【第815回】「2023年の科学」K. K. (理科)
クリスマスも過ぎ, いよいよ今年も残りわずかとなりました。皆さんはいかがお過ごしでしょうか。先生ブログということでどんなことを書こうか迷いましたが, 理科教員ということで2023年の人類の英知の結晶をいくつかご紹介したいと思います。
インドの月着陸船
大国が次々とロケットを飛ばしては墜落させていた傍らで, インドのチャンドラヤーン(直訳で「月の乗り物」)3号は2023年8月に, これまで誰も成し遂げたことがなかった月の南極への着陸を成功させました。7500万ドル(約106億円)という月探査計画としては破格の低予算で月面着陸を達成しました。
アフリカから移動してきた人類
人類がアフリカ発祥であることはよく知られていますが, その研究の多くは古代の化石が頼みの綱でした。しかし, アメリカ・ペンシルバニア大学のサラ・ティシュコフ氏率いる研究チームは2023年10月に, 現代のアフリカ人の遺伝子にわずかに含まれるネアンデルタール人(原始人類の1種で約4万年前に絶滅した)のDNAが, 25万年前にユーラシア大陸のどこかでホモ・サピエンス(現生人類が属する種)の系統に入ったものであることを明らかにしました。
肥満の画期的な治療薬「ウゴービ」
世界では7億3500万人が飢えに苦しんでいる一方, 6億5000万人の成人が肥満やカロリーの過剰摂取の問題を抱えており, すでに太りすぎで死ぬ人が餓死者を上回る事態となっています。そんな中, もともと糖尿病の治療薬であったGLP-1受容体作動薬の「ウゴービ(Wegovy)」が2023年に肥満治療薬として承認されました。ウゴービの臨床試験では, 参加者が体重を15 %落とせたことが確認されたとのこと。
興味・関心があればぜひ詳しく調べてみてください。そして理科に興味をもってくださると幸いです。
寒さが厳しい年越しとなりそうですが, お体ご自愛ください。