【第685回】 「初勝利おめでとう」T. Y. (英語)
昨年5月、コロナによる休校中に、夏の甲子園とすべての県予選中止というニュースを自宅で聞いていました。つい少し前まで高校球児の保護者だった私にとって、そのニュースは他人事とは思えず、野球部の3年生や保護者にとってこんなに受け入れがたい現実はないだろうと胸が痛みました。野球だけではなく他の競技の総体や文化部のコンクールもすべて中止となり、部活をがんばっている3年生の顔を思い浮かべながら、もうすぐ休校が明けたら学校でどんな言葉をかけたらいいのかと悩んでしまいました。「このような経験こそが将来の糧になる」とか「次の目標に向かってがんばれ」というのは違うと思いました。3年生の時の一番大きな大会は一生に一回の特別なもの。大人の私でさえ経験したことのない将来の見通しの立たない状況を、生徒のみんなはどう乗り越えるのか、とても心配でした。
そして6月から再開された対面授業。全員がマスクをして表情もよく分からない中、しばらくはお互い緊張していましたが、クラス全員が顔をそろえるようになり、みんなが少しずつ前を向くようになっていくのが分かりました。野球の代替大会は本校の野球部キャプテンの立派な選手宣誓で幕を開け、試合で活躍した選手が学校で嬉しそうに試合結果を報告してくれました。吹奏楽部やバトン部も限られた場で素晴らしい演技を披露してくれましたし、サッカー部の選手権でもたくさんいいシーンを見せてもらいました。また、部活だけではなく進路実現や勉強に積極的に取り組む生徒がいつもより多い気がしました。オープンキャンパスが中止になったり、面接がオンラインになったり、新しい方式への対応を迫られ戸惑う中でも、一般入試をあきらめずに遅くまで勉強したり、合格が決まった後でも大学で必要だからと補習に参加する姿が見られました。こんな状況だからこそ、今まで普通にやっていたことが実は当たり前にできることではなかったんだと自覚し、周りに感謝して行動できていたのではないでしょうか。休校中に私が心配したことはなんだったんだろう。合格報告を聞きながら、コロナ禍に飲み込まれることなくしっかり進み続ける3年生を誇りに思いました。
先日はそんな卒業生の一人の活躍を見ることができました。石川ミリオンスターズに入団した野球部OBの髙田投手、初勝利おめでとうございます!初回に先制されながら粘り強く味方の反撃を待ち、最後は三振で締めくくるというナイスピッチング、無駄な四球を出さずに試合を作れたのは立派でした。きっと同級生や後輩たちの励みになるでしょう。
今年は無事に総体総文が終わり、本当によかったですね。北信越出場が決定し、さらに上を目指して頑張っている選手の皆さん、このチャンスを逃さずがんばってください!まだ不透明な状況は続きますが、学校行事も少しずつ開催されるようになり、去年よりは格段に活躍できるチャンスが広がっています。今年の3年生がどのように未来を切り開いていくか、みなさんの勉強や進路実現のお手伝いができるのを楽しみにしています。