【第595回】 「抱きしめたい」K. M. (英語)
私には忘れられない曲が一つあります。それはビートルズの”I want to hold your hand”という曲です。なぜかというと、この曲が今の私を作るきっかけになったからです。
私には姉と兄がいるのですが、この2人の影響で私は小学生のころから日本のロックを聴いていました。特に私が好きだったのはBOØWYや氷室京介で、中学生のころには氷室京介のCDのほとんどを持っていました。が、ある日偶然幼なじみの家にある1枚のCDに目が留まりました。それがビートルズでした。そのジャケットの中にまさに私の理想の顔を持つ人がいました。それがポール・マッカートニー。早速私はそのCDを借りて聴いたのですが、聴いてびっくり。それまで聴いていた音楽よりもはるかにかっこいい!!!特に”I want to hold your hand”には衝撃を受けました。衝撃的過ぎてしばらくぼんやりするくらいでした。こんなかっこいい音楽を作り、なおかつ私の理想の顔を持つポール・マッカートニー。敬愛せずにはいられませんでした。彼の話す言語を話せるようになりたい、そしていずれはポールと結婚したいと真剣に思うようになりました。
私はこの日から氷室京介と別れを告げてビートルズまっしぐらの生活を始めました。まずはおこづかいを貯めてできるだけたくさんのCDを買い、歌詞の中に知らない単語があれば辞書で引き、ノートにまとめました。もちろん歌詞も暗記しました。ポール・マッカートニーの誕生日の6月18日にはイギリス時間の午前0時に合わせて、クラスメイトを巻き込んでポールに向けてハッピーバースデーの歌を大声で歌ったこともあります。(確か学校で国語の授業中だったと思います。先生ごめんなさい。)
高校に入ると、地元京都では英語教育で有名な「T岡塾」という塾に通い、毎日英語三昧。塾が終わるのが遅くて、終電のぎりぎりの電車に乗って帰宅することもざらにありました。熱心に英語だけを勉強した結果、数学の偏差値は「35」でしたが・・・。
大学生になってもポールへのあこがれはあったので、イギリスに行き、かの有名なアビーロードスタジオ近くの語学学校に入学し、アビーロードで写真も撮りました。
そんなこんなをしているうちに、気がつけば大学院で言語学を研究し、英語の教師になっていました。
今思えば、中学生の頃の私はちょっと変な子だったかもしれません。けれど、あの一曲に出会ったおかげで、英語を好きになっただけではなく、何か一つのことに熱中して続けることの大切さを学んだように思います。
みなさんは今、好きなことは何ですか。何に熱中していますか?それが将来の仕事につながるかもしれませんし、もしそうなったとしたらとっても幸せなことですよね。