【第927回】「生成AIで志望理由書をつくってみた」深代 真一 (数学)
ある生成AIに次のような要求をした。
「金沢市に住む高校3年生です。金沢大学経済学類の受験を考えています。大学のアドミッションポリシーに合わせて、志望理由を400字で作ってほしい。大学に入ったら、観光と地域経済の関係を研究したい。」「現在の観光客による経済効果など具体的な数値を入れてほしい」
AIが作った回答が次の文章になる。
「私は、観光が地域経済にもたらす多様な効果を経済学的に解明し、持続可能なまちづくりに貢献したいと考え、金沢大学経済学類を志望します。金沢市は歴史・文化資源に恵まれ、2023年度には石川県全体で約774,000件の外国人宿泊者数を含む観光回復が進み、国内外から多くの旅行者が訪れています。市街地の観光集客は依然高水準であり、2025年7月には単月で約41万人が金沢を訪れ、年間を通じて累計2,373万人以上の観光客が訪れるデータもあります。観光は宿泊・飲食・小売をはじめとする地域経済のけん引役となっており、特に文化体験や伝統産業への需要増加は新たな収益機会を創出しています。貴学類で統計解析と地域経済理論を学び、観光産業が雇用創出や所得分配にどのように寄与するかをフィールドデータで検証し、持続可能な経済モデルを提案したいと考えています。」
具体的な数値もあり、アドミッションポリシーとも合致する立派な志望理由書になったが、読み返すたびに違和感を感じている。それは、「筆者の姿」が見えないことである。生成AIはとても整った文章を作成してくれるが、本来人間が作る文章には表現方法に個人差が出るはずである。その個人差の部分に人間味やその人らしさが見えてくると考えているが、AIの文章からは無機質な情報しか得ることができなかった。
また、この志望理由書を受け取った大学側はどう感じるだろうか。おそらくだが、AIで作成したことを瞬時に見抜くはずである。見抜いたうえで合格を出している大学なのか、見抜いたからこそ不合格になる大学なのか、差が出るだろう。もしAIに作ってもらった志望理由書をそのまま使っている受験生がいたら、一度立ち止まってほしい。それは自分自身の言葉、想いなのか、自分に問いかけてほしい。現代の高校生には、AIに使われる人間ではなく、AIを使いこなす人間になってほしいと願っている。
