【第259回】 本箱牛腸 尋史 (英語)
私の教室に小さな本箱があります。自分が読んでしまった本の中で、生徒にも読んで欲しいと思った本をそこに置くようにしています。特に生徒に薦めるというわけでもありませんが、誰かがその中の1冊を読んでいる姿を見かけると、自分の頭の中を見られているような照れ臭さと、関心を持ってくれたうれしさで何か妙な気持ちになったりします。
思い返すと、私は中学2年生まで本を読むということがあまりありませんでした。それどころか本を読むことは、「苦痛」の部類に入っていたと思います。本を読むようになったきっかけは、隣に座っていた女の子がいつも熱心に本を読んでいる姿を見て、「面白い?」と何気なく聞いたことでした。「読み終わったら貸してあげるから、読んでみたら?」とその子に言われ、勧められるままに読み始めました。どんな題名の本だったか、もう覚えていませんが、それ以降、手元にはいつも何かしら読みかけの本があるようになりました。
最近では、生徒の方から「この本面白かったよ」と薦められ、貸してもらって読むこともあります。私にとって本は、時代や世代を超えて多くのことを教えてくれる存在であると同時に、生徒とのコミュニケーションの橋渡しにもなっているようです。
・最近、本箱に置いた本
「恋愛寫眞」 市川拓司 著
「船に乗れ!Ⅰ~Ⅲ」 藤谷治 著
「飛鳥へ、そしてまだ見ぬ子へ」 井村和清 著
・最近、生徒に薦められた本
「ツナグ」 辻村深月 著
「永遠の0(ゼロ)」 百田尚樹 著