« 【第218回】 『最近関心・興味のあること』 | メイン | 【第220回】 英語、好き? »

2012年2月 9日 (木)

【第219回】 「四十にして惑わず」中村 ゆかり (国語)

 遊学館高校初任の年、「生徒指導だより」に載せる挨拶文を依頼された。

 『明るいクラス、元気なクラス、落ち着いたクラス…クラスにはそれぞれの雰囲気がある。そしてその雰囲気を作るのは、クラスの生徒一人一人である。みんながステキな顔ならば、素晴らしいクラスになる。そんなクラスを目指して、一人一人が持っている力を発揮しよう。』

といった内容のことを書いた。

 これまで数多くの生徒の「顔」と接してきた。それぞれの生きている毎日が、それぞれの表情に現れてくると日々、実感している。落ち着いた良い表情の生徒は、毎日の学校生活が充実しているのだろう。逆に、元気が無く冴えない表情の生徒は、悩み事があったり、生活習慣が乱れていたりするのであろう。個々人に色々な出来事があるのだろうが、それでも一人の生徒が入学して卒業するまでの3年間、様々な経験を積んで確実に成長を遂げていて、「大人」の顔に近づいていく。学校という場所だからこそ、そうした生徒の成長に関わることができるのである。

 あの時は、まさに生徒に向けて書いた文章だったが、この頃その初任当時の「自分」をふとしたときに、思い返すことがある。毎日多くの生徒の「顔」と接しながら、自分自身の「顔」は成長しているかどうか。孔子の言葉のように「不惑」と胸をはって言えるだろうかと。

 まもなく3年生は卒業の時を迎える。この学舎で生活した日々がそれぞれの「顔」を作ってきたことと思う。この遊学館で送った高校生活で培った経験、自信を胸に更なる飛躍を遂げてほしい。そして20年後、胸をはって「不惑」であると言えるようであってほしいと願う。