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2021年2月25日 (木)

【第669回】 「初めての冬」K. R. (地歴・公民)

2020年8月22日、錦町に人工芝のサッカーグラウンドが完成し、「竣工式」が行われた。
「自分たちの専用グラウンドができとことに常に感謝を忘れず、行動で表現していこう」
と選手たちに伝えた。
「感謝を表現する」とは、試合結果やチームの練習前後のグラウンド清掃だけでなく、各々が学校生活でも感謝を表現していこう、とも伝えた。

約4か月後、錦町グラウンドは初めての冬を迎えた。
この冬、石川県内の天気予報は「雪」マークが多かった。
人工芝は地面の熱が伝わりづらいため雪が溶けにくく、また雪掻きをすればするほど、芝の痛みが早いとも聞く。

「初めての冬」に備えて、100mのブルーシートを10枚購入し、敷いてみることにした。水を撒いたり、ブルーシートの上を雪掻きしたり…。
「警戒レベルの寒波到来」というフレーズがニュースで流れるたびに、サッカー部のスタッフは朝、昼、夜と時間帯を決めて、手作りのホースで水を撒いたり、ブルーシートを引きなおすためにグラウンドへ向かった。

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ブルーシートをはがすと、綺麗な人工芝が見える。
初めての冬を乗り越えた錦町グラウンド。
あの大雪を乗り越えたグラウンドが逞しくも思えた。
雪の中、選手たちも私自身も「感謝」忘れずに一生懸命に練習に励み、
この錦町グラウンドのように、どんな苦難も乗り越えて強く逞しく戦っていきたい。

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2021年2月18日 (木)

【第668回】 「ランドセルを知らない子どもたち」K. M. (英語)

 みなさんは「ランリック」というものを知っていますか?知っているあなたは京都府あるいは滋賀県出身の人でしょう。あるいはかなりのカバン通?
 そうです。これはカバンの一種です。ではどのようなカバンでしょうか。名前を見て何となく想像がつきませんか?正解は「ランドセル+リュック=ランリック」です。ちなみに「ランリック」は商標登録された商品名で、私たちは「ランリュック」と呼んでいました。
 去年私の息子が小学校に入学しました。入学前にランドセルを買うことになり、お店に行ってまず値段にびっくり!そして実際に手にしてみてその重さにびっくり!噂には聞いていたけれど、こんな重たいものをこんな小さな子どもに持たせるなんて!!「ランリュック」なら軽くて安いのになあと、思わず「ランリュック」を思い出しました。あの頃はあんなに嫌だった「ランリュック」だったのに…。
 実は京都府内の多くの人がランドセルを使ったことがありません。その代わりに「ランリュック」なるものを使っていました。それが学校指定のカバンだったのです。「ランリュック」は阪神タイガースカラーの柔らかい素材でできたリュックサックです。確かに軽くて使いやすいのですが、ダサい。とにかくダサい。テレビドラマなどに出てくる小学生が背負っているツヤツヤのランドセルがとてもうらやましかった。なんで私たちはこんな変なカバンなんだろう。そもそもランドセルは本当に実在しているのだろうか。実在しているならなぜ私たちは使えないのだろうか。6年間もやもやしながら「ランリュック」を使っていました。
 大人になり、誰かと話している時に「ランリュック」は全国でも京都府と滋賀県でしか使われていないことを知り衝撃を受けました。あんなダサいカバンを使っていたのはやはり私たちだけだったのか、と。

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 そして、いよいよ自分がわが子のために通学用のカバンを買う番になり、「ランリュック」の素晴らしさに気づかされました。安くて軽い、その上丈夫。なぜこのような良品が全国に広まらないのか。とはいえ、他の子とはまるで違うカバンをわが子に強要するのもいかがなものかと思い、本人の意向を尊重して、結局はランドセルを購入しました。ちょっとしょんぼり。
 調べてみると、今ではちょっとおしゃれなタイプも売っている様子。しかもここ最近は埼玉県や福岡県などでも採用している小学校があるのだとか。
 いつも身近にあって便利だけど、なんだかぱっとしなくて好きになれないもの。そこにあるのが当たり前すぎて、ありがたみを感じられなくなったもの。皆さんの周りにもそういうもの、ありませんか。子どものころの私にとって「ランリュック」はまさにそのようなものでした。
 若い子たちと話していると、石川県は田舎だから嫌だ、方言がダサい、という子がいます。私も若いころはそうでした。けれども、自然豊かな石川県だからこそできることや食べられるものがあります。「~まっし」や「~じ」といった金沢弁特有の柔らかな語尾などは心地よい響きです。
 自分にとっては当たり前にそこにあるけれど、何だかカッコ悪いもの。視点を変えて見てみると、その中に「良さ」や「美しさ」「カッコよさ」が潜んでいるかもしれませんよ。そういうものに気がつくと、人生が今よりちょっとおもしろいものになるかもしれませんね。

2021年2月11日 (木)

【第667回】 「コロナ禍の日々」K. Y. (国語)

 旧年度から思い起こすと、3年生が三学期の自宅研修時期に入ってから、金沢での感染がさけばれるようになり、ハレの日であるはずの卒業式まで、簡略化に簡素化を重ねた式典となってしまいました。
 式典での呼名も略されてしまい、感染がおこっては一大事とばかり、式典後のロングホームも縮小して、三年間の日々を語らい合う時間も奪われ、 卒業していく三年生には申し訳ないと思ったものです。
 あれから一年近くが過ぎ去り、現在は二年生の担任をしております。春休みに続く長い休校期間を経て一学期が始まりました。夏休みもお盆近くまでの授業でしたが、それでもある程度の通常授業ができたことで、学校行事はかなり削減されましたが、ほっと一息つけたお盆休みでした。
 そして、お盆明けすぐの二学期始まり。当初の最悪想定されたような再度の休校もなく二学期自体は順調な学校生活を在校生は送れた感じがいたします。全員がマスクをしての教室での日々ですが、授業での真剣な眼差しや、休憩時間や昼休みの笑顔で和らいだ目元は、それぞれの健康状態が順調で学園の中も活気で満ちているように感じられました。
 年もあけて三学期。感染拡大が顕著で、緊急事態宣言も各地で発令され、生徒の眼差しも少し深刻感を増してきました。このあと三学期末試験や卒業式と通常でも緊張感のある日々となるのですが、通常通りの日程で過ごせるのか少し心配です。
 ただ、コロナ禍のこの一年を通して、生徒間の結びつきは強くなり、また互いを思いやる心遣いも細やかになってきているようです。生徒同士の気遣いの繊細さには大人の方が学ばされる日々で、残りの三学期を元気よく活気に満ちた学園生活であるよう期待している今日この頃です。

2021年2月 4日 (木)

【第666回】 「明けない夜」K. K. (英語)

 先週、一般入試がありました。
 このブログが公開される2月4日は合格発表の日です。
 受験生の皆さん、お疲れさまでした。そして、合格された皆さん、おめでとうございます。
 私は何度も入学試験の監督をしてきましたが、今年の試験はいつもとは違いました。

 去年の2月はさっぽろ雪まつりに行く予定でしたが、その直前に中国人観光客の新型コロナ感染のニュースが公表され、私は急遽旅行をキャンセルしました。
 それが、日本におけるコロナとの闘いの始まりでした。

 あれから1年、未だ新型コロナの猛威は収まる気配がありません。
 今年のお正月は、珍しく初詣にも初売りにも行かず、ずっと家にいました。
 以前は全く興味がなかったのに、最近は箱根駅伝を観戦するようになりました。
 すると、卒業生の三上雄太君が、創価大の5区のランナーとして襷を受け、なんと往路トップでテープを切ったのです。
 その数日後、今度は井上あずみさんをテレビで見かけました。
 井上さんは、遊学館高校の前身である金城高校の卒業生です。
 ジブリ映画の『ラピュタ』や『トトロ』が作られる前に、「今度歌手デビューする子だ。」と義父に言われて、販促用のチラシを手に取った記憶があります。
 三上君も井上さんもこの学校で過ごし、そして自分の夢を叶えています。
 かくいう私も、「甲子園に行く」という実現不可能だった夢を思わぬ形で叶えることができました。

 コロナがいつ収束するのか、皆目わかりません。
 シェークスピアの『マクベス』の中にこんな台詞があります。
     “The night is long that never finds the day. ” ( Macbeth Act 4 Scene 3 )
 この言葉を「明けない夜は長い」とする翻訳者もいますが、今は、「明けない夜はない」という意味だと思いたい。
 夢を持ち続けることができたなら、困難な状況にあっても、それを乗り越える元気と希望が持てます。
 どうか遊学館高校があなたの夢が叶う場所( Where dreams come true ) となりますように。

 最後に、この場を借りて、去年私が教えた3年生に届けたいメッセージがあります。
 去年の3月急に休校となり、クラスじまいをしないまま、途中でプツンと終わってしまいました。
 そこで、一言。 1年間楽しかったよ。
 そして張君、台湾からたった一人で来日し、3年間本当によくがんばりました。2年前に行った台湾は素敵なところでした。コロナが落ち着いたら、また行きたいと思います。
 少し早いですが、3年生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。今後の活躍を心からお祈りします。