【第801回】「挨拶再考〜最高!」渡辺 祐徳 (英語)
朝,校門に立っていると,たくさんの生徒と挨拶をします.
家庭や部活動で身についたのでしょうか,ほとんどが「おはようございます」と言ったり,会釈をしてくれます.
もちろん中には,何か考え事をしていたり,眠そうな生徒もいたりしますが…
挨拶がしっかりとできる高校生は偉いと思います.
私自身,挨拶の意味に気づいたのは大学生になってからでした.
アメリカ留学をしていた頃に驚くことがあったのです.
遅くまで図書館で調べものをして寮に帰る途中など,学生どうしがすれ違うときのことです.
そんなときは決まって,知らないどうしでも挨拶をし合っていたのです.
“What’s up?” “Not much.” (「何か変わったことは?」「特にない」)
もちろん夜道の安全確認が主な目的ですが,お互いに励まし合っているようで,温かい気持ちになれました.
この経験から,それまでなんとなく挨拶をしたりしなかったりしていたことを反省し,挨拶に対する意識を持てるようになりました.
卒業後,会社勤めをして社員研修というものをたくさん受けました.
挨拶や自己紹介,お客様との接し方にとどまらず,多くのことを学びました.
社内には「おはようございます」とオフィスに入ると,自然と振り向いて同じ言葉を返す雰囲気がありました.
「これが社会人というものなんだ」と勝手に感動していたのを覚えています.
実際,一人でも商談の際に挨拶ができないと,会社や店の印象が悪くなり,売り上げが落ち込むことがあります.挨拶には,それほど重要な面もあるのです.
厳しい言い方をすれば,会社にマイナスになる人に費用をかけて雇い続けるほど,甘くはありません.
「おはよう」の挨拶をしない生徒については,私は特に気になりません.
友達とのおしゃべりに夢中になっているか,朝の時間帯に急いでいるからなのかも知れません.
もしくはかつての私のように,挨拶に対する意識が育つのが,まだこれからなのかも知れません.
でも友達どうしや先生に対してでも,何気ない挨拶があると,お互いの関係がスムーズに行くきっかけになるのではないでしょうか.
高校生の皆さんに,一つの提案をします.学生時代を,社会に出る前の準備期間ととらえましょう.
確かに大人にも「おはよう」と言えない人々が存在します。
しかし皆さんは,毎日の学校生活や周囲との関わりの中で,挨拶だけでなく,人との接し方について学ぶ絶好の機会にいます。
コミュニケーションが上手な人には,自分からよく発言する人,相手の話をよく聞いて言葉を添える人など様々なタイプがいると思います.
学生のうちに自分の得意なコミュニケーション方法が見つけられるといいですね.
挨拶は最も簡単に会話のきっかけを作り,他人との関係を築くのに大いに役立つでしょう.
ぜひ挨拶を習慣化してください.
一日を朝の「おはよう」から気持ちよくスタートしましょう.
きっといい日になるでしょう!