【第606回】 『ありがとう』S. Y. (保健体育)
私にとって初めての高校サッカー選手権大会は、延長PKで鵬学園高校に敗戦し幕を閉じた。サッカー部の顧問になり、監督が代わり新チームになって1年目での挑戦。
PK戦が行われる中ベンチでは全選手、全スタッフが肩を組みピッチ内の選手に声をかけながらコートを見つめていた。
この張りつめた緊張感の中、周りを見てみると全員が「笑顔」なのだ。
この会場にいる選手、スタッフ、応援してくださる皆様、すべての人がこのPKを楽しんでいるように見えた。
必ず試合終了の笛が鳴るころには、勝敗は決まってしまう。
結果、私たちは負けた。
「悔しい」「もっとなにかできたのでは」いろんな気持ちが心をよぎる中、
選手たちは抱き合いながら「最高だったな ほんとありがとう」と。
私はサッカーに携わって21年目になる。
この瞬間をいつまでも忘れることはできない。