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2021年4月 1日 (木)

【第674回】 「高校生の私へ」小森 眞里奈 (国語)

遊学館の皆さんと同じ高校生の頃、私は自他共に認める、
"お父さんがキライ" そんな思春期真っ只中の女子高生でした。
社会人になって、私の父嫌いは少し薄れつつも、父には素直になれないままでした。

しかし、私が24歳の時…父に癌が見つかり余命を宣告されます。
父に結婚式に参列してほしい…と急遽大慌てで結婚式準備をしました。
どんどん病気が進行し、入院先の病院から車椅子でやって来て、別人のように痩せ細った父を支えるようにしながら、何とか一緒にバージンロードを歩くことができました。

結婚式から2ヶ月後…
桜が散る春の終わりに、父は旅立ちました。
私が遊学館に勤め始めてまだ20日目のことでした。
亡くなる前日、実家のある富山の病院で、
「お父さん、私明日も授業があるから金沢に帰るね」と言うと、もう声も出せなくなった父が、震える手でしてくれたピースサインが今も忘れられません。

亡くなる前に結婚式ができて、私は少し親孝行できたのかな… そう思う時もありました。
でも、今私には愛する2人の娘がいます。
この娘たちを一目お父さんに会わせてあげたかった…、お父さんがいたら…。
そんな事ばかり思います。

「親孝行したい時には親はなし」
よく耳にする言葉ですが、今とても身に染みています。
まさか数年後に父との別れを迎えているとは思いもしていなかった、生意気で、素直じゃなかった高校生の私へ1番教えてあげたい言葉です。