【第700回】 「アスリートの気持ち」H. H. (芸術)
この夏、賛否両論の中、東京オリンピック、パラリンピックが開催されました。始まればきっとTV、ラジオに釘付けになるであろう、、、案の定、家のBGMはオリンピック一色に。私自身、8月末の展覧会に向けてアトリエに籠る日々ですが、耳はその動向を気にしながらの制作でした。
この一年半、各種いろんな大会やイベント等が中止延期に追い込まれ、私共の美術活動も大きく影響を受けました。作品の搬入審査も終え、翌日から開催というところで美術館が閉館。そのような事態が2年連続して起こりました。もう誰のせいでも無いのですが、一年間掛けて準備した作品が東京の国立新美術館で日の目を見ることなく、自宅に帰って来るのです。中止延期の連絡がまた来るかもしれない、それでも作品は作り続ける、休む事なく作り続けなければなりません。先の日程が決まればいつでもそこに作品が用意出来る様にです。厚かましいですが、アスリート達もきっと同じ思いなのだろうと、自身と重ね合わせて。そうすると一段と胸が熱くなり、ひとりで気持ちを盛り上げてました。自分を鼓舞するみたいに、です。
スポーツも絵画芸術活動も、それを披露して発揮する場所や機会がなければ前に進めません。多くの人に触れたり観てもらう事で、人々に勇気や感動を与え、人生の励みになるなど、社会に及ぼす影響力も大きいはずです。そうあるべきだと願っております。こんなご時世だからこそ、それらに携わっている私達は、微力ながらその大切さをお伝え出来れば、と思っています。
コロナ以降、久しぶりに忘れていた気持ちを思い出しました。悔しがったり喜んだりと。目標や夢に向かって、人生を掛けて頑張ってきた姿に心が揺さぶられてしまいました。彼等の姿が、コロナ禍で多くの方の命を支えている医療従事者や、先の見えない困難に不安を持つ全世界の人々にとって少しでも励みになっている、と願いたいです。私自身も多いに励まされたひとりです。困難を乗り越え、そこに立ち向かった末に学んだことは、全てのアスリートが語った、お世話になった沢山の人への「感謝」という思い。この先の人生において、一番の宝物を得たのかもしれない彼等は幸せだなぁと思いました。そんなアスリートから、私も沢山のことを学ばせていただきました。季節はもう晩秋。私も絵筆を止める事なく、この先何が待ち受けてようとも、目標に向ってコツコツと前に進むのみ!です。