【第679回】 「春の日」清水 汐音 (国語)
先日、お休みの日に能登まで桜を観に行きました。金沢の桜が葉桜に変わっていく中で、能登ではちょうど満開の時期だったのです。あるお友達に誘われて、「能登さくら駅」とも言われている能登鹿島駅まで行きました。少し風が冷たかったけれど、日光がやわらかく暖かい、そんな春らしいお天気でした。この駅からは海も見えます。満開の桜と海とを一緒に見ることができるなんて想像もしていなかったので、そんな景色をみて、私は一瞬で「来てよかった」と思いました。
実は、この日、目的がもう一つありました。海に行ってシーグラスを拾うことです。二人とも、宝さがしでもするかのように真剣に集めました。そんな中友達が、ふとこんな内容の言葉を独り言のようにつぶやきました。
「私よりも真剣に探してくれるところが、あなたの素敵なところだよね」
確かにシーグラスを拾いたいと言ったのは、友達のほうでした。ですが、私も海が好きで、同じように思っていたし、こんな風に伝えられることは驚きでした。この言葉に対して、私がどんな風に返したのかは、全く覚えていません。とにかく嬉しくて、こうまっすぐに伝えられる友達のいいところを再確認できたし、「この子に出会えてよかったな」と改めて実感しました。
この友達は、遊学館で一緒に高校生活を過ごした友達です。三年間、一緒に日本一を目指した仲間です。遊学館で過ごした三年間の思い出は、卒業後、私に頑張る力をたくさんくれました。だからこそ私は今、こうして先生として遊学館にいることができています。
高校生活がまだ始まったばかりの1年生、折り返し地点にいる2年生、最後の一年を過ごす3年生。みなさんが、本当に大切に思える友達に出会い、自分の力になってくれる時間を、遊学館で過ごせたらいいな…と思っています。