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2015年6月11日 (木)

【第382回】 最近考えていることA. H. (数学)

私は遊学館に来る前は新潟県の中学校で勤務していました。金沢に来て二ヶ月半程です。1年生の担任になり、気がつけばあっという間に6月に入っていました。時が経つのがこんなに早く感じたことは今までになかったなと思うくらいです。そんな毎日の中で、ふと自分の学生時代を思い返すことがあります。
 1999年小学6年の夏、姉とともにセビリア世界陸上をテレビで見ていました。はじめて見る世界陸上はすべてが衝撃的でした。世界にはこんなにも速く走る人が、こんなにも高く遠くに跳べる人が、こんなにも遠くに投げることができる人がいるのかと。そのときの衝撃を忘れる日はなく、中学・高校・大学と10年間陸上競技部に所属しました。時には陸上に夢中になりながら、時には勉強のことで頭が一杯になりながら、それでも自分なりに必死に陸上と向き合ってきました。もちろん辛くて苦しい思いもたくさんしました。走ることが嫌になり、練習をサボったこともあります。足に痛みはないのに、「痛い」と言って練習を見学したこともあります。でも心の中では、罪悪感で一杯でした。苦しくて逃げ出したくなるけど、実際に逃げてしまうと、その数十倍の苦しさがやってきました。そんなときにいつも頭をよぎる言葉があります。それは中学時代の顧問の先生の言葉です。『限界はそこにあるんじゃない。自分で作り出しているんだ。』この言葉を思い出しながら、常に全力で陸上と向き合い、常に全力で自分自身と向き合ってきました。どんなに苦しくても走り続け、百分の数秒でもタイムが縮まったとき、その喜びはとてつもなく大きかったです。一度タイムが出たときの喜びを感じてしまうと、それが楽しくて、また走りたくなる、そんな感じです。苦しさと楽しさを交互に感じながらも、気づけば毎日陸上のことを考えている学生時代でした。
 私は陸上を通して『仲間の存在の大切さ』、『夢中になることの大切さ』を主に感じてきました。もしあの広いトラックで、一人で練習していたら、辛いことを避けて楽をしようと考えてしまうでしょう。ともに練習する仲間がいるから自分の力も発揮できるし、苦しいときは支えあうことができました。それにみんなで大好きな陸上に夢中になっているから、本気で笑ったり、本気で泣いたり、たくさんの感情を共有できたのだと思います。中途半端ではなく、本気でやってきたからこそ、陸上を通して出会った仲間たちは今でも最高の仲間です。だから私は陸上競技に感謝し、陸上競技を通して出会ったすべての人に感謝する心を決して忘れずに、これからも過ごして行きたいと思います。