« 2020年6月 | メイン | 2020年8月 »

2020年7月30日 (木)

【第639回】 「鉛筆デッサンをうまく描くには?・・・鉛筆の種類を知ろう!」光谷 和子 (芸術)

 鉛筆デッサンをうまく描くには、いくつかのコツがあります。
まずは、光や影などの明暗を、白~灰~黒の“濃淡”を使って描き分けるというのは想像できると思います。
そして、線を網掛けのように重ねて描く“クロスハッチング”という技を使えば立体的な表現ができます。
また、モチーフ(描く対象)の接地面から発生する“影”を描けば、存在感や重量感を表現することができます。
後は、“質感”を表現できれば完成です。
質感はモチーフそれぞれが持つ物質感です。
ガラスや金属は硬い、タオルは綿は柔らかい質感であるということです。
この質感をどうやって表現するかというと、実は、鉛筆の種類を使い分けると良いのです。

 日本JISには鉛筆は全部で17種類あります。
芯が柔らかく黒が濃いほうから 6B・5B・4B・3B・2B・B・HB・F・H・2H・3H・4H・5H・6H・7H・8H・9H で、9Hがもっとも芯が固く黒が薄いです。
BはBLACK(ブラック・黒い)の略です。
HはHARD(ハード・硬い)、FはFARM(ファーム・引き締まった)という意味になります。
文字を書くにはHBか2Bが適しており、クロッキー(速写)を描くには2B~4Bあたりを使います。
 さて、これらを使ってデッサンの質感をどう表すかというと、例えばモチーフに「ガラス、新聞紙、桃」がある場合を考えてみます。硬い「ガラス」には2H~Fぐらいの鉛筆を使います。「桃」などの柔らかいモチーフには2B~3Bあたりの鉛筆を使います。その中間の固さのイメージの「新聞紙」にはHBやBを使うといった具合になります。鉛筆の種類を変えるだけで質感が出てくるのです。
 デッサン力を向上させたい人は、ぜひチャレンジしてみてくださいね!

2020年7月23日 (木)

【第638回】 「5分間がおしえてくれたこと」道上 ちひろ (英語)

 先日、かかりつけの病院を受診したときのことです。
いつもの看護師さんが私の手に触れ「いつもより手が冷たいですが、お変わりはないですか?」
と話しかけながら、腕から手のひらをさすり温めてくれました。
“人との距離を取りなさい” “人との接触を避けなさい” これまで経験したことのない異常とも思える環境に慣れはじめている私にとって、そのためらいのない対応に温かな気持ちがわき上がりました。

 また別の場所からは、何度も優しく
「~さん、マスクを外さないでね、そのまま診察しますからね。」そんな看護師さんの声が聞こえてきました。何度もマスクを外そうとする少し耳の遠いご老人に話しかけていたのでしょう。

 さらに看護師さん同士の会話が聞こえてきました。寒くなり風邪やインフルエンザ、そして新型コロナウイルスが同時に流行しはじめた際にどのように対応すべきなのか。いろいろな意見が交わされていました。

 世界中が新型コロナウイルス感染を恐れるなか、たった5分という時間でしたが、看護師という職業の尊さを少しだけ垣間見れたように思います。

 そのような状況を目の当たりにすると、最近よく報道されている看護師をはじめとした医療従事者への待遇などがとても悩ましく思われます。

 遊学館には、看護師や理学療法士、作業療法士など医療に関わる職業を目指し学業に励む生徒がいます。いままさに、100年に一度とも言われるこの極めて困難な状況を乗り越え、こころざしを叶えようとしています。将来、そんな彼らの置かれる環境が本当の意味で輝ける場所になっていることを願わずにはいられません。

金城大学コース(看護・医療健康コース)放課後補習

202007231_2

202007232

 未来の看護師です!

2020年7月16日 (木)

【第637回】 「おもしろく生きる」水本 勝也 (英語)

 私は普段、生活の中でいつも「面白い何か」を探しています。通勤中に見かける歩行者の行動や、スーパーに買い物に行ったとき聞こえてくる周囲の人たちの会話など、気にしなければ何でもないことでも、注意しているとその中に面白いことが転がっています。

 以前、ある海沿いの道を、日本海を横目に車で走っていると、信号機に地名が「内寄」と書かれていて、1人心の中で「いや、いちばん外側やろ」とツッコんだことがあります。

 昔から何でも観察することが好きな性格で、そんな風に視界に入っている景色の中で何かが起きないかと常に考えていました。その内、普段の自分の生活で起こる出来事をどう話せば面白く伝えられるかを考えるようになると、何か起きるのを待つ“受け身”の状態でいることがなくなりました。そうしてなんでも「面白い」にしてしまうことで、イライラしたこともストレスとして自分の中に蓄積されることが減ったのです。

 例えば些細なことで妻とケンカした後「このケンカを人に愚痴るよりも、面白く話して笑いにしてしまおう」と思うようになってから、ケンカの後のイライラがすぐに無くなるようになりました。

 おそらく誰でも生きていて「面白い」方がいいですよね。それは単に「笑える」ことに限らず、興味深いものが見つかったり、夢中で好きなことに没頭したり、「面白い」の種類は人によっても状況によっても異なります。ただ、面白いと感じることが少ない人は受け身の人じゃないでしょうか。「仕事が面白くない」と言う人は、自分から仕事を面白いものにしようとしていないだけだと私は思っています。それは学校生活や家での生活、人間関係など、色々なことに言えるはずです。

 最近何をしていてもあまり面白くない。と思っているそこのあなた。どうすれば面白くなるか、考えることから始めましょう。小さなことでもそうして考えていると、何でも面白くなってきます。

 何か一つでも普通のことを面白くしようと思いながら毎日を過ごしているので、私は自分の人生が面白くてたまらないのです。

2020年7月 9日 (木)

【第636回】 「やっと元に戻った」M. K. (数学、情報)

 コロナ禍により2月の末から緊急事態宣言が発令されて、3月から5月にかけて学校は休校を余儀なくされ、校舎は正直単なる箱にしかなかったように見えた。
 従来のように、沢山の生徒達がそろい、授業を受け、休み時間は生徒たちが元気よく騒いでいる姿は訪れるのだろうかという一抹の寂しさがあった。そして放課後の課外活動に励むことができるのか心配だった。テレビを見るとコロナ対策の番組が多く、リモート出演の番組がやたら目立っていた。
 いよいよ迎えた6月1日。分散登校とは言っても、学校に活気がみなぎったのは確かであった。学校は生徒がいないと成り立たないことを改めて感じさせられた瞬間だった。そしてそこには何か新鮮さが心の中にあった。
 6月15日。それは分散登校が終了し、全員が登校することになった日。やっと元の姿に戻れ、生徒も教職員も以前と同じ姿に戻り、小さな平和が訪れている気がしてならなかった。
 1年生にとっては高校生活の始まりで、授業においてはどこかたどたどしく、落ち着かない感じがしたが、‘宝の持ち腐れ’になることなく、自分の持ってる力を発揮してもらいたい。
 2年生は1年間を通して、長所・短所を見直し地に足をつけて、自分のやるべき道へ向かって行動してほしい。
 3年生は修学旅行がなくなり、部活動に励んでいる生徒は、高校総体・総合文化祭が中止になるなど何かぽっかりと穴が開いてしまったように感じるが、目指す進路を考えたら油断禁物である。3年生の中には空き教室で勉強している生徒もちらほら見受けられる。これからはちらほらでなく、沢山の生徒であってほしい。そうなれば学校は活性化する。自分を見失わず、目的に向かって頑張ってほしい。来年の卒業式こそ晴れやかな表情で迎えられることを願っています。
 やっと元に戻った学校がコロナ禍によってプラスに転じたと思えるように私も頑張っていかねばならない。

2020年7月 2日 (木)

【第635回】 「中学生、高校生のみなさんへ」松田 淳 (地歴・公民)

 今、高校3年生の『倫理』では、「青年期の課題と生き方」を学習しています。この範囲は、57歳の私にもこれまでの生き方の原点を思い出させてくれること、またこれから老年に入っていく人生においても心の若さを呼び起こしてくれることから私自身にとって大好きな単元です。
 教科書(『倫理』東京書籍)の文章がとてもわかりやすく、中学生にも理解できる表現です。教科書を作った方が、青年期に生きる中学生、高校生にエールを送っているかのように感じます。

 教科書P.12の14行目~P.13の5行目

 アイデンティティ(※)の確立に際しては、自分の体験から学ぶことと、他者の経験から学ぶことがある。実際の生活やボランティア活動などの社会参加の中で、あえてこれまで体験しなかった立場や役割、活動を体験してみること(役割実験)は、自分自身を広く深く理解したり、自分の可能性を広げることに役立つ。その一方で、一人の人間が体験できることには限りがあるので、親や親友などの身近な人物の体験や考えから学ぶことも重要である。それに賛成であるか反対であるかにかかわらず、普段の活動をよく知っている人物の考え方や生き方は、自分なりの考え方や生き方を形成する上で参考になり、生きたモデルや比較の対象となる。
 ※アイデンティティ…(中学生のみなさんにわかりやすく)「主体性」、「自分らしさ」

 教科書P.15の9行目~13行目

 自分を理解するためには、自分自身を対象化することが必要である。そのためには、自分で自分をふり返るだけでなく、自分のことを進んで他人に話してみて意見やコメントを求め、他人の指摘や忠告に素直に耳をかたむけることも有効である。また、自分が他人にどう見られ、どう扱われているかによって、友人を自分を映す鏡とすることもできる。

 このように、これからの生き方のヒントになる文章がいたるところにちりばめられています。
 ストーリーの対象は、青年期を生きる中学生・高校生ですが、卒業後の生き方、社会人になって新しい環境で友をつくるヒント、老年になっても謙虚に生きるための道しるべなど、いろいろな世代への応用として大切なことを伝え想起させてくれています。
 そうなんです。人間一人ができること、知っていることには限界があります。そうそう完璧な人間がいるわけではありません。「自分はまだまだ。」「いろいろな人に支えてもらっている。」と思えたら、自然と「ありがとうございます。」という言葉が出てきます。若い高校生と接していて、時々心の中で自分の頭をコツンと叩く気持ちがあります。「人間、偉そうにしちゃイカンな…」と。
 生徒が寝そうになっていれば自分の授業が下手なわけで。生徒に時間を守らせるためには、まず自分が時間を守るべきで。生徒に服装をしっかりしなさいと言うなら、まず自分の服装がしっかりしていなければ。生徒のみなさんを自分の鏡だと意識する。まだまだ自分自身を伸ばすために謙虚であり続けること。生徒にとって鏡にならなければ。それを気づかせてくれる担当科目です。
 中学生、高校生のみなさん。反抗期はあって当然。人として健全に成長するための通過点です。みなさん一人ひとり、その階段を上って次なるステップに入ってください。親や先生を自分の味方、アドバイザーとする。耳をかたむけ、まずは聞く。それに賛成であるか反対であるかにかかわらず、いろいろな考え方を学ぶ。私自身これからもいろいろな方々から吸収したいと思います。もちろん若い方々からも。その努力する姿勢、人が見ていなくても真面目に取り組んでいるその姿勢。大人が途中であきらめてしまうことも夢を信じて頑張り続けるその姿勢、ひとつひとつが忘れかけていることです。中学生、高校生のみなさん。自分を支えるのは自分です。自分を信じて!