【第387回】 分かれ道川北 将人 (主事)
人生には多くの分かれ道があります。
例えば、あの時他の全てを捨てて、1つのことをがんばり抜く決心と努力をしたから、今、充実した日々を過ごしている。といった大きな分かれ道もあれば、メリハリのない日々を何となく過ごしていたら、行き詰まってしまった。といった小さな分かれ道の連続の場合もあると思います。
私もこれまで多くの分かれ道の選択をしてきました。例えば大学受験では、心身ともに限界近くまで追い込んで努力し、成果を出したからこそ「やればできる」という自分を信じる心を持てるようになりましたし、その後の人生の選択の幅も広がりました。
だからどの別れ道を選ぶかで、その後の人生は大きく変わると言えます。
そしてみなさんがこれから迎える大きな分かれ道に進学、就職といったものがあります。この分かれ道はみんなに平等にやって来ます。選択の期日も決まっています。でしたら、その選択の時に向けてしっかりと準備しないといけませんね。
ではそんな大切な分かれ道の選択ですが、みなさんはどうやって決めますか?
今の自分の興味や能力から判断して決めますか?それともある程度先のやりたいことを基準にして決めますか?
実は進学や就職などについての考え方の手順はアメリカで研究され、モデルができあがっています。そしてその選択の手助けをする職業としてキャリアカウンセラーというものがあります。キャリアカウンセリングに興味があった私は2年前にカウンセラーの資格を取得しました。カウンセリングではその人の興味、能力、価値観を明確にしていきます。これらは進学、就職等の選択において重要な判断基準となります。
なぜ重要なのかというと、仕事は自分の興味、能力、価値観を表現するものであれば充実感を得られます。逆に興味もない、自分の能力や価値観とも合っていない仕事では退屈で無意味なものになってしまいます。だから重要なのです。進学の選択においてもこの3つを明確にすることは大切です。なぜなら進学は就職という目的を達成するための手段ですので、入学が楽だからと適当に進学しては後々大きく後悔することになるからです。進学を考える際はその先の仕事についてもある程度の方向性を見つけ出しておく必要があります。
人は人生の中で色々な役割を果たします。子ども、親、学生、職業人、趣味を楽しむ人、市民などが代表的です。仕事が人生の全てではありません。他の役割で自分の興味、能力、価値観を満たすこともできます。ですが仕事は人生の大切な役割の1つですし、生きていく上で必ず果たさなければならない役割です。どうせやらなければならない役割なんでしたら、充実している方が良いですね。
ではみなさんが今後の進路について考える際の手順をお示しします。
(1)今、進路選択が必要なことを自覚する。
(2)自分の興味、能力、価値観を明確にする。
(3)仕事の方向性を特定する。
(4)選択肢に関する情報を収集して、選択する。
(5)選択した職業に就くための教育を受ける。
人は必要性を感じない限り、何か新しい行動をおこそうとはしないと言われています。ですので、なぜ今進路選択をする必要があるのかを自分が置かれている状況や今後の人生の予測から考えてみましょう。
そして自覚できたら、次はスタートとゴールを明確にする作業です。スタートとは今の自分のことです。ゴールとは将来自分がなりたい職業人としての理想像です。
自分の興味や価値観について知る方法は色々とありますが、すぐにできる「ライフラインチャート」をオススメします。
ライフラインチャートとは、以下の図のように自分の過去の出来事に点数をつけて、出来事を線でつないで作成するものです。手順としてはまず自分史を書き出します。内容は印象に残っているものであれば何でも良いです。例えば、成功体験、失敗体験、生活環境の変化、影響を受けた人、本などです。そしてそれぞれの体験に満足感についての点数をつけ、点を線で結びます。次に、出来上がった山や谷のポイントについて、自分はなぜこの時満足感が高かったのか、低かったのかについて理由を見つけ出します。そして高かった時の理由を見比べてみて共通する興味、価値観がないか探します。低い時も同じように行います。このようにして、あなたが持っている興味と価値観を明確にします。
そして仕事を調べる手段としては、WEBサイトの「13歳のハローワーク」や「リクナビ進学」がオススメです。これらのWEBサイトでは色んな仕事の魅力などについて知ることができます。
以上のことを通してスタートとゴールを明確にできたなら、あとはゴールに向けて努力するだけです。ゴールするために必要な手段を選び、行動しましょう。大学進学が必要なら大学へ、就職して実践的技能を磨く必要があるなら就職しましょう。
まだまだお伝えしたいことはありますが、すでにかなり長くなってしまっていますので今回はここまでで失礼します。 みなさんが充実した人生を歩まれることを願っています。