【第547回】 「1年目」T. M. (数学、情報)
私は、中学1年~大学4年までの10年間を、陸上の長距離を専門にして部活動を続けてきました。高校の3年間は遊学館高校男子駅伝部に所属し、厳しい練習に耐えながら日々練習に励みました。これまでは、指導を受けながら日々走り続けていましたが、今年の4月から走る者を指導する指導者に立場が変わりました。
指導者の立場になってからは、様々な出来事に対して日々悩みが尽きません。走っていた10年間は、ほとんど自分の身体や精神と戦うことが多かったように思います。しかし、指導者となり、選手を走らせ、記録及び人間性を向上させるには、自分自身が走っている頃には考えられなかった苦労があるのだと痛感しています。なかなか人を導くというものは、思い通りに行かないことも実感しています。その中でいかに、選手の様子を見ながら臨機応変に指示を出していくかが、重要になってきます。生徒も指導者も、日々悩みながら目の前に立ちはだかった壁に果敢に挑みます。
しかし、苦労ばかりを話題にあげましたが、それだけではありません。それは、選手がこれまでの自分を超えた時です。駅伝部は、春と秋に積極的に遠征に行き、それぞれの選手が自己記録更新に挑戦します。特に秋~冬にかけては、駅伝をチーム一丸となって、自分としても、チームとしても記録に挑戦していきます。もちろん屋外スポーツのため気象条件によっては厳しい条件化の中走らなければならないこともあります。その中でも今までの自分の限界に挑戦し、それを超えたときは、選手もそうですが、指導者としても何事にも変えがたい喜びがあるのです。特に走り終わり、限界を超えた選手の清々しい顔は、指導者にとって格別な褒美だと思っています。その裏には厳しい練習に取り組み、日々練習に励む姿を知っているからこそ、より一層喜びも膨らむのではないでしょうか。
様々な苦労や葛藤の中で、楽しさや喜びを感じることは今後の人生にとって大きな財産になると思います。まだ指導者として1年目の経験が浅い私ですが、10年間の経験を活かして、選手を成長させてあげられるよう、そして様々な感情を共に分かち合えるように、日々精進していきたいと思います。