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2022年12月22日 (木)

【第762回】「新しい挑戦をしよう」T. Y. (英語)

 日本中が熱狂したサッカーのワールドカップも終わり、もうすぐ新しい年を迎えます。私はサッカーも見ますが、今年一番楽しませてくれたのは大リーグで二刀流で活躍する大谷翔平選手です。毎朝大谷選手の試合結果をチェックするのが日課でした。来年のWBCも楽しみでしかたありません。
 私も今年は二刀流に挑戦しました。今まで遊学館高校では英語を担当していましたが、今年度は情報も教えています。私が高校生の頃は「情報」という科目がまだなく、家にはパソコンもスマホもない時代でした。情報化がもたらした生活の変化やコミュニケーション手段の発達について教えるたびに、「私が高校生の頃は友達と待ち合わせするときは家に電話して約束するしかなかった」とか、「集合写真をみんなでシェアするときはまずフィルムを現像して写真を焼き増しして、遠くに住んでいる友達だったら郵送しなければいけなかった」と昔話をたくさんしてきました。今ではほとんどの人がスマホを持っていますから、待ち合わせする前から友達の居場所がGPSでわかったりしますし、集合写真なんてスマホで撮ってSNSを使えば一瞬で全員に送れますよね。ほんの数十年しか経っていないというのに、私たちの生活は本当に大きく変わったと気づかされます。
 ところで、今年から新しくなった「情報Ⅰ」ではPythonという言語を使ってプログラミングを学習します。プログラミングを教えるのは初めてで、私にとっては試行錯誤をしながらの挑戦でした。プログラミングの学習に入ったとたんに英単語や演算子がたくさん出てきてびっくりした人がたくさんいたのではないでしょうか。2学期期末考査の後では「難しくて全然できなかった」という声が多かった一方、「前から興味があった」とか「将来プログラミングの仕事をしたい」という声もあり、とてもうれしく思いました。プログラミングを学ぶのはプログラミング言語を覚えることが目的なのではなく、自分の目の前にある問題をどうやって解決していくか考える力を身につけることが大切なのです。Pythonの見た目の難しさに負けずに「考えること」に挑戦してほしい。高校生のみなさんが今の私の年齢になる頃には、きっと現在はまだ想像ができないほど生活にいろんな変化が起こっていることでしょう。その時代の変化に対応できる「考える力」「生きる力」を身につけて高校を卒業してほしいと思いながら授業をしています。また来年プログラミングを教えることがあれば、今年よりもっと楽しく興味が持てる授業をすることに挑戦したいと思っています。
 みなさんも新しい年を迎えたらなにか新しい挑戦をしてみませんか。

2021年6月17日 (木)

【第685回】 「初勝利おめでとう」T. Y. (英語)

 昨年5月、コロナによる休校中に、夏の甲子園とすべての県予選中止というニュースを自宅で聞いていました。つい少し前まで高校球児の保護者だった私にとって、そのニュースは他人事とは思えず、野球部の3年生や保護者にとってこんなに受け入れがたい現実はないだろうと胸が痛みました。野球だけではなく他の競技の総体や文化部のコンクールもすべて中止となり、部活をがんばっている3年生の顔を思い浮かべながら、もうすぐ休校が明けたら学校でどんな言葉をかけたらいいのかと悩んでしまいました。「このような経験こそが将来の糧になる」とか「次の目標に向かってがんばれ」というのは違うと思いました。3年生の時の一番大きな大会は一生に一回の特別なもの。大人の私でさえ経験したことのない将来の見通しの立たない状況を、生徒のみんなはどう乗り越えるのか、とても心配でした。
 そして6月から再開された対面授業。全員がマスクをして表情もよく分からない中、しばらくはお互い緊張していましたが、クラス全員が顔をそろえるようになり、みんなが少しずつ前を向くようになっていくのが分かりました。野球の代替大会は本校の野球部キャプテンの立派な選手宣誓で幕を開け、試合で活躍した選手が学校で嬉しそうに試合結果を報告してくれました。吹奏楽部やバトン部も限られた場で素晴らしい演技を披露してくれましたし、サッカー部の選手権でもたくさんいいシーンを見せてもらいました。また、部活だけではなく進路実現や勉強に積極的に取り組む生徒がいつもより多い気がしました。オープンキャンパスが中止になったり、面接がオンラインになったり、新しい方式への対応を迫られ戸惑う中でも、一般入試をあきらめずに遅くまで勉強したり、合格が決まった後でも大学で必要だからと補習に参加する姿が見られました。こんな状況だからこそ、今まで普通にやっていたことが実は当たり前にできることではなかったんだと自覚し、周りに感謝して行動できていたのではないでしょうか。休校中に私が心配したことはなんだったんだろう。合格報告を聞きながら、コロナ禍に飲み込まれることなくしっかり進み続ける3年生を誇りに思いました。
 先日はそんな卒業生の一人の活躍を見ることができました。石川ミリオンスターズに入団した野球部OBの髙田投手、初勝利おめでとうございます!初回に先制されながら粘り強く味方の反撃を待ち、最後は三振で締めくくるというナイスピッチング、無駄な四球を出さずに試合を作れたのは立派でした。きっと同級生や後輩たちの励みになるでしょう。
 今年は無事に総体総文が終わり、本当によかったですね。北信越出場が決定し、さらに上を目指して頑張っている選手の皆さん、このチャンスを逃さずがんばってください!まだ不透明な状況は続きますが、学校行事も少しずつ開催されるようになり、去年よりは格段に活躍できるチャンスが広がっています。今年の3年生がどのように未来を切り開いていくか、みなさんの勉強や進路実現のお手伝いができるのを楽しみにしています。

2020年1月30日 (木)

【第613回】 「笑顔の集大成」T. Y. (英語)

 先日、本校バトントワリング部の演技発表会がありました。毎日昼休みも放課後もいっしょうけんめい練習する様子を見ていたのでどんな演技をしてくれるのだろうと楽しみにしていました。メンバーの皆さんが見せてくれた演技は躍動感にあふれたすばらしいもので、ふだんは見られない姿にびっくりしました。練習に疲れて眠たい日もあっただろうに、それでも授業中きちんとノートをとり、テストもしっかりがんばっていた3年生部員のみなさん、3年間お疲れ様でした。そして、とてもすてきな演技を見せてくれてありがとうございました。ところで、私の目をひいたのは演技だけではありません。部員の皆さんが着ていた素敵な衣装の数々です。これだけきれいな衣装を作るのはどれだけ大変だろうと感心せずにはいられませんでした。朝早くに子どもを学校に送り出し、仕事や家事に追われながら衣装を作ってくださったおうちの方の手厚いサポートがあったことでしょう。そして家族のサポートへ寄せた3年生の感謝のメッセージには目頭が熱くなりました。

 私の息子も去年高校野球を引退し、私の手元には彼が小5の頃から日記がわりに付けていたスコアブックの山が残りました。朝早く起きてお弁当の他にたくさんのおにぎりを作り、朝練のために早く息子を送り出すという生活から解放されて楽になりましたが、もうこのスコアブックに記録が刻まれることはないと思うと今も心にぽっかり穴が開いたようです。でもこのスコアブックを見ると、強風の中で大変だった試合や負けてくやしい思いをした試合、勝ち越しヒットを打って喜んだ試合、いろんな思い出がよみがえってきて、息子も自分もよく10年間がんばってきたなあという達成感を感じることができます。なにか1つのことをやり続けるということは大変なことです。最後の試合が終わって「やりきった」と言った息子の言葉に、ずっと応援してきてよかったと感じました。

 演技発表会の後のバトン部の皆さんの笑顔はきらきら輝いていました。この遊学館高校にはバトン部以外にも1つのことをずっと続けている人はたくさんいますね。社会に出てからはなにかひとつのことに打ち込む時間はなかなか取ることができません。部活でも勉強でもなにかひとつ打ち込めることを見つけて、高校を卒業するときに「やりきった」と笑顔の集大成を迎えることができるように、1日1日を大切に過ごしてください。もちろん周りからのサポートへの感謝は忘れずに。

2018年9月 6日 (木)

【第544回】 新アイテム登場!T. Y. (英語)

 「おおー、すごーい!」
 スイッチを入れるとみんなの興味しんしんの目が輝きました。そうです、2学期から全教室に配置されたプロジェクター。待ちに待っていたものがついに使えるようになりました。私、板書が大の苦手。パソコンで作った資料を黒板に投影できれば板書にかかる時間をもっと有効に使えるし、重たいプロジェクターとパソコンを持ち歩かなくてもいいし、英語の音声データも簡単に聞かせてあげられるし、いいことがたくさんあるのです。

 「これ、先生が作ったん?すごいじー。」
 何人かの生徒から授業に使ったパワーポイントをほめてもらいました。実は見かけによらずパソコンは得意なのです。「なんで先生になったんですか?」と、これまで何人もの生徒に聞かれましたが、大学生の頃「教員」は一番なりたくない職業でした。就職活動していくつか面接に落ちて、たまたま入れた会社がコンピューターソフトを開発する会社だったのです。パソコンの電源の入れ方もわからないまま入社してプログラマーをやっていました。決してやりたくて始めた仕事ではなかったのですが、パソコンやインターネットが身近になったこの時代、コンピューターの会社に入れて幸運だったなあと思います。そして今、あんなになりたくなかった教員という仕事が楽しくて、パソコン技能を活かして仕事ができるなんて、人生何がどうなるかわかりませんね。高校生のみなさん、今やりたいことがない人もとりあえず目の前にあることにどんどん挑戦してください。そのときは興味がなかったり役に立ちそうもなかったりするかもしれませんが、世の中もどんどん変わります。きっとそのあとの人生に無駄になることはありませんよ!

 せっかく入ったプロジェクター、どのように英語の授業に活かしていけるのかまだまだ手探り状態ですが、いろいろな使い方を考えてもっと英語に興味を持つ生徒が増えるように工夫してみたいと思います。

2017年4月20日 (木)

【第474回】 古い色紙T. Y. (英語)

 今年遊学館高校に戻ってきました。新任式で挨拶させていただきましたが、実は「新任」ではなく「再任」です。

 十数年前、私はこの遊学館高校で教員としてのキャリアをスタートさせました。しかしそのときはそれほど教員という職業に思い入れがあったわけではなく、もちろん経験もなく、右往左往しながらの毎日。そんな私を周りの先生方や明るい生徒たちが助けてくれましたが、悩みの種のクラスが一つ。「授業中話を聞いてくれない…」毎回ため息をつきながら授業から戻ってきたものです。

 ある日、その年に結婚した私に同じ職員室の先生方がお祝いメッセージを書いた色紙を下さいました。そのプレゼント自体がpleasant surpriseだったのですが、真ん中に書いてあるイラストとメッセージを見て目を見張りました。「話を聞いてくれない」と思っていたクラスの中でも特によく注意をしていた女子生徒二人からのものでした。

「先生の授業はとても丁寧で生徒たちに優しくふるまっていただきありがとうございます」

 そんなふうに思ってくれてたのか。じわーっと心が暖かくなりました。退職してからも、町で「先生、覚えてる?」と満面の笑みで声をかけてくれたのはそのクラスでよく注意した別の男子生徒。授業中の様子だけでは分からないみんなの顔。あの1年間は生徒のみんなに成長させてもらった気がします。

 色紙は今も大切に部屋に飾ってあります。出産を経てもう一度仕事を始めようとしたとき、その色紙の思い出がなかったらきっともう「教員」という職業には就いていなかったでしょう。久しぶりに遊学館に戻ってきて、以前よりももっと元気で明るい生徒たちの声が響いていると感じます。またここでいろんな生徒たちとの出会いがある。そう思うと心の底からわくわくしています。