【第232回】 「風薫る」M. M. (国語)
遊学館は金沢の都心にあるのに、この学校へ行くと、私はいつも豊かな森の中にいる思いがします。
ましてこの五月は新緑が匂い立って、風薫るという言葉がぴったりのいい季節です。私は国語を担当していますから、いつもありきたりの言葉を使わないようにしていますが、時にはそのありきたりの言葉でないと表現できないことがあります。
この季節の遊学館がそうです。この学校は建学以来百余年ですが、今このあたりを吹き渡っている風は、千年の昔から吹いている五月の風、まさに匂い立つ五月の風ですね。
この学び舎で青春のひとときを過ごす生徒たちも、教師の私たちも、その風の中にいる。そう思うと、ふと悠久を感じます。