【第592回】 「山の天気と仲間の力」尾谷 力 (地歴・公民)
お互いの顧問が大学の先輩後輩という仲で、三年ほど前から東北の駅伝強豪校と合宿をご一緒させてもらっている。
その間に後輩が指導するチームが全国駅伝で優勝し、私のチームの子たちも大いに刺激を受けるその合宿への参加を楽しみにしている。
ところで我々のチームも東京のチームから合同合宿を申し込まれ、先日3泊4日の日程を終えた。
前述の合宿で知り合い、ぜひにという事で、夏の間我々がホームグランドにしている日和田高原で行った。
ここは金沢からは移動時間も比較的短い上に標高も高く合宿を行うには最高のロケーションなのだが、東京からは5時間近くもかかるそうで、せっかくならと練習メニューだけでなく食事面や生活面も工夫して実施した。
残念だった事は、一番大切な練習の時に運悪く大雨となってしまったことだ。
山の天気は変わりやすいと言うが、急変した上に気温もさらに下がり、ゲリラ豪雨を連想させる雨あしと相まってメニューの実施も危ぶまれた。
しかし選手たちの熱い思いが伝わったのか雷も避けてくれて予定通りの練習を終えることができ、今年もどうにか接待役の責任を果たすことができたと胸をなでおろしている。
さて夏休みも半ばを終え、我々のチームが最も大切にしている駅伝シーズンがやって来る。
その中で選手を取り巻く状況は様々に変化していく。
思いもよらない状況や、悪状況に一人ででも対応できることは大切である。しかし現実はなかなかそうは行かない。
そんな時に問題を乗り越える方法があるとするならば、それは寝食を共にする仲間の存在ではないだろうか。
大切なレースまであと2ヶ月余り。残された時間で選手一人一人を鍛えると同時に、何があっても崩れないチーム力も高めていきたい。
そして今年こそは、いつも気を遣ってくれる後輩に、「挑戦させてもらうぞ」と言えるチームをつくる。
雨の中、頑張る一年生たち。
大東文化大学第一高等学校の選手たちと。