが想像される。

 ほとほと死ぬくらい、ドキッとするのです。
 君かと思うのです。
 テレビの前にいても、近くを走る救急車のサイレンを耳にしても、ハッとして、君かと思うことばかりです。自分がそんな年齢になったせいもありますし、この頃の自然災害や人間社会の世相がそうであるからです。
─────人によって、君とは? 老いた配偶者かもしれないし、老いた親かもしれない。
 君かと思いて・・・・私もそう思う自分に気付くのです。

2015年1月 1日 (木)

【第359回】 ステレオタイプM. K. (国語)

 二年生の現代文の教科書にステレオタイプという言葉が出てきた。ステレオタイプは、ある集団の中で共通に受け入れられている単純化された固定的イメージを指す。
 たとえば、外国人が日本人に抱くステレオタイプには「日本人女性はやまとなでしこ」「オタク」「寿司を握れる」などがある。しかし、最近は三歩下がって歩くどころか、三歩前を歩くような頼もしい女性も多いし、すべての大人がアニメや漫画に萌えるわけではない。すべての日本人が寿司を握れるとするならば、寿司屋は商売上がったりである。ステレオタイプは、複数ある要素の中から一番イメージしやすい要素だけを取り出して単純化したものにすぎないのだ。
 11月下旬、このステレオタイプについて考え直す出来事が起きた。米ミズーリ州黒人青年射殺事件不起訴の報である。これにより米国社会に根差す人種差別の問題が浮き彫りになった。
 米国の映画やドラマに、黒人と白人のカップルや家族が登場することは少なくない。画面の中の彼らは親しく対等に見える。そのようなものに触れるうちに、無意識に「人種差別はない」というステレオタイプを作り上げてしまっていたのであろう。私はこれを受けて驚くと同時に自らの浅慮を恥じた。

 さて、このステレオタイプを遊学館高校に当てはめるとどうなるだろうか。きっと多くの人は「運動部が強い」「部活動が盛んだ」と答えるだろう。しかし、ステレオタイプに包含されない部分にも努力し活躍している生徒はいる。
 部活動だけではない遊学館高校。これを世に伝えるためには教師生徒相互の努力が必須であろう。

 共に頑張ろう、遊学生!

2014年12月25日 (木)

【第358回】 ~ 全国大会を終えて ~本 茂通 (地歴・公民、福祉)

12月13日にバトントワリングの全国大会が行われました。
この大会に向けて、1年間をかけ、どのような天候の日でも
全力で取り組んでいる姿を見ると、
「がんばれ!」と、心の中でエールを送っている自分がいます。

私のクラスにも2名のバトントワリング部員がいます。
大会が近くなってくると、
“今の調子はどうなのか”など
いろいろと聞きたい気持ちになりますが、本人たちの表情を見ていると、
私が不安に思っていること自体が必要ないように感じました。

大会の結果は・・・
全国大会第2位という、とても素晴らしい結果でした。

しかし、グランプリの受賞を目標としていた本人たちにとっては
とても悔しい結果だったようです。
本人たちの書いた大会の感想を載せることはできませんが、
この大会にかけていた思い、
仲間とのつながり、
家族や関係者への感謝、
バトントワリング部の先輩への恩返しなど
とっても熱い心が文章に表れていました。

本人たちにとっては、残念な結果であったかもしれませんが
この大会を通じて、バトンの楽しさや、ひたむきに努力することの大切さなど、
多くのものを再確認し、学べたと感じているようです。
このことは、今後の人生に、また活かせることでしょう。

どんなことにも全力で、まっすぐに向かっていた二人には
「グランプリ受賞おめでとう!!」
この言葉をかけてあげたかったですね。

2014年12月18日 (木)

【第357回】 雪M. I. (理科)

 最近は寒い日が続き、雪も降り積もってまいりました。
 この前、授業の準備にと中学の教科書を見ているとあるコラムに目がいきました。それは雪と氷の研究をされた加賀市出身の中谷宇吉郎博士の話でした。中谷博士は美しい雪の結晶写真を見て、自然のなす技に感動し、どんな条件のときにどんな雪の結晶ができるのかを調べられ、気温と水蒸気の量の組み合わせと、雪の結晶の形との関係をまとめられました。
 私たちの身のまわりには感動したり、不思議に思うことがたくさん溢れていると思います。当たり前のことにもう一度目を向けて、「なぜ?」「どうして?」と疑問を持ち、その答えを自分なりに考えることが大切だと感じます。生徒には何かに感動し、それに対して全力で探求する精神を授業や日々のかかわりを通して伝えていけたらなと思っています。

261218ウィルソン・ベントレーによる雪の結晶の写真

2014年12月11日 (木)

【第356回】 傘寿コンサート村野 元孝 (芸術)

先日ですが横浜みなとみらいホールで傘寿コンサートの演奏会に出演してきました。横浜の駅の近くに隣接している都市型の海の見えるとてもきれいなホールです。久しぶりに私のフルートの先生とご一緒の演奏会です。練習1回、ゲネプロ本番のぶっつけの演奏会です。当日の会場は超満員であり、さらに私のフルートの師匠先生であり元東京音楽大学の学長(現在同大学名誉教授)であり、更に元NHK交響楽団のメンバーであるため、久しぶりの先生との演奏会はとても緊張した心地で行ってきました。ホールが良いせいかとても感じの良い演奏会になりホットしています。
 さて還暦・古希・米寿は知ってはいましたが、恥ずかしながら傘寿とは何か?と分からなかったので調べてみたところ、年齢が八十歳と書くところから傘の年と書くそうです。そういえば私の周りにもその年の方が何人もいました。演奏会でご一緒したフルート奏者で指揮していただいた青木先生(27年3月フルートフェスティバルに来澤)も傘寿です。大学時代お世話になったフルートの播先生も傘寿です。(先日播先生の傘寿コンサートの参加依頼もあったので)。そういえば亡くなった父親も傘寿を過ぎてたな。母親も傘寿をすぎてたな。私は節目の事や祀りごとなどは出来るだけするようにしていますが、抜けていたなと反省です。では次はなにがあるのかなと考えたら……。大事な節目珊瑚婚が来年です。今のうちに考えておかなければ。傘寿の輪から人のハーモニーの輪が広がりました。

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