【第561回】 「好奇心」深代 真一 (数学)
私事ですが、昨年第一子が誕生し子育ての大変さを実感している毎日です。お腹がすいたら泣いて、オムツを替えてほしくて泣いて、抱っこしてほしくて泣いて…。言葉に出来ないので、全力でアピールをしてきます。伝えたい想いがあって、それを何とかして分かってもらおうとする所は大人と同じですね。
さて、赤ちゃんという生き物はどんなものにも興味を示します。毛布、お箸、雑誌、新聞、音が出るおもちゃ、昔話、童謡、葉っぱ、パーカーの紐など目に見えたもの、耳に聞こえたもの、手で触ったものすべてが気になるようです。すべてのものが新鮮で、機嫌が悪いときを除いて、目を輝かせて毎日を過ごしています。
大人になるにつれて、いろいろなことを教えられます。自分にとって興味のあることだけでなく、一見無意味に思われるようなことまで。その教育の過程の中で、「これは自分には関係ない」「これは自分にはできないからやらない」と自分で世界を狭めている状況を時折目にします。自分の見える範囲、出来る範囲の世界しか知らなくて本当にいいのかと、とても残念で仕方がありません。すでに時代はSNSの発達により、全世界とのつながりを持つような仕組みになっています。彼らが想像しているよりも世界は広がっているのです。“目に見える範囲”に興味のあることが無いのかもしれない、“今知っている範囲”に面白いものが無いのかもしれない。広い世界のどこかには、彼らを魅了する何かがきっとあるのだと思います。知らずして諦めるなど、とてももったいないですね。
赤ちゃんのときは新しいものを周りの人から提供され、どんどん世界が広がっていきます。それがとても楽しいのでしょう。あの頃の感覚を思い出すことは不可能です。しかし、想像してみてください。知らなかったことを学び、出来ることが一つずつ増えていくあの喜びを。きっとワクワクしてくるはずです。世界がいままでとはまったく違うものに感じるはずです。新しい一年が始まります。学び多き年になることを願っています。