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2012年8月 3日 (金)

Vol.17 同窓生のみなさんへ-金城の旗のもとに継承を誓う夏2012-松田 淳 (地歴・公民)

 7月28日、石川県立球場にはわが校の勝利を讃える校歌が流れました。野球部が「夏の全国高校野球石川県大会」で優勝、見事2年ぶり5回目の甲子 園出場を果たしたのです。 スタンドの全校生徒、先生方、野球部保護者のみなさん、駆けつけた卒業生による大合唱です。実は私も31年前は高校球児でした。厳しい練習の最後にはグラ ンドに向かって仲間たちと泥だらけのユニフォームで校歌を歌いました。高校生ながら校歌に心酔し母校愛を高めたものです。疲れ果てて自転車に乗る帰り道、 日々自分を励ますかのように口ずさんだ歌はいつも「栄冠は君に輝く」。星空の向こうに甲子園を夢見て歌ったわが青春の名曲です。この曲が流れると涙が止ま らなくなります。中村裕行教頭と一緒に金城高校に勤め始めた27年前、甲子園で校歌が聞ける機会が来るとは想像もしていませんでした。

 伝統のリードバンド部から吹奏楽部への転身。ここにも大きな飛躍が見られます。

 今年、その指導に定評のある大嶋直樹先生のもとで県下吹奏楽部の6強入りを果たし、8月5日金沢歌劇座にて大編成として初の北陸大会に出場しま す。「吹奏楽の甲子園」とよばれる普門館への挑戦の歴史の幕開けです。また、9月28日には第81回定期演奏会を金沢市文化ホールにて開催する予定です。 ぜひ、お誘い合わせのうえご来場ください。

 私が担当しているバトン部は昨年、伝統校PL学園高校さんに完膚なきまで差をつけられ、覇者の地位から陥落、全国2位に甘んじることになりまし た。圧倒的力量をまざまざと見せつけられ、再びこの一年で王座奪還できるのか、コーチ・部員とも試練の365日です。私は、部員たちがくじけそうになった とき、チーム全体の士気が落ち込んでいるときは、遊学館(金城)の校章が持つ意味を繰り返し説諭し励まします。「最近の高校生は…」と、とかく若者世代は いつの時代も批判の的になりますが、私たち大人が真摯に向き合えば、彼ら彼女らの純粋で一生懸命な気持ちが鮮明に見えてきます。高みをめざして、歯をくい しばり頑張る姿は、まさに校章の中の白梅そのもの。多くの先人と同窓生が築いた精神は今も脈々と継承されています。

 同窓生のみなさん。ぜひ孫たちを、息子・娘たちを、そして後輩たちを温かく見守ってください。そして、ご声援お願いします。夏休み中、甲子園出場 への寄附のお願いの封筒詰め作業に部活の生徒を総動員して行いました。総数14,868通。完成した郵便物を収納した大量の箱を見て、歴史と伝統の重みを ひしひしと感じました。そして、多くの同窓生の方々がこの学び舎を巣立って行かれたのだと感慨深いものがありました。

 同窓生のみなさん。どうぞ母校にお気軽にお立ち寄りください。今は木造校舎も、円筒校舎もなくなりましたが、親子線をあしらったあのセー ラー服は健在です。みなさんの青春時代は今もそこに息づいています。金城の柔和な風は今も廊下に吹いています。遊学の活気ある風はいつも教室に吹いていま す。胸像の「せむ先生」はいつも微笑んでいます。

私たちはこれからも生徒と共に、金城の、そして遊学の精神を継承していきます。

8月3日(金)蝉の声が聞こえてくる夕暮れの職員室より

2012年8月 2日 (木)

【第241回】 ㊗ 甲子園出場! 思いさまざま…松田 淳 (地歴・公民)

 この「先生コラム」もいよいよ6巡目に入ります。今回は私が担当です。原稿締切は7月31日なのですが、ある試合結果が出るまで手をつけないでおこうと決心していました。
 “仕事はスピードと正確さ”を信条とする私があえて手つかずにしていた「先生コラム」。
 ようやく昨日7月28日(土)、待ちに待った結果が出ました!
 わが遊学館高校野球部の夏の甲子園出場が決定したのです。NHK夜7時からの全国ニュースで『石川県からは遊学館高校が2年ぶり5度目の出場」と紹介されると、家族から歓声が起こり、実感も湧いてきました。

 わがバトン部は、決勝戦が行われている時間帯、石川県立球場となりの「いしかわ総合スポーツセンター」で、高校インターハイ・バスケットボール競技の開会式前の歓迎アトラクションに出演中でした。コーチ、部員たちは冷静にやるべきこと・なすべきことに集中していましたが、私自身、心半分はすでに県立球場のスタンドにあったのかもしれません。球場にいる先生方に頻繁に「今どうなっとる?」「今、何対何?」と陰で何回も連絡。
 決勝戦までの3試合はハラハラ・ヒヤヒヤと、あの遊学館らしい野球はどうしたのかと心配するぐらいの展開だったので、ファンのひとりとしては決勝戦も期待や確信より、心配・不安が募るばかり。
 出演が終わって、部員たちと集団で球場へ猛ダッシュ! 異様な光景だったでしょうね。(笑)

 やっぱり勝利して、スタンドで大合唱する校歌はいいですねぇ。
 実は私自身、閉会式での大会旗・国旗降納のシーンで、大会旗が降ろされていく中、涙が止めどなく頬を伝っていました。球場には「栄冠は君に輝く」が流れています。心は31年前の高校球児に戻っていました。毎日練習後にグランドに向かって校歌を歌いました。疲れ果てて乗る自転車で口ずさんだ歌はいつも「栄冠は君に輝く」。部活帰りの夕焼けの中の十八番(おはこ)でした。

 今朝出勤してくるときにラジオから流れてきたのは、ゆずの「栄光の架橋」(誰にも見せない泪があった~♪)。
 お恥ずかしい限りですが、運転しながら涙がボロボロ出ました。頑張っているみんなにエールを送ります。
  ・今日、練習で会ったインターハイ出場の広島皆実高校バスケット部のみなさん! がんばれ!!
  ・8月5日(日)金沢歌劇座、午後2:35~2:50。本校吹奏楽部が大嶋顧問の下、大編成初出場! がんばれ!!
  ・8月5日同日、甲子園大会の抽選日。さて、初戦はどこと対決するか、野球部諸君! がんばれ!!
  ・夏の補習で黙々と机に向かっている諸君! がんばれ!!

 「がんばれ!!」はプレッシャーじゃない。「がんばれ!!」は期待と温かさととらえよう。
 多くの人々から“がんばれ!!”と言われるとプレッシャーになる? いえいえ、ありがたいじゃないですか。
 多くの人々が思いをかけてくれている。支えようとしてくれている。その思いと一緒に戦ってほしい。
 もちろん自分との戦いだけど…、家族、友だちがいる。決してひとりで戦っているのではない。
 わが遊学館高校バトン部のモットー「顔は笑顔、心はひとつ、めざすは一番」。
 前出の「栄光の架橋」の一節、“たくさんの支えの中で歩いて来た”…いい歌詞ですね。

 この夏休み、スポーツ・勉強とがんばっている高校生みんな一人ひとりに「栄冠は君に輝く」。 がんばれ!!

2012年5月12日 (土)

Vol.16 11分37秒の行動力、11分37秒のチーム力松田 淳 (地歴・公民)

 本日、避難訓練が行われました。避難開始の一斉放送から、1,211人の全校生徒が移動開始、全31クラスのクラス会長が点呼をして最後のクラスが座るまでが11分39秒。

 本校の校舎内はかなり入り組んでおり、初めて来校される方は「迷路のよう」といわれます。県下2番目の生徒数を預かる本校の避難訓練。古き本多町 の界隈の中にある校舎ゆえに大々的に避難訓練ができないにせよ、限られた条件の中、速やかな移動ができるかが目標となります。この11分が早いか遅い か…。本当の火災ならば、まだまだ遅いと叱責されそうですが、身内ながら感心しました。本校の校舎内の移動という条件で11分37秒という速さだったから です。体育館に入ってくる生徒諸君は整然と静かに1列に入ってきます。クラス会長が点呼します。ステージ前の係の先生に報告します。クラスの生徒に座るよ う指示します。整列完了後も、係の先生からの講評の中、静けさのまま、その先生の声だけが凛と響いています。(全校集会の折もいつも静かなのです。)

 とかく、今の時代“最近の高校生は…”と大人たちは批判しますが、11分37秒の行動力、11分37秒のチーム力には感動しました。何事も本気。小さなことにも真剣に。高校生だからこそできる素直な行動力、チーム力だと思います。共に頑張ろう、高校生諸君!

2012年5月 5日 (土)

Vol.15 夢とは与えられるものでなく、自らつくり出すもの松田 淳 (地歴・公民)

政府の2012年版「子ども・若者白書」原案では、15~29歳の8割以上が将来の仕事、収入、老後の年金に不安を抱えている。未来に夢持てぬ若者の現実 を反映か。しかしこの国の過去を見れば、困難な時代こそ若者たちはたくましく生き抜き、また日々の生活の中でささやかな幸せを感じ、精一杯生きてきた。

 どんな時代でも夢とは与えられるものでなく、自らがつくり出すもの。未来を嘆いていても自らの力がすくむだけ。これからの経済や生活は“量”でな く“質”を求め、高める時代。ならばその中で若者が「本物」をめざそうと力強い生き方を夢とするならば、必ずこの国の未来は変わる。若者は逆境の中でこそ 強く生きる。

 子どもの日。青空になびく鯉のぼりを見上げながら、未来に向かってたくましく泳ぐ力こそ夢をつくる原点だと、励ましたい気持ちでいっぱいになった。


 中高生たちよ、前向きに元気よく。夢はいつか見つかる。

2012年4月30日 (月)

Vol.14 5月3日、遊学館バトン2012新作いざデビュー!松田 淳 (地歴・公民)

金沢の街に新緑のさわやかな風が吹く頃、5月3日(木・祝)市内中心部では「春の舞ひろさか2012」が開催されます。当日13:40頃、しいのき迎賓館 広坂緑地特設ステージにて、わが遊学館高校バトントワリング部が2012新作「Be Magical ! 」を初披露します。

3日後に迫った今日4月30日(月・振)朝8:00。GW連休真っただ中、出演本番に向けて、登校した部員から早朝練習が始まっています。遊学館高校バト ン部の特徴のひとつ、1年365日休むことなく継続される練習。日曜・祝日、長期休暇は朝から夕方までの丸一日の練習。「休みがなくて大変ですね。」とお 気遣いのお声もいただくことがあります。
すべては目標のため。“日本一”この3文字のため。私たちのチームは全国屈指の選手が集うチームではありません。ごく普通の地方の、ごく普通の部活動で す。今年3月末に金沢市にて記念すべき日本海側初となる全日本バトントワリング選手権大会が開催されました。本校から9人のバトン部員が北陸代表として出 場しましたが、誰ひとりとして決勝進出は果たせませんでした。しかしこのチームは集団となると、23年連続北陸代表、全国大会5年連続金賞、過去通算2回 のグランプリチームに変身します。チームっておもしろいですね。力のない“1人”でも、強い意志を持って“結束”すれば日本一を体験できる。フロアに「今 年のグランプリは…遊学館高等学校バトントワリング部!」というアナウンスが響き渡る、その夢のような瞬間をめざして1年365日を頑張るのです。

今日4月30日の北陸中日新聞朝刊1面に『8強戦士が弁護士の道“遊学館高野球部OBの高根さん”』というタイトルで記事が掲載されています。創部から1 年4カ月で夏の甲子園ベスト8に輝いた2002年の遊学館高校野球部でレギュラーだった高根さんは、司法試験に合格して、現在金沢市で司法修習生として研 修に励んでいます。この記事の中で、彼は「トイレに行く時間がもったいない」と猛勉強、「自分を追い込むのが好き。サボっていると逆にストレスがたまる」 と述べています。やはり高い目標・崇高な意志と努力は比例するのですね。夢はその達成のために人を動かすのです。

勉強もスポーツも高い目標が大切です。その高い目標が日々頑張るためのモチベーション(動機づけ)となります。もし、モチベーションが継続できないと悩む なら中途半端な努力で終わらせているからではありませんか。目標の質、努力の質そのものをもっと高めるべきです。日本一になるなら日本一の練習を。頑張れ ば必ず夢はかなうか?いえ、現実はかなわないことがほとんどです。勝負の世界はもっと客観的で冷静です。かなえた人は私たちが理解できないようなその夢に 応じた努力をしたのです。勉強もスポーツも目標達成と努力の量は比例します。ディズニーランドのような夢の世界には憧れますが、その夢の世界を実現するた めにどれだけの影の努力と工夫が結集されているかです。

遊学館高校バトン部にも、高校に入ってからバトンを始める初心者が何人もいます。上級生になったから全国大会に出場できる…という確証はありません。本人 の努力次第です。日本一を競う実力の世界では“上級生”という武器は通用しません。自分の力で、自分の意志で、自分を支えて努力するしか最善の方法はない のです。結局、長年の全国大会への挑戦から得た教訓は「質の高い練習を1年後の365日まで継続すること」が弱小チームが取り組むべき最善の方法なので す。経験豊かな強豪チームの選手は幼少期から血のにじむような練習と時間を積み重ねてきています。私たちは高校3年間で少しでも(強豪チームの)彼ら彼女 らの幼少期に近づかなければ勝てるわけがないのです。彼ら彼女らの幼少期からの努力に敬意を表するからこそ1年365日の練習なのです。勉強もスポーツも 不断の努力が最善の方法なのです。全国大会(入試)まで時間は平等に分け与えられています。あとは一日一日勝負なのです。その勝負はあっという間にやって きます。人間の能力や努力には限界はありません。しかし、時間には限界があるのです。そこを焦らなければ…。

5月3日13:40…最善の最高のステージをお見せします。それが出演者としての責任であり使命です。ステージと客席には目に見えない大きな扉があると思 います。その扉を開けて、お客様の目の前にたどり着けるかどうか、それは出演者が解決しなければならない課題です。心を届けられるかどうかは出演者次第で す。遊学館高校バトン部、年間40回近くの出演はすべて全国大会への道に通じています。私たちの部の基本的なスピリットに「限られた条件の中で工夫をして いつも前向きにベストを尽くす」という信条があります。 ステージ下に1人の小さな女の子がいたら、その子が心から楽しんで笑顔になってくれること、家に帰って「楽しかったよ」とお母さんにお話してくれること、 その日の夜に楽しい夢を見てくれること…そのために遊学館高校バトン部46名がベストな演技をすること、それが私たちの使命です。1年365日、その積み 重ねなのだと思います。

練習の質・努力の質を高めることは、夢の質をも高めることになる。成功への鉄則です。
いろいろな分野で頑張る全国の中高生を応援します!
どこかの街角で私たちをお見かけすることがあれば、ぜひご声援お願いいたします。

2012年4月 9日 (月)

Vol.13 始業式、新任式、そして入学式…春はスタートの季節!松田 淳 (地歴・公民)

毎年、始業式のあとに行なわれる新任式、その日の午後の入学式が楽しみです。
 教師生活27年、日々心がけていること。それは常に「初心を忘れない」。一日一日を新鮮に迎える。今日という一日にベストを尽くすこと。出勤初日のあの震えるような喜びを忘れない。記念すべき一時間目の授業の失敗を忘れない…。
 その意味では新任式での先生方の所信表明は日々の忙しさの中で忘れかけている“自分”を取り戻す好機なのです。
 今日の新任式。『この遊学館でこれから30年勤める。心から本気でみなさんと向き合う!』『生物学はかけがえのない命を学ぶ学問。それを伝えたい!』 『英語で挨拶を!英語で呼びかけるね!』などなど。新任の先生方の熱い思いが言葉の端々から伝わってくる。新鮮な感動とともに涙が出そうになります。私も 心の内面から「負けないぞ」という思いが高ぶってきます。心から頑張ろうと思う。
 エネルギーをもらったなと、新任式が終わったあと、力がみなぎっています(笑)。
 入学式での新入生諸君の横顔を見ていると「よくぞ、来てくれた。ありがとう!ようこそ!」という気持ちで心がいっぱいになる。春は別れの季節でもありス タートの季節でもある。春というひとつの季節の中で卒業式には寂しさを、新任式・入学式では喜びを味わう。春という季節は不思議な季節ですね。

 中高生のみなさん。時間とは貴重なもの。いろいろな友、いろいろな先生、いろいろな本との出会いを通じて、自分を見つめよう。自分とはどのような人間な のか、自分はどのような未来に向かって進もうと思うのか。その方向を探るために今がある。哲学者ソクラテスのいう『無知の知』を自覚したとき、その人の可 能性は無限に広がる。新しい先生、新しい生徒たちに心からエールを送りたい。

 心はひとつ、ともに頑張りましょう!

2012年4月 1日 (日)

Vol.12 新しく踏み出す勇気、意識を高く、自分を支えるのは自分!松田 淳 (地歴・公民)

〔今回の“Vol.12”は『遊学館 先生ブログ』も合算しての原稿通算No.です〕
 今回はかなり長文です。長文になる理由、思いのこもる日なのです。



 4月1日(日)朝…わがバトントワリング部の2・3年生である上級生たちはニコニコ、ワクワクしています。今日から新入生が本校バトン部での春休みの練 習に合流できる解禁日なのです。自分たちの新入部員の頃を思い出しているのでしょうか。新人たちがさわやかな雰囲気とともに春風を運んできてくれました。
 今日という日は(世間の動きとしては明日からが本格的でしょうか)新入社員が世の中にデビューする日。パリッとしたスーツを着た若い方々が街角を歩いて いると、私自身、この遊学館高校(前身の金城高校)に勤め始めた27年前の春を思い出します。私も真新しい紺のスーツに身を包み、「よし、頑張るぞ!」と 意気込んで職員室に乗り込みましたが、「おい!若いの!荷物運んでくれ!!」との一言。当時、新校舎が完成して新しい職員室への引っ越しの日だったので す。新品のスーツはたちまちホコリだらけ。母がアイロンをかけてくれたシャツも腕まくりでクシャクシャ、汗だらけでベトベト、真っ黒になりました。熱血教 師を夢見た初日はまさに体力勝負の引っ越しにベストを尽くした午前でした。(笑)  そのあと午後に開かれた職員会議の途中、外の廊下がうるさいので、会議の途中にドアを開けて、新人たる私がスポーツ部員の一群に「今、会議中だ!静か に!!」と一喝。あとでその部の顧問の先生から「あの子たちは学校からお手伝いをお願いされて働いてくれていた。」と静かに説明されました。勢い余った私 の大失敗です。今でもその子たちに申し訳ない気持ちが湧き起こってきます。
 それでも失敗続きの新入社員の私に先輩諸氏から、決して丁寧でなく、何気ない短い言葉がふと投げかけられます。「生徒と話すときには目をしっかり見て。 言葉を投げかけるのではなく、思いを伝えて話しをするように。」「一年目に“おかしい”“なぜだろう”と思ったことをずっと忘れないように。いつか変えら れるときがきたら変えるべき。自分の感性を信じて。」…教師としての今の私を形成した私自身にとっての金言名句がどんどん浴びせられます。振り返れば、最 初の3年間が勝負だと思います。最初の3年間で苦労をした人、鍛えられた人、声をかけ続けられた人、しごかれた人、多くのミスをした人、頑張り続けた人、 もがき悩み続けた人…これらすべてが、のちのちの人生の財産になると自信を持って、若い方々に言えます。生徒(部員)という次世代の若者にも今後伝えてい くことが先輩諸氏への恩返しと使命感と責務を持っています。
 さて、今日の部活の最後に部員たちに伝えることは昨日の夜からずっと考え、決めています。新人たちに伝えること。それは目標を高く持つこと。自分はどん どん伸びる人間だと信じること。自分を支えるのは自分であるということ。どれだけ強いチーム、伝統あるチームに所属しても、体制や組織や環境が自分を強く してくれるのではない。自分のモチベーションは自分で高めなければ真のモチベーションにならない。辛いことも多々あるけど、孤独になって戦ってこそ、孤独 になってこそ初めて人は強くなれる。悩むことは誰でもする。これ以上悩めないというところまで悩み切れるか…です。個人の意識が強くなってこそのチーム力 であるということ。仲間意識をまず前提に出すと、いつまでも仲間に頼って強くならない。それぞれが苦労をして、まずそれぞれが努力する。目に見えないとこ ろで。そのような一人ひとりが終結してこそ、チームが集合体として強くなる。これは決して冷たい考え方でもなく、決してエリート意識を重視しているのでな い。チーム(組織)が追いこまれたとき、結局は個人の力量あってこそチームの真価を発揮するのだと思うからです。弱い人間ほど、「チーム力が問題」「環境 が悪い」「方向を示してくれない」と嘆きます。自分自身がチームの一人である前に自分自身の力量を高めようとしているか、限られた環境の中で工夫をしてベ ストを尽くしているか、何が方向性か・今何が求められているのか・何が問題点なのか・解決する手段方法は何なのかを、高い位置・立場に立って考え想像して いるか…チームは群れてはだめです。強い個々があってこそのチームだと自分自身を前向きに思考させ行動しているかです。批判ばかり、グチばかり、文句ばか り、「~だからできない」という人間には多分どれだけ良い環境や条件が来ても、さらに次を求めるでしょう。責任を自分が背負っていないから、常にネガティ ブです。ポジティブな人間は「すべて自分が責任を背負う」「すべての結果は自分にある」という必死な思いがあるからとにかく一生懸命です。そのような人 は、目標、意識、行動、習慣を高めようと生きる姿勢が積極的で、不思議と笑顔なのです。降りかかる問題を自分だからこそ来てくれた難問だと正面から迎えよ うとします。不思議と時間がかかっても、その人が気づいていない小さな成果を積み重ねています。第三者がそばで見ていても、たくましい成長が見てとれま す。
 では次に先輩たちへ…。新人を育てるという理由で、自分を伸ばすべき練習量を減らしていないですか。前述した「チームのために自分という個人が強くなら なければならない」という考え方からすると、新人の方に全エネルギーを傾注すると、それまでのチームそのものの力量が落ち込んでしまう。新人には時々にヒ ントときっかけを与えさえすれば良い。先人たる自分自身たちが伸びなければ“ここぞ”という勝負で自分たち自身が悔いを残すことになる。勝負は新人が育つ まで待ってはくれない。新人は見て覚える・聞いて覚える・自分でやってみるべきと時には突き放してみてもよいのです。今の若い人たちの情報収集力は私たち の若いときと比べてはるかに高い。「その割に人間関係の対応力が低くなっている」という嘆きも聞こえてきますが、“決めつけ”てはならない。この“決めつ け”は自分自身の可能性をも否定することにつながります。鏡の法則です。ネガティブな思考は自分の考え方そのものをネガティブにしてしまう。こちらが新人 の能力や伸びしろを決めつけて、あきらめてしまっていることにつながります。物のとらえ方・人の見方をもっと前向きにポジティブにしましょう。新しい人 に、できない人に、まだの人に、もっと夢と希望を感じましょう。肯定的にとらえましょう。その考え方はチーム自身に肯定的な活力や“あきらめない”という 雰囲気を与えます。今を嘆く前に自分自身がどうであるか鏡に映して見るべきです。人に要求する前に自分がどれだけの努力をし、日々ベストを尽くしている か…。



どうもこの調子だと終わりそうもありません。今朝から来た新入生たちの瞳を見てさらに私の心の灯が燃え上がっています。新入生はチームに活力を与えてくれます。今いる人間は足元を振り返るきっかけにもなります。継承すべき善し悪しを分析することにもなります。
 春は、動物にも植物にも人間にも新しい息吹と活力を与えてくれる季節です。

  追記 長い文章にお付き合いいただき感謝します。(松田より)

2012年1月25日 (水)

Vol.6 厳しい冬のあとには必ず暖かな春がやって来る松田 淳 (地歴・公民)

本校の校章は、雪の結晶の中央に白梅一輪をあしらったデザインです。
明治40年4月に定められたものです。
この校章に込められたスピリットは先人たちの時代から脈々と継承されています。
厳しい寒さが続く北陸の冬…白梅一輪は春を待ちわびるかのように花を開かせます。
人生の歩みも同じ。
厳しく辛いことがあっても耐え忍び、頑張り続けること。あきらめずに。
そうすれば必ずいいことがある。人生の“華”を開かせることができる。
そう信じて日々、努力を続けよう…と。
新人の頃、先輩の先生から校章に込められた生徒への思いを教えられました。
以降、ことあるごとに、クラスや部活動で生徒たちに伝えてきました。

私の担当するバトントワリング部は今年1月の全国大会にて、惜しくも全国第2位。
昨年に引き続き、日本一であるグランプリの連覇達成できず。
しかし、日本一への夢は歴代の先輩から今年の3年生へ、
そしてさらにその思いを今の後輩たちが胸に秘め脈々と継承されていきます。
校章に込められているスピリットはいろいろな場面で勇気を与えてくれます。
また、次の一歩を歩み出そうとする元気を与えてくれます。
「雪の結晶、白梅一輪」はまさに遊学館のスピリットだと実感できます。

2011年12月 1日 (木)

Vol.5 孤独な夜の勉強のススメ松田 淳 (地歴・公民)

もし、自分の部屋を持っていて、夜ひとりで勉強できる机があるのなら…。
自分の部屋がなくても、もし、家族が寝静まった後、ひとりで勉強できるテーブルが
あるのなら…。

おすすめは、孤独になって、ひとりで黙々と勉強すること。
でも実は、ひとりではないのです。(えっ、もしかして背後に…ではありません)
実はもうひとりの自分がちゃんとそばにいてくれているのです。
いつしか、もうひとりの自分と対話しながら勉強を進めているのです。


遠くで犬の鳴き声が。
風に乗って電車の走る音が。
電気ストーブのジッーという音が。
「この瞬間、世の中で起きているのは自分しかいないのでは?」という錯覚に。
不思議と集中していきます。すると、いつのまにか徹夜になることも。
カーテンの隙間から白々と夜明けがやってくる。
世界を制覇したかのような充実感。
ふらふらっと階段を下りて、茶の間に行くと、まだシーンとした家の中…。

受験勉強真っただ中の中学生、高校生のみなさん。頑張りましょう。
勉強とは孤独な戦い…いえいえ、強き味方がいつも横にいます。それは自分自身。
自分に語りかけてください。
「よし、頑張ろうぜ」「おいおい、さっきやった問題だぜ」「昨日覚えたよね」なんて。
孤独を味わえるようになったらしめたもの。
自分自身の時間が大切に思えるようになります。
頑張れ!受験生。
来春の結果を想像する前に、今晩できることに集中しよう。没頭しよう。
いよいよ12月。風邪を引かないように…さぁ、今夜も始めよう。

2011年11月17日 (木)

Vol.4 どこで学んだか…でなく、何を学んだか松田 淳 (地歴・公民)

自分の過去を振り返ると、まさにこの言葉を実感できます。
多くの先生、多くの友人、多くの知人、多くの書物、多くの場面。

多くの人に出会ってこそ学び、体験し、吸収したことがいっぱいあります。
自分で言うのも何ですが、反発して批判するより、まず素直に吸収してみる性格です。
そして、時間をかけて自分に合うようにアレンジして、自分の考え方や生き方の一部にしてしまいます。

中学生、高校生のみなさん。みなさんは今、若い。
がゆえに、自我の目覚めとともに、“自分”の考え方・生き方を強く意識する。
そのような今だからこそ、学び、吸収するということも同じくらい意識してほしい。
いろいろな人に出会って、いろいろな考え方に触れ、素直に吸収する。
心の扉を一杯に広げて、耳を傾けじっくりと聞き入る。
「へぇ~」「本当に!?」「なるほど…」。
知らなかった世界がどんどん見えてくるようになります。
世界が広いことに気づくと同時に、自分がいかに小さな存在かわかるようになります。

待ち姿勢ではだめなのです。時間は刻々と過ぎていきます。積極的に、前向きに。
トライアル・アンド・エラー(試行錯誤)。失敗も経験です。誰も保証してくれない。
自分への保証は自分自身でするのです。だから失敗しても自分に納得ができる。
未熟な自分がチャレンジして失敗したのだから、責任は自分にある。人のせいでない。
中学3年間、高校3年間、そこにいれば与えてくれるという考え方でなく、
自分自身が積極的に学ぼうとする、その前向きな姿勢が大切なのです。
どこで学んだか…という思い出やプライドも支えになると思いますが、
何を学んだか…という中味が、将来の自分を支えることになるのです。
人生を豊かに、人生を理知的に、人生を前向きに生きましょう。