【第87回】前に進むための満足S. J. (地歴・公民)
先日、テレビ番組を見ていたら、イチロー選手が次のような発言をしていました。
「何か課題や目標を定めて、達成したら大いに満足をするべき。そうでないと人間は気持ちがもたない。満足するのも自己評価。僕はむしろ満足人間です。満足の先には必ず次の満足に向かう課題が現れるもの。その時は、また全力でそれを目指せばいい。」
イチロー選手といえば、すばらしい結果を出しても決して満足しない人という印象が強かったので、意外でした。でも、彼もやっぱり人間。自分で自分のことをほめてあげてたんだなぁ、と思いました。そういえば、最近よくテレビに出ている脳を研究している博士も、
「できないことができるようになったとか、知識を得て疑問が解消したとか、どんな小さなことでもいいから喜びを感じる経験を積み重ねることが脳を活性化させる。」
と言っていました。ただ、2人の発言で重要なのは、あくまでも
「次に進むために満足する。」
ということ。満足したところで、立ち止まっていては意味がないのです。
イチロー選手は次のようにも言っていました。
「自分の信じるやり方を貫くには、自己評価が一番厳しくなければならない。自分の可能性を広げるには、自分で自分を高いレベルで妥協なく教育するしかない。」
博士も言っています。
「「やる前は無理かもしれないと思っていたけれど、やったらできた」という意外性ほど、脳を活性化させるものはない。」
そう、最初は簡単なことでもいいから自分をほめてあげる。でも、超えるべきハードルが低すぎても、脳は喜びません。次に超えるべきハードルを高くしていくことが、大きなゴールにつながっているのです。
そのために必要なのが、師の力です。授業なら教科担任、部活動なら顧問の先生方の話をしっかりと聞いて理解する。ハードルを超えるための技術をしっかりと伝授してもらうことです。勉強もスポーツも上手になることが楽しむ第一条件。あるスポーツ選手が言っていました。
「遊びも、勉強も、スポーツも、仕事も、真剣にやるから面白い。小さいころ、鬼ごっこに夢中になったでしょ。あれは絶対に鬼になりたくないって真剣にやってたから。そこから、よけ方やつかまらない逃げ方を学んでいく。真剣にやるから上手くなる。上手くなるから面白い。何事も楽しみたかったら上手になればいい。」
日々の授業で、できないと思っていた問題が解けた、ノートをしっかりととれた、恥ずかしがらずに質問できたなど、まずは小さなことでもいいから、脳を喜ばせてあげましょう。部活動では、昨日できなかった技が出来たとき、昨日5点しか取れなかった相手に6点取れたとき(たった1点と言わずに!)、仲間とともに気持ちの入った練習が出来たとき、自分をほめてあげればいい。そして、先生がたのアドバイスを聞いて、勉強も、スポーツも、芸術も、清掃も上手な方法を学んでいく。
そして、次の日また、昨日の自分を越えたときに満足し、次の課題を見つける。あるいは、師が超えるべき課題を与えてくれるでしょう。そうやって自分を高めていき、2年後の自分の可能性を広めていって欲しいと思います。