2025年3月 6日 (木)

【第877回】「「家庭科」を学ぶ意義はどこにあるのか」I. M. (家庭)

家庭科は大きく3つの分野で成り立っています。
1つ目は家族、家庭、保育といった、ヒトに関すること。
2つ目は衣食住の生活で、調理や栄養 裁縫、洗濯、掃除などのモノに関すること。
3つ目は消費・経済生活と環境などのおカネに関わる内容です。
学ぶことがたくさんあるのは、私たちの生活は、さまざまなことが絡み合って成り立っているからです。家庭科はそういう意味で、自分の実生活に寄り添った教科と言えます。家族が料理する余裕もないとき、家庭科で学んだ一番だしが取れれば、煮物にも、みそ汁にも、お正月のお節料理だって作ることができます。ボタンが取れたときに自分でつけることができるのも家庭科で裁縫を学んだからです。
生活に関わる基礎知識があれば、自活したときに役に立ちます。

冬に美味しくなる野菜は何なのか? のどが痛い時にはどんな食事をしたらいいのか?
高齢になった家族が生きがいを持って暮らすためにどのような行政の仕組みがあるのか?
汚れてしまった衣服をどのようにキレイに洗濯するか?赤ちゃんの抱っこのしかたは?
クレジットカードの使い方や詐欺にあってしまった時の対処のしかたは?

高校を卒業後、一人暮らしを始める人も多いでしょう。
食事を作るとき、洗濯をするとき、掃除をするとき、買い物をするとき・・・
自分らしい、丁寧で健康的な生活ができますように。
家庭科の授業で学んだことが、皆さんの将来の実生活に少しでも役立てば、本当に嬉しく思います。

2025年2月27日 (木)

【第876回】「2024年度遊学館高等学校卒業生の皆さんへ」飯田 小次郎 (地歴・公民)

 現在我々日本人が直面している社会課題とはどのようなものがあるか考えてみてください。授業内で教わったこともあると思います。
 卒業生の皆さん、日本の未来をつくるのは皆さんです。課題を自ら見つけ、解決をしていく。自分一人で解決できない課題はどうするか。社会を未来を変えるためにはどうすれば良いのか。
 考えてください。より良い皆さんの未来のためにも。
 私も考え、行動していきます。

 卒業おめでとう。

 3年間ありがとう。

20250227

2025年2月20日 (木)

【第875回】「ウイッシュリスト」A. K. (理科)

 2年前の年末,ある雑誌に「1年のはじめにウイッシュリストを100個作って,1年かけて達成したものから1個ずつしるしをつけていくと1年が充実する」という記事を見つけた。
 ウイッシュリスト作りとは,文字通り「こうしたい」「こうなりたい」「これが欲しい」など,自分の願望をリストアップすることである。やってみようと思い立ち,初めてやってみた昨年は,リスト作りでまず躓いた。30個ほどはすぐに思いついたが100個という数に圧倒され,リスト作りをするだけで2月が終わっていった。90個を超えたころには,「○×(業者名)のお菓子を今年こそ手に入れて食べる」とか「いくらを食べる」とか,食べることばかりになった。
 そして年末を迎え,リストを改めて見てみたら,達成できたことはせいぜい30個ほどだった。「これが欲しい」「これが食べたい」は,ほぼ達成できたが「これをやりたい」「こうしたい」はほとんど手付かずに終わっていたことが分かった。
 今年は,100個のウイッシュリストのうち昨年からの持越しが70個ほどあるので,リスト作りは楽に終えた。あとは,着々と達成していくだけである。
 すでに欲しいものと食べたいものは数個達成した。よし,この調子で,今年こそ物置部屋を片付けるぞ!でも,今はまだ寒いから暖かくなってから…とか言っているうちにまた1年が終わってしまいそうだ。

2025年2月13日 (木)

【第874回】「考え方と捉え方」A. K. (保健体育)

 考え方と捉え方の違いが、人生を変える。人生の中で、私たちは常にさまざまな出来事に直面しています。生徒の皆さんもそうですよね。仕事、学校、人間関係、目標に向けた挑戦—どんな状況にあっても、自分の「考え方」と「捉え方」によって、その結果は大きく変わります。では、この二つの違いは何なのでしょうか?そして、どのように活用すれば人生がより良くなるのでしょうか?

1. 考え方とは?
 まず、考え方について考えてみましょう。考え方は、物事に対する自分の思考の「枠組み」や「視点」です。何かを考えるとき、私たちは無意識のうちに自分の価値観や過去の経験を元にして思考します。この枠組みがポジティブであれば、問題に直面したときでも、解決策を見つけやすくなり、成長につながりやすくなります。
例えば、失敗をしたときに「自分はダメだ」と考えるのか、「これは学びのチャンスだ」と考えるのか。後者のように、失敗を学びの一部と捉えることができるかどうかで、次に進む力が大きく変わります。考え方をポジティブに保つことが、結果として自分の人生に大きな影響を与えるのです。

2. 捉え方とは?
 次に、捉え方についてです。「捉え方」は、物事に対して自分がどのように「意味を見出すか」、または「感じるか」に関わっています。簡単に言うと、出来事そのものには大きな違いがなくても、どう「解釈するか」によって、感情や行動が大きく変わるということです。
例えば、同じ出来事でも人によって「悲劇」と捉える人もいれば、「成長のチャンス」と捉える人もいます。どちらもその出来事に対する「捉え方」の違いです。そして、この捉え方をうまく調整することで、ポジティブな結果を引き寄せることができるのです。

3. 考え方と捉え方の関係
 考え方と捉え方は、切っても切れない関係にあります。考え方が根本的な枠組みを作り、その枠組みに基づいて物事をどう捉えるかで決まります。ポジティブな考え方を持っている人は、逆境や困難な状況でも、それを「挑戦」として捉え、解決策を見出しやすくなります。例えば、進学、引っ越しなど、大きな変化に直面したとき、その変化に対して「不安だ」「怖い」と思うこともあるでしょう。しかし、「新しい挑戦ができる」「新しい経験が得られる」と捉えれば、その状況に対する感じ方や行動が大きく変わります。このように、ポジティブな考え方を持っていると、「捉え方」も自然と前向きな方向にシフトし、結果的に人生をより豊かにしていきます。

4. 最後に:自分の考え方を変えることで、世界が変わる
 考え方と捉え方があなたの人生に与える影響は計り知れません。もし今、悩んでいることや困難な状況があったとしても、その状況をどう捉えるか、どう考えるかで、あなたの人生の方向は大きく変わります。
 ポジティブな考え方と捉え方を身につけることで、困難な状況でも前向きに進むことができ、より多くのチャンスを掴むことができます。自分の思考を変えることで、あなたが見ている世界が変わり、未来が明るくなるのではないでしょうか。

2025年2月 6日 (木)

【第873回】「時代の振り子」渡辺 祐徳 (英語)

「時代の振り子」という言葉を聞いたことがありますか。世の中の流行や価値観は時代によって大きく変化します。かつては常識だったことが、時が経つにつれて古くなり、全く逆の考え方が主流になることがあります。まるで振り子が左右に大きく揺れるように、世の中の風潮も極端から極端へと変化していく。この現象を「時代の振り子」と呼びます。

例えば、現代社会ではインターネットの発達により、若い世代が上の世代に対して批判的な意見を持つことが目立ちます。「昭和の考え方は古い」「年長者の言うことは聞く必要がない」といった意見を目にする機会も少なくないかもしれません。中には、年配の方々を「老害」と呼ぶような心無い言葉を使う人もいます。

しかし、少し立ち止まって考えてみましょう。今、若い人たちも、いずれは年を取ります。その時、今の自分たちの言動がどのように評価されるでしょうか?自分が若い頃に批判していた世代と同じ立場になった時、初めて当時の人々の気持ちや状況を理解できるのかもしれません。今は令和の時代ですが、平成の考え方ですら過去のものとなりつつあります。時の流れの中で、価値観や常識は変化していくのです。そして、世の中は過去の姿に完全に逆戻りするわけではありませんが、極端な状態からバランスを取り戻し、より理性的な中庸な状態へと向かうのではないでしょうか。

近年マスコミは高齢者の交通事故を頻繁に取り上げ、若い世代を中心に「高齢者から運転免許を剥奪すべきだ」という意見も出ています。もちろん、高齢者の運転による事故は深刻な問題であり、対策が必要なのは事実です。しかし、客観的なデータを見てみると、交通事故を起こしている割合が最も高いのは、実は19歳から24歳の若者なのです。さらに、最近では高校生や主婦を含む自転車による逆走や事故も大きな問題となっています。この現実に目を向ければ、「高齢者だけが危険だ」という一面的な見方がいかに偏っているかに気づくはずです。そして、若い世代の人たちも、安全運転を心がけなければならないという意識が生まれてくるでしょう。

また近年では、「パワハラ」や「セクハラ」と言う言葉を、本来の意味を越えて安易に使い、「モラハラ」「マタハラ」「スメハラ」など日本独自の言葉を作り出してまで、他人の言動を過度に制限し、人間関係がぎくしゃくすることがあります。
しかし単に自分が嫌だと思う他人の言動をハラスメントと決めつけるのではなく、言葉の定義を正しく理解するように「時代の振り子」が振れれば、客観的な視点でお互いの人格を尊重し合うことができるでしょう。(もちろん相手の言動が常識の範囲を超えていないことが前提ですが。)

このように、世の中の考え方は、まるで振り子のように極端から極端へと揺れ動きます。大切なのは、その時々の表面的な情報や流行に流されず、物事を多角的に見ることです。一つの側面だけを見て判断してしまうと、本質を見誤ってしまう可能性があります。

なぜこのような「振り子」現象が起こるのでしょうか?それは、人間の思考や行動が、常に理性的な判断に基づいているとは限らないからです。感情や時代の空気、集団心理などに影響され、極端な方向に偏ってしまうことがあります。しかし、時間が経ち、状況が変わるにつれて、その偏りに気づき、反省し、修正しようとする力が働きます。その結果、振り子は反対方向へと揺れ動き、最終的にはよりバランスの取れた状態へと落ち着いていくのです。

この「時代の振り子」の考え方を理解することは、私たちがより良い判断を下すために非常に重要です。物事を一面だけで見ていては、真実を見失い、誤った結論に至ってしまう可能性があります。例えば、歴史を学ぶことは、過去の出来事を通して時代の流れや人々の考え方の変化を理解するのに役立ちます。過去の過ちから学び、同じ間違いを繰り返さないようにするためにも、歴史を学ぶことは重要なのです。

また、様々な分野の書籍を読んだり、異なる意見を持つ人々と積極的に議論を交わしたりすることも、視野を広げる上で非常に有効です。自分の考えと異なる意見に耳を傾けることで、自分の考え方の偏りに気づき、より客観的な視点を持つことができるようになります。インターネットやSNSは情報収集に便利なツールですが、情報が偏っている可能性もあるため、鵜呑みにせず、批判的に吟味する姿勢も大切です。

情報が溢れる現代社会において、物事を一面だけで判断してしまうのは簡単です。しかし、それでは本質を見失い、誤った判断をしてしまうかもしれません。高校生の皆さんには、ぜひ広い視野を持って物事を捉え、多角的な視点から判断する力を養ってほしいと思います。そのためには、日々の勉強を大切にし、様々なことに興味を持ち、積極的に学ぶ姿勢が重要です。教科書だけでなく、新聞やニュース、ドキュメンタリー番組など、様々な情報源に触れることで、視野は大きく広がります。

そして、何よりも大切なのは、自分の頭で考え、疑問を持つことです。「なぜそうなるのか?」「本当にそうなのか?」と問い続けることで、物事の本質に迫ることができます。

皆さんが、広い視野と柔軟な思考力を持った大人へと成長していくことを心から願っています。