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2020年6月18日 (木)

【第633回】 「スタート」星  郁恵 (理科)

 今年の4月、茨城県から石川県金沢市に移住して3か月が経ちました。
初めての日本海側、初めての西日本、初めて見たご当地キャラの石川さん、初めての学校、多々、生活環境が変わる4月からはりきってスタートしようと思っていたのにコロナ自粛。新しくスタートする事が先延ばしになると、根拠のない、よくわからない不安みたいなものが日を追うごとに大きくなったのは、きっと今の高校1年生と同じ心境だったのではないかと思います。そして、学校が始まったとしても元の生活のリズムに戻れるのか、そんな不安を抱えたまま、学校生活がスタートしました。しかし、出勤初日、廊下ですれ違った遊学館高校の生徒さんが元気よく挨拶をしてくれました。そのたびに、そんな不安も少しずつ軽くなっていきました。
 そして、この遊学館高校には優しい先生がたくさん勤務されていることもわかりました。ある時、教員用の回覧板が回ってきて、どの先生に回していいかわからず、職員室のドアに貼ってある先生方の座席表を眺めていたら「私受け取りますよ」と言って受け取ってくれた先生がいました。事務用品がどこにあるのかわからず、職員室をうろうろしていたら、「先生の動きでサッチしました!何か探していますか?」と声をかけてくれた先生がいました。職員の健康診断の時、先に終わった先生が「次の検診場所がわからないだろうから待っとったよ」と言って一緒に行動してくれた先生がいました。
 知らない事や、わからない事は自分から聞いて動かないといけないのですが、困っている状況を察して声をかけてくれる先生方が、この遊学館高校にはいらっしゃいます。きっと、声をかけてくれた先生方は、ほんの些細な何気ない一言だったかもしれませんが、不安を抱える側にとってはとても大きな事で、これからの学校生活頑張ろうと思えるような出来事でした。過去には宮城県、神奈川県、茨城県と、それぞれの学校を勤務してきましたが、私にとって、石川県で初めて勤務する学校がこの遊学館高校で良かったなと実感した出来事でもありました。
 また、学校以外でも、金沢市に来て感じたことは、やはり「優しい人がたくさんいる」です。車を走らせても、みなさん安全運転でウインカーを出せばすぐに入れてくれるような、とても暖かい県民性を感じました。また、近所を流れる鞍月用水や、朝6時になると、どこかのお寺から聞こえてくる鐘の音、近代的な建築様式と古き良き町並みが混在していて、全国人気のない県ランキング1位の茨城県出身の私からすると、とても魅力ある場所だと思いました。
 引っ越した時には、すでに石川県は自粛ムードになっていたので、まだどこにも観光に行っていませんが、今後もっと、石川県の魅力に触れていきたいと思うと同時に、この遊学館高校の良さをたくさん見つけて楽しい学校生活が送れるように頑張っていきたいと思います。高校1年生のみなさんも、いまだ不安でいっぱいの学校生活を送っていることと思いますが、不安を抱える者同士、一緒に頑張っていきましょう。