【第100回】天国と地獄向江 大輔 (地歴・公民)
むかし、むかし、天国と地獄の両方に行った事がある人のお話。
ある人が地獄に行きました。地獄には、綺麗な花が咲き、水が流れ、それはそれは美しい場所でした。
ある人が、地獄の道をさらに進んでいくと大きな建物が見えてきました。
その建物の中には地獄の亡者たちがたくさんいました。
その時、大きな鐘の音が『ガラーン・ゴローン』と鳴り響き、地獄の亡者たちが大きなテーブルの周りに座り始めました。そして、テーブルの上にはたくさんのおいしそうな料理が運ばれてきました。
どうやら食事の時間のようです。
さらに、よく見ると地獄の亡者たちの手には
自分の腕よりも長い箸を手に縛り付けられていました。
さて、いよいよ食事のスタートです。
地獄の亡者たちは我先にと食べ物をつまみ、自分の口元へ運ぼうとしますが箸が長すぎて食べられません。そうこうしている間に食事終了の合図がなり、テーブルの上にあった美味しそうな料理はグチャグチャに飛び散りひどい有様でした。しかも地獄の亡者たちは一口も食べられないまま食事の時間が終わってしまいました。(よく見ると地獄の亡者たちの体型は痩せてガリガリでした。)
次にある人は、天国に行きました。
天国も地獄と同じでそれはそれは美しいところでした。
ある人が天国の道を進んでいくと地獄にあった建物と同じ建物が見えてきました。中に入ると、ちょうど『ガラーン・ゴローン』と大きな鐘が鳴り響き、どうやら天国でも食事の時間のようです。
地獄と同じように大きなテーブルの周りに天国の住人たちが座り、たくさんのおいしそうな料理が運ばれてきました。もちろん天国の住人たちにも自分の腕より長い箸が手に縛り付けられています。
さて、いよいよ天国でも食事がスタートしました。
ですが、天国の住人たちはみんな美味しそうに料理を食べています。
さて?どうやって天国の住人たちは料理を食べることができたのでしょうか??
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答えは簡単ですね。そうです。
天国の住人たちは長い箸で自分の向こう側の相手に食べさせてあげていたのです。そして、天国の住人たちはおいしい料理をお腹いっぱい食べることができました。
天国も地獄も実は同じ場所。
ただ違うのは、思いやりや与える心、
わかち合う心があるかないか。これが天国か地獄かの分かれ道。
クラス内や部活内・自転車で道路を走っているとき、公共の施設や乗り物を利用したとき、どこかのお店に入ったときなどなど、自分の身近なところに当てはめてみて下さい。
地獄は、一瞬で天国に変わります。